261: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/21(土) 08:45:47.27 ID:SE5eH/sS0
「きっと、貴女の役に立てる男になりますから。相応しい男になりますから!
……だから、その、見捨てないでください。今は……まだ、頼りなくても……」
その時、男には人形の印象が変わったように感じられた。
僅かながら、いつも間近で見ている本物の面影に近づいたように感じられた。
瞬間、彼の心の虚しさも少しばかりだが和らいで――そうして考えるに至ったのだ。
もしかすると、自分が頑張れば頑張る程に目の前の人形は本物に近づくんじゃないだろうか?
だとするなら、それが胸に空いた穴を埋めるための唯一で絶対の手段なのではないだろうかと。
男が尋ねるように彼女を見た。
目の前の千鶴は無言のまま、彼を肯定するように優しく微笑み続けるのだった。
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