19: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:51:52.49 ID:c9/bqZoV0
ぼく(こうして、ぼくは家の中にある古い文献を片っ端から読み漁った。しかし古代の言語は解読が難しく、これでは読み解くまでに何年かかるかと思っていたが、嬉しい誤算があった)
ぼく(特に欲しかった、魔王に関する記述がある文献を女戦士さんが読むことが出来たのだ。どうやら、彼女が生まれた時代の言語とそう変わらない文字であったらしい)
ぼく(また、これにより家に伝わる『邪木の苗』に更なる信憑性が生まれ、モチベーションも高まった。しばらく、ぼくと女戦士さん、二人で黙々と本を読む日々が続いた)
20: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:52:31.97 ID:c9/bqZoV0
ぼく(ある日のことだった。ぼくは食糧を求めて河原を散策していた)
ぼく(ぼくはそこで、見覚えのある耳飾りが河原に落ちているのを見つけた)
ぼく(どくん、と心臓が跳ねた)
21: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:53:17.62 ID:c9/bqZoV0
ぼく(遂に決行の時がやってきた)
ぼく(ぼくと女戦士さんは家を出て、古い文献に記されていた場所にやってきていた)
ぼく(白く大きな岩。周囲の風景は文献に記されていたものを少々違いはあったものの、ここが『聖地』ということで間違いなさそうだった)
22: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:53:48.44 ID:c9/bqZoV0
23: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:54:19.33 ID:c9/bqZoV0
24: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:54:58.09 ID:c9/bqZoV0
ぼく「……は、はは」
ぼく(心が沸き立つ。口の端がにやりと曲がる)
ぼく「ははは!! あはははははは!!!!」
25: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:55:40.05 ID:c9/bqZoV0
ぼく「は! はは!! あはははははは!!!!!」
ぼく(ぼくに宿った魔王の力は、どうやら魔法だけではなかった)
ぼく(体が軽い。一足飛びで集落を飛び越し、軽く駆けただけで馬車を追い抜く)
26: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:56:19.40 ID:c9/bqZoV0
ぼく(程なくして、ぼくは山の麓の町を壊滅させた。人っ子一人残さなかった)
ぼく(しかし、肝心のこの町の長が、あの耳飾りの男がしばらく前から行方不明だというのは本当に残念だった。どこかで野垂れ死んだのか……出来れば、この手で殺してやりたかった)
ぼく(物思いにふけっていると、背後で足音がした)
27: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:56:56.97 ID:c9/bqZoV0
ぼく「どうしてですか? あなたが人間をかばい立てする理由がわからない。あなたは六百年も生きて、人間の醜いところを沢山見てきたでしょう」
女戦士「確かにな。とある事情も手伝って、人間なんて滅んでしまえなんて思ってしまう気持ちも私にはあるよ」
ぼく「でしょう? あいつらは最低だ。ぼく達姉妹に『魔女』なんてレッテルを貼って、魔女狩りと称して好き放題してきた」
28: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:57:47.99 ID:c9/bqZoV0
女戦士(私の呪いを解くために、一緒に親身になって考えてくれた少女を、私は殺した)
女戦士(確かにまだまだ発育途上だったけど、いずれは姉と同じく綺麗になるだろうと思わせた可愛らしい少女は、今は物言わぬ骸となって私の傍に倒れている)
女戦士(彼女は彼女で私を利用していたとはいえ、六百年の歳月で随分と鈍くなったとはいえ、心は痛む)
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