66: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:27:34.87 ID:6rZ5mY140
第6話 「ラグナロク」
67: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:28:53.88 ID:6rZ5mY140
六花に出す声も出なかった。何が起こっているか知りたかった。その場から動いたら殺されそうだった。ケースとソードを異例事態の興奮によるバカ力で持ってきてまた崖の中心に持ってきた後、ただ呆然と立ち尽くす。
こんな音あっていいのかよ。六花の顔に振り向くとやはり彼女も不安げな顔をしていた。
自然界の音か。世界のテロか。人間の仕業か。
分からない。分からない。だから恐怖で先を見たがる。闇の先を。体が凍る。
ひゅううと前より風も強くなってきて目が開けにくくなった。
68: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:29:32.74 ID:6rZ5mY140
ゆっくりと、次第に激しくなって地面を揺らされる!
地面が急速に揺らされて視界がはちゃめちゃになる。立っていられなくなる。
勇太「伏せろ!」
渾身の叫びでそう言い、俺は草地に伏せて雑草の根を頼りに、強風であおる風を受けながら必死につかんだ。この現象、間違いない。
地震が来た!
69: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:30:13.84 ID:6rZ5mY140
やっぱり無力だったんだ……。六花を守れなかった……。俺のやってたことは無駄に等しかったんだ……。中二病はあるって思っても今闇の炎がでてなきゃ意味がないんだ!でも情けないことに立つことすらできない……。意のままに地震が消せない……。魔法は嘘だったのかよ……。所詮俺の調子に乗ったことだ。やっぱりあれは夢じゃないか……。壮大な夢だった……。六花の笑顔が見たい。邪王心眼で吹き飛ばしてほしい。ああ、こんなときだけ他力本願で……。こんなんじゃ今も未来も守り切れない……!俺は神になったって、これじゃ無力と同じじゃないか。
神。
あっ。
もしこの世界が何らかの規定事項で、全ての出来事が始まったときからすでに定まっているとしたら、俺がこの惨劇の中にいるのも誰かの仕業によるもの。それは神だ。
でもその邪悪な神は俺が神になることで消滅した。
70: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:30:51.80 ID:6rZ5mY140
六花「ゆうたぁ!ゆうたぁ!!」
小さく揺れる大地。
大事にしてくれてありがとう。
俺のことなのに心配してくれるなんて高校入学前の俺に聞かせたいな。
俺はなれ合いが嫌いでな、とかっこつけてたけど、やっぱり一人じゃダメだった。
71: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:32:02.55 ID:6rZ5mY140
揺れる。小さく。
予感がする。心臓の心拍数が波となって、それだけじゃないと訴えている。
これが最後の命だと分かる。
俺は六花を、俺のケガした膝をカバーするように、一緒に背中を抱え合う。
崖の先に向かう。
72: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:32:47.80 ID:6rZ5mY140
俺の声が響くと同時に。
地震の揺れが猛烈に強くなる。神の王座を守るように。この世の悲鳴を響かせるように。
立てなくなるぐらいに激しくなる。
足をこわばらせた。
でも今の俺たちは違うんだ。臆病じゃないんだ。剣を持って。
73: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:33:17.03 ID:6rZ5mY140
勇太「はぁ……はぁ……」
六花「はぁ……はぁ……」
しーんと辺りが静まっている。
呼吸を整えた。
74: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:34:01.14 ID:6rZ5mY140
「膝大丈夫?」と聞かれて「ああ、誤魔化しなく大丈夫だよありがとう」と言うと顔を反らして照れた六花がかわいかった。宝物だ。俺は六花の後ろを向き夜空を見上げて口を開け、ケガした膝を風に当て、冷たい夜空に枯れた声を癒し涙を乾かした。疲れたんだろうな体も心も。こんなこと今までなかった。
六花はまた眼帯をつけた。いつもの風景が帰ってきた。
今日はいっぱいあったな新しい発見。色々な六花。もう語り切れない。
夜空はなんて綺麗で、大きいのだろう。俺の体の数兆倍はある。
でもその深淵の夜空が、見守られている気分で今とっても気持ちいい。
75: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:34:49.30 ID:6rZ5mY140
深く抱きついて。体の温かさを分かち合った後に、また黄緑の光柱を一緒に眺める。
六花「不可視境界線……」
勇太「うん……綺麗だ……」
六花「ねえ。不可視境界線に行ったら、確か何でも願う。そうだよね……?」
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