勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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549:名無しNIPPER[sage saga]
2017/06/25(日) 16:06:57.96 ID:dyU/3Fo20
 爆ぜる衝撃が戦士の頬を撫でた。
 勇者の体を中心に荒れ狂う嵐が『大魔王の間』の広大な空間を切り裂いていく。

勇者「『呪文・極大烈風』」

以下略 AAS



550:名無しNIPPER[sage saga]
2017/06/25(日) 16:07:35.39 ID:dyU/3Fo20
 大魔王は勇者に問う。

大魔王「なあ、勇者。俺のやっていることは悪か? 俺がこの胸に抱き、叶えたいと望む願いは断罪されるべきものなのか?」

大魔王「だって、見てみろよ。この魔界の荒れ果てた様を。新たな命など芽吹くはずもない荒涼とした大地を。こんなの、誰が見たってこう思うだろう」
以下略 AAS



551:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:08:33.42 ID:dyU/3Fo20

 戦士は大魔王城を脱出し、城の南西に位置する小高い丘の上にいた。
 ある程度の距離が離れたこの場所にまで伝わってくる大地の鳴動が戦いの激しさを戦士に伝えている。
 光の柱が大魔王城の壁を突き破って噴出した。
 勇者の呪文・極大雷撃だ。
以下略 AAS



552:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:09:15.92 ID:dyU/3Fo20
 勇者が大魔王に肉薄し、剣を振る。
 一度、二度――――三度、四度、五度。
 絶え間なく繰り出される連撃を、大魔王はその腕で打ち払う。
 大魔王の腕は理外の強度を誇り、今の勇者の剣をすら両断されることなく受け止めている。
 衝突、衝突。そのたびに巻き起こる空気の爆裂とそれに伴う轟音。
以下略 AAS



553:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:10:39.90 ID:dyU/3Fo20
 大魔王は戦闘態勢を解き、再度勇者に語り掛けた。

大魔王「勇者よ……これが最後だ。今一度問う。剣を収める気はないか?」

大魔王「このままだと、俺は奥の手を使わなくてはならなくなる。これをしてしまうと、俺もお前も絶対にただではすまん。そうなる前に、平和的解決を模索したいのだ、俺は」
以下略 AAS



554:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:11:45.38 ID:dyU/3Fo20
 唐突であった。
 ほんの僅か、ほんの数ミリほど、大魔王の左手の先に暗闇が生じた瞬間。
 大魔王の左腕がもぎ取られ、その穴に吸い込まれていった。

大魔王「ぬ、ぐ…!!」
以下略 AAS



555:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:12:26.58 ID:dyU/3Fo20
 ドスン、と肉を裂く音がする。
 大魔王の心臓を、勇者の剣が貫いていた。
 がふ、と大魔王は血の塊を吐き出す。

大魔王「…そうか……」
以下略 AAS



556:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:13:14.79 ID:dyU/3Fo20
 時を大魔王城完全崩壊の直前に巻き戻す。
 勇者は大魔王の拘束を解き、出口に向かって城内を駆けていた。
 振動は絶え間なく続き、頭上からは次々と巨大な瓦礫が降り注いでくる。
 その内のひとつが勇者の体を直撃した。
 しかし勇者はあっさりとその瓦礫をひっくり返して立ち上がり、再び駆け出す。
以下略 AAS



557:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:14:07.37 ID:dyU/3Fo20
 ―――――全壊したはずの大魔王城において、ひとつだけ傷ひとつ入っていない部屋があった。
 室内には円柱形の水槽が三本立っており、それぞれに魔王と同じ姿をした魔物が浮かんでいる。
 壁際の本棚には手垢で汚れた様々な書物がみっちりと並んでおり、その中には勇者の世界の言語で記された物もあった。
 たくさんの資料が綴られた分厚い冊子を片手に、魔王のサンプルを観察する少女がいた。
 ゆるくウェーブがかった黒髪を肩甲骨の辺りまで伸ばしている。
以下略 AAS



558:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:15:03.51 ID:dyU/3Fo20
 室内に響く、もう一人の男の声。
 大魔王の顔が凍り付いた。
 大魔王が恐る恐る部屋の入り口に目を向けると――――そこには、勇者が立っていた。

勇者「お前が城を崩落させた意味を考えた」
以下略 AAS



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