254:名無しNIPPER[sage]
2018/04/20(金) 13:04:58.16 ID:M8p1T6KfO
万札は崩したが最後一瞬で消えるよね
255: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/21(土) 08:37:24.41 ID:SE5eH/sS0
【あるセレブとプロデューサーの話】
彼女はとても美しかった。立っているだけで華があった。
立ち振る舞いも優雅でしなやか、人を虜にしてしまう魅力を持ち、恋をさせるだけの力も持っていた。
256: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/21(土) 08:38:46.05 ID:SE5eH/sS0
さて、この二階堂千鶴という女性は実に見事なセレブだった。
用意されるゴージャスな意匠の衣装を着こなし、
どんな現場においても常に堂々とした態度で胸を張って、
257: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/21(土) 08:40:28.50 ID:SE5eH/sS0
当然、関係者の中には陰口を叩く輩も現れる。
「彼女だって気の毒なもんさ。やり手のプロデューサーと組めばもっと人気も出るだろうに」
258: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/21(土) 08:41:40.92 ID:SE5eH/sS0
===
ところが、だ。ここに公に出来ない秘密がある。
コツコツと積み重ねて来た二人の関係を根底からひっくり返しかねない程の。
259: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/21(土) 08:43:13.47 ID:SE5eH/sS0
本物と遜色のない艶と手触りを持った高品質なウィッグ。
人の肌により近いと謳われる最新型のシリコンボディ。
胸は豊満、腰はくびれ、ヒップもすこぶる魅力的。
260: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/21(土) 08:44:12.53 ID:SE5eH/sS0
そしてその顔は、何を隠そう件の二階堂千鶴に酷似していた。
当然だろう。わざわざ彼女にそっくりな人形を選んだのだ。
いや、正確にはそうなるよう男がオーダーしたのだから。
261: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/21(土) 08:45:47.27 ID:SE5eH/sS0
「きっと、貴女の役に立てる男になりますから。相応しい男になりますから!
……だから、その、見捨てないでください。今は……まだ、頼りなくても……」
その時、男には人形の印象が変わったように感じられた。
262: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/21(土) 08:48:38.81 ID:SE5eH/sS0
一コマ…というか一幕おしまい。『互いに秘密を抱える二人の関係の行く末は、さて?』的な
263: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/22(日) 08:41:39.36 ID:YcDGP+Tn0
【あるセレブとプロデューサーの話・2】
===
いつ頃から、とハッキリ意識していたワケじゃない。
けれども最近のプロデューサーは、以前よりデキる人になったと千鶴には感じられるのだった。
264: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/22(日) 08:42:33.91 ID:YcDGP+Tn0
赤信号で車が止まる。千鶴はそっと視線だけを男へ向けてその顔色を窺った。
血色が良いとは言えない肌、心なしかこけたようにも見える頬、眼のふちには睡眠不足からできるくま。
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