63:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 15:31:17.68 ID:I+fdqcufo
よく見れば、開いた唇の内には――鋭い二本の牙が見える。
鋭い――牙が。
「……吸血鬼、ってのは」
ぼくは息を呑んで、現象を呑んで、『彼女』に訊いた。
「不死身なんじゃ――ないんですか?」
「血を失い過ぎた。もはや再生もできぬ、変形もできぬ。このままでは――死んでしまう」
「じゃから」と――彼女は続ける。
「うぬの血を、我が肉として呑み込んでやる。とるに足らん人間ごときが――我が血肉と
なれることを光栄に思え」
「…………」
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