輿水幸子「ボクのなつやすみ」
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21:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 17:47:29.52 ID:4sMggCAno
「この辺はたくさんカニがいるんですか?」

「うん……岩影とか……あと魚も捕れる……」

幸子はそれを聞いて心が浮き立った。
バラエティの仕事で鍛えられたおかげで虫や爬虫類といった生き物には特に抵抗がなかったし、元々幸子もそれなりにわんぱくな性格があったのである。

そういうわけで、幸子はスマホを祖母に預け、しばらく雪美とのカニ捕り合戦に夢中になった。

河原にくぼみを掘り、その周りを小石で囲んだ檻の中に捕まえたサワガニを放り込んでおく。
たまにザリガニやカエルやヤゴなどを見つけるとそれも捕まえて別の檻に入れる。
幸子はなかなか思うように捕まえられなかったけれども雪美はさすがに土地の人間だけあって次々と獲物を貯め込んでいった。

くぼみが一杯になると幸子はその中から一番大きなカニを取り出して祖母の元へ持っていき写真を撮ってもらった。
祖母の所でくつろいでいたペロはそんな小さな獲物にはまるで興味を示さず日陰で横になっている。

雪美が靴を脱ぎ川にじゃぶじゃぶと入っていったので何をするのか聞いてみると魚を手づかみすると言う。
幸子もそれに倣って裸足になりふくらはぎまで川に浸かりながら透き通るような水中に目を凝らして魚の影を追うけれどもざぶんと手を入れて捕まえたと思った次の瞬間にはもう魚はするすると逃げている。

そうして二人が水しぶきを上げながら魚を追い掛け回していると、とうとう雪美が一匹のアユを捕まえた。

「おばあちゃん、写真!」

幸子は興奮気味にぴょんぴょん跳ねながら祖母を呼んだ。

その日一番の写真には、満面の笑みでピースしている幸子と、自慢げにアユを掲げる雪美の二人が写っていた。……


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