4:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:32:01.40 ID:h3AcEulr0
口ではそう言いつつも、プロデューサーに促されるがままに台本を手に取る杏。
パラパラとページをめくる。内容はおおよそオーソドックスな淡い恋物語のようだった。
学期末、転任する教師を呼び止める女生徒。いつまでも打ち明けられなかった思いを、勇気を出して口にする。
5:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:33:19.33 ID:h3AcEulr0
杏「何これ」
P「そういうことを言うな……演技力を測るためのシナリオなんだから。王道だろ?」
杏「王道も過ぎれば陳腐だよねー」
6:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:34:36.79 ID:h3AcEulr0
☆
『……やっと見つけた』
7:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:35:28.57 ID:h3AcEulr0
『……惜しいに、決まってんじゃん。どうせニブチンの頭だから分かってないんだろうけど……せめて、卒業するまでは一緒にいたかったよ』
『この土壇場になって……いや、土壇場だからか。ようやく素直になったってことか?』
『そうじゃなくてさ……』
8:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:36:56.27 ID:h3AcEulr0
『待て待て……待て待て待て。先生と生徒だぞ? 何歳離れてると思ってるんだ』
『先生こそ杏のこと、見た目だけで判断してない? 高校三年生だよ。言うほど離れてるわけじゃない』
『んなこと言ったって……いや、年齢の問題じゃなくてな、立場っつーもんがだな……』
9:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:37:43.42 ID:h3AcEulr0
うつむいていた少女が顔を上げると、その目にはいっぱいの涙が溜まっていた。
彼の言葉をどうしても否定したくて、でもできなくて。どんなに考えてもいい方法なんか全然見つからない。
せめて、この身があと少しだけでも大人であったなら。あと一歳でも違ったなら、きっと先生の後を追いかけて行けたのに。
10:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:38:22.21 ID:h3AcEulr0
その腕の中に、身を投げ出すように少女は前へと進み寄り――身体を受け止める腕をすり抜け、顔と顔が不意に触れた。
「――――っ!? おまっ……!!」
『……へへん。どうせ離れ離れになるんなら、これくらい役得ってもんでしょ』
11:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:39:14.09 ID:h3AcEulr0
『……おい。何をした』
『ふふん……油断大敵。先生の第二ボタン、バッチリ貰ったかんね』
目じりをキラキラを光らせながら、少女は右手に握った黒のボタンを見せびらかすように高く掲げる。
12:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:40:31.24 ID:h3AcEulr0
『……このボタンに誓うよ。杏、いつか必ず、先生のとこまで行くから。……もう会えなくなるだなんて、言わせないから』
高く掲げたボタンを胸の前まで下ろして、拳の中で固く握りしめる。
先ほど口にした言葉が、彼女の心には引っかかっていたらしい。半ば脅すためであったが、彼女には現実味を持って感じられたということか。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:41:17.41 ID:h3AcEulr0
杏「…………」
P「…………」
杏「……なんか言えよ」
25Res/15.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20