19:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:45:11.92 ID:4sMggCAno
さて、ひと通り使い方をレクチャーしてやると、雪美は俄然はりきってスマホを構えだした。
「しっかりとボクのカワイイ姿を撮ってくださいね!」
今にも腕の中から飛び出しそうなペロをなんとか抱きかかえ、幸子は渾身のアイドルスマイルをカメラに向けた。
20:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:46:26.29 ID:4sMggCAno
おみやさんでひとしきり遊んだ後、雪美が行きたい場所があるというので幸子と祖母は一緒に付いて行った。
道路を挟んで向かい側に小さな川があり、その土手を上流へのぼって行くとやがて広い河原が見えた。
雪美の後に付いて河原へ降りて行く。
足元はごつごつした小石が敷き詰められ、おまけにここは日差しが直に当たって暑かったけれども、小川のせせらぎと共に周囲の雑木林から吹いてくる微風が汗をやさしく冷やすのが心地良かった。
21:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:47:29.52 ID:4sMggCAno
「この辺はたくさんカニがいるんですか?」
「うん……岩影とか……あと魚も捕れる……」
幸子はそれを聞いて心が浮き立った。
22:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:48:23.70 ID:4sMggCAno
夕方になり、幸子が帰る時間になると、雪美が名残惜しそうに
「明日も……遊べる……?」
と言うので、幸子は
23:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:55:15.98 ID:4sMggCAno
◇ ◇ ◇
翌朝、ラジオ体操へ行くと、この日は雪美の方が先に到着していたようで、幸子の姿を見とめるや否やてくてくと歩み寄り、ラジオ体操が終わるまで幸子の傍から離れようとしなかった。
昨日の今日ですっかり懐かれてしまったようである。
24:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:56:11.25 ID:4sMggCAno
雪美に付いて歩いて行くと山あいの畑から少しはずれた場所にある杉林に入って行った。
手入れされているのか他の雑木林に比べると雑草が少なく見晴らしもいい。
幸子が熊の気配におっかなびっくりしながら杉林の中を進んでいると、唐突に倒木の群れが視界に現れた。
それらの倒れた杉の木に囲まれるように小さな広場が出来上がっている。
25:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:57:33.88 ID:4sMggCAno
それから二人は虫かごと虫捕り網を手に杉林の中を駆けまわった。
雪美はどうやらセミの幼虫を捕まえたいらしく、地面に穴を見つけては伝説の剣で中を突いてみるのだが、今の所すべて空振りに終わっていた。
「ここにいる幼虫はもうみんな孵化しちゃったんじゃないですか」
26:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:58:13.63 ID:4sMggCAno
雪美はまだ十歳の幼い子供だったがすでに自然の遊びをよく心得ていた。
手近にあるいろいろな草木の葉っぱをもぎっては草笛にして吹いたりする。
その小さい口と手のひらから驚くほど高く鋭い音が鳴り響くのが幸子にはこの上なく不思議であった。
教えてもらって真似をするけれども雪美のように綺麗に鳴らすのは難しく、その日、幸子は形のいい葉っぱを見つけるたびに手当たり次第にもぎっては練習したりした。
27:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:59:00.55 ID:4sMggCAno
あっという間に十二時になった。
二人は底に穴の空いたブリキのバケツを拾ってきて秘密基地に飾り、ついでに木の葉や枝をかぶせて宝物入れにしようと考えた。
その工作の最中、いきなり幸子のポケットがけたたましく鳴り出したので雪美がびっくりして虫かごを蹴飛ばし、あやうく捕まえた虫を逃がしてしまうところだった。
幸子は悪いと思いながらも雪美の慌てぶりが可笑しくてつい噴き出してしまった。
28:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:59:49.28 ID:4sMggCAno
――午後、雪美が滝を見に行くと言い出した。
今度は虫かごではなく腕にペロを抱えている。
「滝、ですか?」
29:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 18:01:26.89 ID:4sMggCAno
雪美の言う「滝」は川の細かい支流の先にあり、つまり森の中を進んだ奥にあった。
そして実際、その滝とは単に岩間から湧き水が流れ出ている程度のもので、高さはあるけれども幸子が想像していたような水量の規模ではなかった。
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