輿水幸子「ボクのなつやすみ」
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34:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 18:05:33.08 ID:4sMggCAno
雷は一時間近く鳴り止まなかった。

それが過ぎると天気はやや落ち着いたが雨脚は相変わらず滞りがちだった。

雷鳴にあれほど怯えていた幸子は、夕飯を済ませて風呂から上がった頃にはもうケロッとして、カブトムシの世話をしたり本を読んだりして夜の時間を潰した。


「幸子、悪いが明日帰ることになった」

父は部屋を覗き込むなりそう言うと、幸子が返事をする前に足早に去っていった。

幸子は始め何のことか分からず、しばらく固まっていたが、やがて跳ねるように起き上がり父の後を追った。

「か、帰る? なんでですか? まだあと三日はここに居られるって……」

「さっき会社から電話があったんだ。急ぎの仕事が入って……明日の朝には出発しないといけなくなった」

父は申し訳無さそうな顔をして幸子の頭を撫でた。

「ごめんな、幸子。今のうちに準備しておいてくれ」


父はそれから母と話し込んで、そして二人で帰り支度を始めた。

幸子はふと窓の向こうの暗闇を眺めた。
ガラスに映る自分の表情は闇夜に透けて見えなかった。

雨音だけが夜の中に聞こえていた。


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