26:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:58:13.63 ID:4sMggCAno
雪美はまだ十歳の幼い子供だったがすでに自然の遊びをよく心得ていた。
手近にあるいろいろな草木の葉っぱをもぎっては草笛にして吹いたりする。
その小さい口と手のひらから驚くほど高く鋭い音が鳴り響くのが幸子にはこの上なく不思議であった。
教えてもらって真似をするけれども雪美のように綺麗に鳴らすのは難しく、その日、幸子は形のいい葉っぱを見つけるたびに手当たり次第にもぎっては練習したりした。
27:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:59:00.55 ID:4sMggCAno
あっという間に十二時になった。
二人は底に穴の空いたブリキのバケツを拾ってきて秘密基地に飾り、ついでに木の葉や枝をかぶせて宝物入れにしようと考えた。
その工作の最中、いきなり幸子のポケットがけたたましく鳴り出したので雪美がびっくりして虫かごを蹴飛ばし、あやうく捕まえた虫を逃がしてしまうところだった。
幸子は悪いと思いながらも雪美の慌てぶりが可笑しくてつい噴き出してしまった。
28:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:59:49.28 ID:4sMggCAno
――午後、雪美が滝を見に行くと言い出した。
今度は虫かごではなく腕にペロを抱えている。
「滝、ですか?」
29:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 18:01:26.89 ID:4sMggCAno
雪美の言う「滝」は川の細かい支流の先にあり、つまり森の中を進んだ奥にあった。
そして実際、その滝とは単に岩間から湧き水が流れ出ている程度のもので、高さはあるけれども幸子が想像していたような水量の規模ではなかった。
30:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 18:02:35.88 ID:4sMggCAno
◇ ◇ ◇
次の日も幸子は雪美と一緒に外へ遊びに出かけた。
31:名無しNIPPER[sage]
2017/09/11(月) 18:02:38.66 ID:vRTcFSLU0
幻の32日目突入させないとな
32:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 18:03:17.86 ID:4sMggCAno
この頃幸子は毎日外に出て遊びまわる日々を送っていたが家ではきちんと手伝いもこなした。
そして夜も九時になると反動でものすごい眠気に襲われ、『銀の匙』を枕元に開いたまま寝落ちする日も少なくなかった。
そんな風に充実した日々を送りながらうっすら焼けていく自分の肌を見ていると、自分がどんどんたくましくなっていくような満足感があった。
33:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 18:04:03.51 ID:4sMggCAno
幸子が祖父母の家へ泊まりにきてから六日目、珍しく朝から雨が降った。
父はその日、村の役員たちと納涼会を企画していたらしく、幸子と雪美も誘ってバーベキューをする予定だったのだが、天気予報を見てがっくり肩を落とした。
雨は夕方を過ぎて更に強まり、明日まで続くという予報だった。
34:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 18:05:33.08 ID:4sMggCAno
雷は一時間近く鳴り止まなかった。
それが過ぎると天気はやや落ち着いたが雨脚は相変わらず滞りがちだった。
雷鳴にあれほど怯えていた幸子は、夕飯を済ませて風呂から上がった頃にはもうケロッとして、カブトムシの世話をしたり本を読んだりして夜の時間を潰した。
35:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 18:06:17.55 ID:4sMggCAno
「幸子、忘れ物はないか?」
「うん、大丈夫……それとパパ、この本持って帰ってもいい?」
「何でも持っていけばいいさ」
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