257: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/21(土) 08:40:28.50 ID:SE5eH/sS0
当然、関係者の中には陰口を叩く輩も現れる。
「彼女だって気の毒なもんさ。やり手のプロデューサーと組めばもっと人気も出るだろうに」
けれど、千鶴はこういった風評を涼しい顔で受け流すと。
「気にすることなどありませんわ。わたくしはプロデューサーの言葉を信じて今までやってきたんですもの。
……だから俯くのはもうおよしなさいな。セレブたるわたくしのプロデュースを任せているのですから、
貴方もそれに相応しいよう、シャキッと顔を上げていてくれなければ困りますのよ?」
「ん……。困らせちゃうのはよくありませんね」
「理解したならば背筋を伸ばす! さあプロデューサー、次のお仕事は何ですの?
ジャンジャン、ジャ〜ンジャン持って来てくださいまし!」
微笑みは自信に溢れていた。
男は彼女の笑顔に支えられる形で精一杯プロデュースを頑張った。
相変わらず失敗と成功が交互に訪れる日々だったが、
オーディションが上手くいった夜にはささやかな祝勝会を二人で開き、
逆に仕事でミスをした時には反省会をして語り合った。
そんな時、決まって二人の間には千鶴が差し入れとして持って来た揚げ物が置かれているのだった。
「"トンカツを食べて勝負に勝つ"。うちのお母……ではなく我が家のシェフはそれが口癖で」
「洒落た口癖じゃあないですか。実際このトンカツだって絶品だし、コロッケだって美味しいです!」
「ふふっ。その言葉、わたくしから確かに伝えておきますわ。シェフもきっと喜ぶと思いますし」
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