234:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:36:21.98 ID:znhwGlXXo
「私には今五十三人の同胞がいる。そして、組織のナンバーワンがこの私だ。しかし、もし、
お前が入れば、いずれはお前が組織のナンバーワンとなるだろう。今はまだ成り立てだが、
235:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:37:39.26 ID:znhwGlXXo
「それで、ぼくがこの勧誘に応じれば、キスショットの右脚は返してもらえると、
そういう話ですか? これは」
236:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:38:56.66 ID:znhwGlXXo
「ぼくはキスショットを戻して人間に戻る。吸血鬼の仲間になんてなるか」
「…………そうか」
237:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:40:29.64 ID:znhwGlXXo
「惜しいな」とドラマツルギーはつぶやいて肩、首、そして腕を回す。準備運動――――
つまりは、本気ということだ。
238:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:40:58.69 ID:znhwGlXXo
――などと、考えた自分が甘かった。
239:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:41:30.88 ID:znhwGlXXo
「は?」
思わず声が出る。ドラマツルギーは、その巨体に似合わない俊敏な動きで、一足でぼくに詰め寄った。
240:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:42:43.07 ID:znhwGlXXo
一瞬、視界が暗転する。その後、ぼくが見たのは星だった。視界いっぱいに広がる夜空。
(ぼくは倒れている?)久しぶりに見た気がするそれらはただひたすらに美しかった。
241:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:44:02.80 ID:znhwGlXXo
「くっ!」
左腕に全力をかけ、全身を飛ばすように地面をうつ。しかしそれでも遅かったらしく、
242:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:44:43.05 ID:znhwGlXXo
ぼくは死ぬ。
殺される。
243:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:47:23.35 ID:znhwGlXXo
唐突に、ぼくの回転は止まる。何か施設の柱にでも引っかかったのか?と、そちらを向くと、
回転を妨げたその正体は、はたしてドラマツルギーの丸太のように太い右脚であった。
244:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 01:48:13.87 ID:znhwGlXXo
一瞬の両腕の激痛。そしてまた一瞬の暗転。
二度目の暗転の後、今度の景色は、夜空と、ドラマツルギーの右脚だった。
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