9:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 01:37:43.42 ID:h3AcEulr0
うつむいていた少女が顔を上げると、その目にはいっぱいの涙が溜まっていた。
彼の言葉をどうしても否定したくて、でもできなくて。どんなに考えてもいい方法なんか全然見つからない。
せめて、この身があと少しだけでも大人であったなら。あと一歳でも違ったなら、きっと先生の後を追いかけて行けたのに。
因果も何もなく、決してあり得ることのない仮定を、頭の中だけで子どものように振り回す。
『……じゃあ、さ。最後に……一回だけでいいから。……抱き締めて』
『は!? だってお前、こんなとこでもし誰かに見られたら……』
『誰にも見られなかったらいいの?』
『いや……そういうことじゃなくてだな……』
『……ふん。冗談だよ。今さら意地悪言わないからさ……ちょっとだけでいいから、夢、見させてよ』
少女は一歩前に踏み出す。対する男は一旦後ずさりしかけて、しかしその場に踏みとどまった。
はぁ、と溜め息を吐いた。両手を広げて、やや優しい面持ちで。彼女の身体を抱き留めるために、彼はそこで待っていた。
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