90:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:31:28.05 ID:I+fdqcufo
髪が燃え、皮膚がただれ、肉が焦がされ、骨が焼かれる。全身が炎に犯され、神経
がこれでもかというほど、脳に信号を送ってくる。
91:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:33:34.74 ID:I+fdqcufo
「たわけっ!」
と、建物の方から幼い声がした。
92:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:34:50.12 ID:I+fdqcufo
建物の中、陽の当たらない影の中に入ると、まるで全てが嘘だったかのように、『なかっ
たこと』になったかのように、ぼくの体を包む業火は消え去った。服も全て元通り――いや、
93:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:38:21.77 ID:I+fdqcufo
「全く。いきなり太陽の下に出る馬鹿がどこにおるのじゃ――ちょっと眼を離しておる隙に、
勝手な真似をしおって。自殺志願か、うぬは。並の吸血鬼なら一瞬で蒸発しておったぞ。
94:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:39:38.48 ID:I+fdqcufo
「心配しなくても聞こえてるよ。大丈夫。大丈夫」
と、ぼくは彼女の頭を撫でた。
95:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:40:40.27 ID:I+fdqcufo
「すると、きみは――その、昨日の吸血鬼ってことでいいのかな?」
と、尋ねると、彼女はそれで我を取り戻したのか。慌てて、ぼくを軽く突き飛ばし、少し
96:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:42:29.88 ID:I+fdqcufo
「け、眷属を造るのは四百年ぶり二回目じゃったが、まあその回復力を見る限りにおいて、
うまくいったようじゃな。暴走する様子もなさそうじゃ。なかなか眼を覚まさんから心配したぞ」
97:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:44:33.94 ID:I+fdqcufo
「そう。うぬは眷属、吸血鬼となったのじゃ。さて、従僕よ」
彼女は笑った。
98:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:45:24.55 ID:I+fdqcufo
「……ちょっと、質問いいかな?」
「うん? なんじゃ。何でも言うてみい」
99:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:46:42.37 ID:I+fdqcufo
……えっと……なんで?
今がまだ、太陽が出ている時間帯だから、ということだろうか?
100:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:47:55.80 ID:I+fdqcufo
「儂がこのような姿でいるのは、端的に言って力が足りていないからなのじゃ。力が、
血が不足しておる」
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