輿水幸子「ボクのなつやすみ」
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28:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:59:49.28 ID:4sMggCAno
――午後、雪美が滝を見に行くと言い出した。
今度は虫かごではなく腕にペロを抱えている。

「滝、ですか?」

「あそこ……涼しいから……」

確かに今日は一段と暑い日であった。
村全体が蒸した釜のように熱せられ、道を歩けばそこかしこに陽炎がゆらめいているのが見える。
実際、幸子もこの暑さにはそろそろうんざりしてきた頃合であった。

そういうわけで二人は秘密基地があった方向とは逆の、昨日と同じ川沿いの道を行くことにした。


途中で例の駄菓子屋に寄ってアイスキャンディーを買った。

お世辞にも綺麗とは言えない店だったが、幸子はこの軒下の薄暗いベンチが何か自分にとって特別な場所のように思えて内心気に入っていた。

ふと、幸子はここで写真を撮ったら絵になりそうだと閃いた。

そこで例のごとく雪美にカメラを頼むのだが、幸子の要求は相変わらず高度で難解だったので雪美は首をかしげるばかりだった。
そしてこれもまた例のごとく、まず幸子がカメラマンのお手本になって雪美を撮るところから始まるのである。

「……いいですか? こういう構図で撮るとボクのカワイイ横顔がもっとカワイく写るんです」

「幸子……すごい……プロみたい……」

「フフーン、まあボクならこれくらい楽勝ですよ。さ、というわけで雪美さん。頼みますよ」

雪美は幸子に言われた通りのアングルで写真を撮った。

しかし幸子が長々と説明している間にアイスキャンディーはほとんど溶けかかってしまい、結局、写真には幸子が必死でアイスを咥えているシーンばかりが写った。……


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