キスショット「これも、また、戯言か」
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61:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:29:28.03 ID:I+fdqcufo

「我が名は、我が名はキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード……

鉄血にして熱血にして冷血の――吸血鬼じゃ」

「………………………この非常時に、あなた、なにを言ってるんですか?」

 そう言いながらも、ぼくはあることを思い出していた。

 そう、それは昼ごろ、翼ちゃんと交わした会話。

 ――女子の間では有名な話――夜―― 一人で出歩いちゃ駄目――金髪の、すごく

綺麗な女の人――背筋が凍るくらい、冷たい眼――街灯に照らされて、金髪は眩しい

くらいだったのに――影がなかった――

 目の前の『彼女』を見る。

 周囲の街灯が全て消えている中、唯一、点灯している街灯の下にいる『彼女』は、まる

で舞台の上で華やかなスポットライトを浴びているようだったが――そして、その街灯に

照らされた彼女の金髪は、本当に眼もくらむほどだったが――しかし。

 本当に。

 『彼女』には影がなかった。



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