森久保乃々「さよなら、森久保」
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23:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:22:08.44 ID:QxgIwWOp0

 さらに私は未来のことを考えるのも苦手でした。

 ここで断ることによって生じる苦痛と後で生じる苦痛。
 どちらがより私に刺さるのかまったく判断がつきません。
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:24:04.83 ID:QxgIwWOp0

 次の日、さっそく私は撮影現場へと連れてこられました。
 初めて見る撮影現場は慌ただしく、誰もがみな忙しそうに撮影の準備をしていました。

 叔父はその人たちの動きを一度中断させ、
以下略 AAS



25:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:26:12.67 ID:QxgIwWOp0

 そのぎこちない笑顔を浮かべて、
 心の中で、「むーりぃー」と大人たちの視線と戦っている間に、
 カメラは二、三回フラッシュをたき、撮影は終わりました。

以下略 AAS



26:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:28:32.88 ID:QxgIwWOp0

「ごめん。驚かせた?」
「いえ……。森久保が少し、ぼーっとしていただけです」
「そうか。ならよかった」

以下略 AAS



27:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:30:10.73 ID:QxgIwWOp0

 ただ笑っていたのです。
 これまでの短い人生の間に、私は数人ほどただ笑っているだけの笑顔を持つ人に出会ってきました。

 しかし、その人達は表と裏の区別がない、言ってしまえば何も考えていないような単純な人達でした。
以下略 AAS



28:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:31:29.97 ID:QxgIwWOp0

「君、アイドルにならない?」

 その言葉はあまりにも突然、かけられました。晴れの日に落ちてくる雷のような衝撃でした。
 私は一瞬、何を言われたか理解できなくて、その男性の言葉を小さく繰り返しました。  
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:33:10.28 ID:QxgIwWOp0

「無理です。私がアイドルなんて……」

 私の神経は、たった数枚の写真をとる仕事だけでも、すさまじくすり減っていました。
 このような経験を毎日なんて私には耐えられるはずがありません。
以下略 AAS



30:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:35:19.02 ID:QxgIwWOp0

「お聞きしたいんですけど……どうして森久保をアイドルにしようと思ったんですか?」
 
 男性は手を顎に当て、考える表情になり、それから少しして、

以下略 AAS



31:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:37:17.70 ID:QxgIwWOp0

「いいじゃないか、アイドル。自分からアイドルになりたくてもアイドルになれない子もいっぱいいるのに。
 それに乃々ちゃんは少し人見知りなところがあるから、改善のためにもアイドルやってみたらどうだ?」

 二人の大人は私の顔を見ました。
以下略 AAS



32:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:38:48.48 ID:QxgIwWOp0

 私はこうしてアイドルとしてスカウトされました。

 これは今でも確信をもって言えることなのですが、私はアイドルになりたかったわけではありません。

以下略 AAS



33:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 20:00:44.45 ID:QxgIwWOp0

 それからはとんとん拍子で話が決まっていきました。
 私は一人、今まで住んでいた名古屋の街を離れ、東京へと向かうことになりました。
 私がアイドルになると告げると、母は喜び、クラスメイト達は悲しみました。

以下略 AAS



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