勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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75:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:44:58.66 ID:09+TUdRc0
もう何度、切り裂かれたのだろう。
勇者の体が再びその場に崩れ落ちる。
僧侶「う、うぅ…ひぐ…!」
76:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:45:56.23 ID:09+TUdRc0
勇者の右腕が、肘と手首のちょうど中ほどまでぐちゃぐちゃに潰された段階で、騎士はその手を止めた。
ぼそぼそと、勇者が何か呟き始めたからだ。
勇者「……や…だ…」
77:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:46:24.04 ID:09+TUdRc0
78:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:47:14.73 ID:09+TUdRc0
勇者「『呪文・大回復』!!」
密かに紡いでいた回復の魔力を勇者は己の右腕に輪転させる。
完全回復というわけにはいかないが、何とか機能を取り戻した右手も使って、勇者は両手で騎士の体を掴んだ。
79:名無しNIPPER
2016/02/28(日) 19:47:33.08 ID:X/H49ZFo0
更新来てる?
80:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:47:40.12 ID:09+TUdRc0
僧侶「ううう…! うぐ…ふぐ…!!」
子供のように泣きじゃくりながら、僧侶は勇者に回復呪文をかけ続ける。
彼女は知っている。勇者が痛みを病的なまでに嫌っていることを。
彼女は思い知っている。それでも勇者は、いざという時には他人の為に自分を犠牲にしてしまうことを。
81:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:48:41.23 ID:09+TUdRc0
雷が落ちる。
既にその数は十を超えている。
二人の男はもはや声を上げもしない。
ただ歯を食いしばり、耐え凌いでいる。
目の前の男が先に倒れるのを待っている。
82:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:49:13.61 ID:09+TUdRc0
勇者「『呪文・大雷撃』ッ!!!!」
失いそうになる意識を必死でつなぎ止めながら、勇者は叫ぶ。
新たな雷が己の体を打った。直後に、僧侶の回復呪文が飛んでくる。
それによって痛みは多少マシになる―――が、すぐに新しい雷が体を打つ。
83:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:50:05.27 ID:09+TUdRc0
高名な父の元に生まれ、ただその跡継ぎとしての人生を求められた
『世界を救う』なんて大役を周囲から押し付けられて生きてきた
84:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:50:42.06 ID:09+TUdRc0
あっさりと自分の真逆の道を行く奴が目の前に現れた
85:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:51:12.44 ID:09+TUdRc0
勇者「騎ィィィィィ士ィィィィィイイイイイイイイイ!!!!!!!」
騎士「勇ゥゥゥゥゥ者ぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!」
一際眩い雷光が二人の体を貫いた。
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