キスショット「これも、また、戯言か」
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92:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:34:50.12 ID:I+fdqcufo

 建物の中、陽の当たらない影の中に入ると、まるで全てが嘘だったかのように、『なかっ

たこと』になったかのように、ぼくの体を包む業火は消え去った。服も全て元通り――いや、

上着の至る所に、泥が付着していたし、足が焼けただれた影響で脱げた靴は、今も建物の

外に放置されたままであるが――とにかく、元通り。燃えていたのはぼくの肉体のみで、

服には火が回らなかったということだろう。

 人体の自然発火現象も相当の驚きだが、その炎が服にまで回らなかったこと、また、そ

の炎が一瞬で消え、ぼくの肉体に後遺症等を残さず一瞬で回復してしまったことの前では、

自然発火現象のことなどなんてことはない。レーザーやらプラズマやらの解釈はあるし、

それに関する論文や、実験はむこうで見ている。

 しかし、それ以外は説明がつけられない。そこらで買った服が耐火服であるわけがない

し、瞬時の消火、回復は、きっと誰にも説明がつけられないと思う。

 超常現象。

 吸血鬼。

 まさか……いや……そんな……。



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