57:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:19:40.22 ID:I+fdqcufo
その鋭くも冷たい視線にぼくは身のすくむような思いをするが――しかし、ここでそこ
まで怯えることはなかったのかもしれない。
58:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:21:57.16 ID:I+fdqcufo
『彼女』には、出すための手がなかった。
右腕は肘の辺りから。
59:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:25:29.25 ID:I+fdqcufo
「……ふうん」
腕時計を盗み見るように確認する。
60:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:27:42.62 ID:I+fdqcufo
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「じゃから……、うぬの血をよこせ」
「…………は?」
61:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:29:28.03 ID:I+fdqcufo
「我が名は、我が名はキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード……
鉄血にして熱血にして冷血の――吸血鬼じゃ」
62:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:30:17.88 ID:I+fdqcufo
「…………」
絶句。
63:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:31:17.68 ID:I+fdqcufo
よく見れば、開いた唇の内には――鋭い二本の牙が見える。
鋭い――牙が。
64:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:33:09.48 ID:I+fdqcufo
…………。
まるでわけがわからない。
65:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:34:37.34 ID:I+fdqcufo
「なに言ってんですか。いやですよ、そんなの」
「いや……なのか?」
カシ
66:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:35:26.89 ID:I+fdqcufo
「おいおい、ふざけておる場合じゃないぞ。早く血を寄越せ。なにをとろとろしておるの
じゃ、こののろまが」
67:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:38:36.86 ID:I+fdqcufo
たしかにぼくは死にたがりの戯言遣いで。
生きていたってどうしようもない欠陥製品だけれど。
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