93:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 16:38:21.77 ID:I+fdqcufo
「全く。いきなり太陽の下に出る馬鹿がどこにおるのじゃ――ちょっと眼を離しておる隙に、
勝手な真似をしおって。自殺志願か、うぬは。並の吸血鬼なら一瞬で蒸発しておったぞ。
日のある内は二度と外に出るでない。なまじ不死力があるだけに、焼かれ、回復し、焼か
れ、回復し――の、永遠の繰り返しじゃ。回復力が尽きるのが先か太陽が沈むのが先か
――いずれにせよ、生き地獄を味わうことになる。まあ、不死の吸血鬼を生きておるのだ
と定義すればじゃがのう――――――――――――――――――――――――――――
って、うぬ、おい、聞いているのか?」
「…………」
「聞こえておるんじゃろ? なあ、おい」
「…………」
「まさか、うぬ! しゃべれんのか!? そんな、まさか失敗して……」
「…………」
「ああ……そんな、そんなっ!」
「…………」
「…………うっ」
と、そこで、少女はこちらにも伝わってきそうなくらい寂しそうに、目に涙を溜めた。
「泣いちゃ駄目だ。泣いちゃ駄目だ」という、心の声まで聞こえてきそうなほどに、必死に
歯を食いしばり、小さな手をぎゅっと握り締めて、それでもやっぱりこらえきれないのか、
少し顔を俯ける。
ああ、もう、可愛いなあ。
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