女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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83:名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:22:16.35 ID:KsUO0z3M0
「それで、話ってなんですか?」
「なに、くだらない話だよ。くだらない、くだらない話だ」

 照は絡みつくような物言いでそう言った。
 なにかが起きる。そんな予感がする。どちらにせよ、彼女が消えて三か月だ。僕は、そろそろ行動を起こす必要があった。
以下略 AAS



84:名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:22:44.24 ID:KsUO0z3M0
「完璧な人になりたかった」と照は言う。

 その言葉は。そしてそれに対する僕の反応は。照に『なにか』を確信させたように見えた。

「私はね、ずっとそんなことを、子供のころから、思っていたんだよ。ちっぽけな自分が嫌でたまらなかった。こんな自分は自分じゃないと、憎んですらいた。君もそうだろう?」
以下略 AAS



85:名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:23:11.39 ID:KsUO0z3M0
たしかに。照の言っていることは僕に一定の共感を与えた。しかし、決定的な部分が違っていた。

「そういうことですか。だから照さんは僕を似ている、というくくりでとどめた。同類とは見なさなかった」

 まるで、照は……照は『彼女がいなかったら』なっていたかもしれない、僕だった。
以下略 AAS



86:名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:23:41.03 ID:KsUO0z3M0
なぜかって?


87:名無しNIPPER[saga]
2017/08/29(火) 21:24:07.28 ID:KsUO0z3M0

「照さん、それは違いますよ。隣の芝が青く見えるように、それでそんなことを思っているだけです」

 わかりきったことだ。

以下略 AAS



88:名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:24:50.90 ID:KsUO0z3M0

「学力試験第一位、佐藤祐樹」

 それは、なにもかもを破壊する魔法の呪文のようだった。
 照は濁りきった瞳でそれを発した。
以下略 AAS



89:名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:26:34.83 ID:KsUO0z3M0
「なにをするつもりなのか、私にはわからない。だがこれは、確実にウチに来た理由にかかわってるんだろうね。君は社会を変えたい、と言った。けど普通、少なくともウチにくる前に、その学力をもってなにかをやろうとするだろう」

 冷汗が背をつたうのを感じていた。
 だがそれでも、平然としたなりを装って僕はこう言う。

以下略 AAS



90:名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:27:15.22 ID:KsUO0z3M0
その大声は、照を黙らせた。
 彼は何も言わない。言えないのだろう。きっとその情報はボスから話される。彼にはその権利がない。……今、彼が言っている言葉だって、おそらくは逸脱した行為なのだろう。
 照は天を仰ぐ。何かを誤魔化すみたいに、きまり悪く笑う。

「ああ、自分らしくないことをしたなあ。嫌になるぐらい感情的な行動だ。なあ、祐樹君?」
以下略 AAS



91:名無しNIPPER[saga]
2017/08/29(火) 21:27:48.16 ID:KsUO0z3M0
「よう、小僧……じゃなくて祐樹。最近、首尾はどうだ」
「上々ですよ。現実的に可能な限りにおいて、ですが」

 からからと、ボスは笑う。
 僕はゆっくりと息を吸う。照に言われた言葉がわずかに余韻を残していた。それはこれからのことに邪魔になる。必要な要素だけ抜き取り、使うのだ。ただただ、最善を選ぶ。今まで通りに、同じことをすればいい。
以下略 AAS



92:名無しNIPPER[saga]
2017/08/29(火) 21:28:15.72 ID:KsUO0z3M0
「教える気はなかったんだがな。今教えとかないと後が怖そうだ。まあ、どっちでもよかったんだが、仕方ない。あのな、祐樹。おまえは……」

 俺の後継者になるんだよ。

「…………は?」
以下略 AAS



93:名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:28:42.48 ID:KsUO0z3M0
並びたてられていく言葉の数々。
 それは、やや過剰な称賛とも言えた。僕が精密な機械を目指す、ミスをしないことを目指す、完璧な人を目指している、というのはあながち間違いではない。
 人心掌握。処世術。人間関係。
 ボスの言っていることに、いくつかの心当たりはある。僕がどういう目的で、人との付き合いを円滑にしたのかとか、そういうことは、あまり関係がないのだろう。結果はすでに出ている。それが自分に嘘をついた仮初の姿だったとしても、三か月の期間、演じ続けられたのなら、これからもできる。『能力がある』そういうことだ。

以下略 AAS



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