女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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名無しNIPPER
2017/08/29(火) 21:22:16.35 ID:KsUO0z3M0
「それで、話ってなんですか?」
「なに、くだらない話だよ。くだらない、くだらない話だ」
照は絡みつくような物言いでそう言った。
なにかが起きる。そんな予感がする。どちらにせよ、彼女が消えて三か月だ。僕は、そろそろ行動を起こす必要があった。
「君はずっとこう思っていたはずだ。『なぜ照はこんなにも自分のことを好くのだろう』と」
それは、思っていなかったといえば嘘になる。だがそれは重要なことではなかった。
人心掌握。処世術。人間関係。
相手の望む言葉には、その相手が不快になる言葉もある。だがそれを悟って嘘をつけば、失うのは信用だ。結果が重要なのだ。そこに僕の意思、真実は、関係がない。
「そうですね。変だとはずっと思っていました」
「私はね、勝手に君と私が同類だと、思っていたんだ。……まあ、そういうわけではなかったようだけど」
――嫌な予感がする。
「私と君はかなり似ている……そんな仲間意識をもっていたんだよ」
「はは。そこまでとは、思ってもいませんでしたよ」
照は人との距離をうまく保つ。踏み込みすぎず、されど支えられる位置にはいる、そんな男。
僕は初対面のこともあって、そこまで照のことを好かなかったが、実は組織での照の評判は低くない。その人の好さそうな顔と、トレンドマークである髪のない頭が、まるでお坊さんのような雰囲気を生み出していて、話していなくても、勝手に好印象を持たれるのだ。事実、組織の構成員が、彼に悩み事を相談しに来たりするらしい。話がうまく、敵愾心を感じさせない彼は、非の打ちどころのない優秀な幹部だった。
「『人が目指すは完璧という高見。見えず、届かずともいえど、それを目指すということには意味がある』こんな言葉を、知っているかい」
「いえ……」
「ははは」
照が笑い声をあげる。何がどうおかしいのか、まるで判断がつかなかった。
「この組織にある昔の本さ。『星堕ち』以前に書かれた小説で、私はその本のファンなんだよ」
「……」
「君は、知らない、と言ったね、でもこの言葉と同じようなことを、考えた事があるはずだ」
確信したような口調。
こういった考えを持つものは一定数存在するだろう。当てはまりやすい事象をかまかけで聞いているだけだ。
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