勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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80:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:47:40.12 ID:09+TUdRc0
僧侶「ううう…! うぐ…ふぐ…!!」
子供のように泣きじゃくりながら、僧侶は勇者に回復呪文をかけ続ける。
彼女は知っている。勇者が痛みを病的なまでに嫌っていることを。
彼女は思い知っている。それでも勇者は、いざという時には他人の為に自分を犠牲にしてしまうことを。
そうさせないように強くなろうと誓ったはずなのに。
なのにまた、今回も、結局は。
―――また、雷が落ちた。
僧侶の目が光に眩む。轟く雷鳴が僧侶の耳をつんざく。
僧侶(ごめんなさい……)
杖を振る度に、僧侶は勇者に謝罪する。
勇者が命を落とさぬよう回復を続けるということは、裏を返せば死ぬほどの苦しみをずっと延長し続けるということだ。
僧侶(ごめんなさい…ごめんなさい…!)
傷ついてほしくないと嘯きながら、彼の自殺行為を容認している。
彼の考えに乗り、杖を振り続けるという事はつまりそういうことだ。
罪悪感と無力感に苛まれながら、僧侶はただ勇者の言葉に縋り、回復呪文を紡ぎ続ける。
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