101:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:07:20.86 ID:dZyp/T120
「仕方が無いことです」
「そう言って、簡単に片付けられればいいんだけどね」
夕美さんは、笑いました――やはりそれは、初めて見る笑顔です。
102:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:10:23.08 ID:dZyp/T120
「……ッ!」
「奇遇だね……私、ずっと似てるなぁって思ってた。
アイドルも、こんな感じなんだろうなぁって、それがさ……その植木鉢、ステージそっくりに見えてさ。
私がずっと直面して、思い描いてきた世界、そっくり」
103:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:12:38.84 ID:dZyp/T120
「だって、選択をしたら、それを大切にしなくちゃって、思えるから」
ちょっと俯いて、首を振って、また顔を上げます。
「省みたらいけないと思うの。捨てちゃった子達のことを省みたら、その子達が余計に可愛そう。
104:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:14:24.16 ID:dZyp/T120
「私は、肇ちゃんには、それを割ってほしくありません」
「……はい」
105:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:19:00.28 ID:dZyp/T120
「……夕美さんの、ために?」
夕美さんは、鼻を鳴らしました。なぜか、どこか得意げです。
「それを割るのも、割らないのも、肇ちゃんの自由だよ。
106:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:22:36.43 ID:dZyp/T120
「夕美さん……」
「自分で選ぶから、自分が一番それを大切に出来るんだって、思うから」
107:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:25:00.90 ID:dZyp/T120
「お誕生日、おめでとうございます、夕美さん」
「言うの遅くない? あはははっ!」
「ふふっ……」
108:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:27:41.71 ID:dZyp/T120
***
「……肇ちゃん? おーい、肇ちゃん」
「えっ?」
109:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:32:04.67 ID:dZyp/T120
結局、私はそれを、割ることが出来ませんでした。
どこまでも独りよがりで、我が儘を通したそれは、夕美さんへの誕生日プレゼントである以上に、私そのもの。
110:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:34:44.74 ID:dZyp/T120
すぐそこに見える会場を、満員のお客さん達を見つめます。
なぜこの人達が今日ここに集まり、期待に満ちた声を上げてくれるのか。
何を期待されているのか。そして――私達はなぜここにいて、それにどう応えるべきなのか。
111:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:42:03.01 ID:dZyp/T120
この二人は何となく仲良さそうだなぁと思いながら書きました。
ただ、キャラだけでなく、備前焼等の専門的な話についても不勉強が多いです。
変なところがあったらすみません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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