勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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550:名無しNIPPER[sage saga]
2017/06/25(日) 16:07:35.39 ID:dyU/3Fo20
 大魔王は勇者に問う。

大魔王「なあ、勇者。俺のやっていることは悪か? 俺がこの胸に抱き、叶えたいと望む願いは断罪されるべきものなのか?」

大魔王「だって、見てみろよ。この魔界の荒れ果てた様を。新たな命など芽吹くはずもない荒涼とした大地を。こんなの、誰が見たってこう思うだろう」

大魔王「『何とかしなきゃ』、と」

大魔王「後に生きる者のため、健全な世界を残したいと思うのは、今を生きる者として当然の感情だ。いや、もはや義務と言ってしまってもいい」

大魔王「だから俺は行動を起こした。確かにお前たちの世界に迷惑をかけていることは認めよう。しかし俺たちには他に手段が無かったのだ」

大魔王「……あと少しなのだ。あと少しで俺の魔界再生計画は成る。頼む、勇者。異なる世界に生きようとも、俺たちの根底にある思いは同じのはずだ」

大魔王「『皆が幸せになる世界を作る』―――――俺たちは、手を取り合って共存できるはずだ。それともお前は、それでも俺たちを否定するのか。一匹残らず滅び絶えろと、俺たちにそう言うのか。勇者よ」

 大魔王の言葉を受けて、勇者はしばし目を瞑り、それから大きく息を吐いた。
 そして、勇者は口元に笑みを形作る。

勇者「そうやって、親父も丸め込んだのか?」

 なるほどな、と勇者は愉快そうに呟いた。
 そして、勇者は大魔王に返答する。

勇者「確かにお前は間違っちゃいないよ、大魔王。お前のその思いは当然だ。お前の立場なら、自分の世界を救いたいと願うのはひどく真っ当な感情だ」

勇者「だけどな、やり方が悪いよ。わかるぜ? 人の家の庭を見て、芝が青いなと憧れるのは、羨ましがるのはしょうがねえ。でも、だからって、テメエんとこの庭のゴミをこっちに投げ込まれちゃたまったもんじゃないんだよ」

勇者「どんなに綺麗ごとを並べても、お前がやってることってのは結局そういうことなんだ。 そりゃゴミを投げ込まれた俺たちはキレるだろ? それをなんだ? 『あと少しでこっち側も綺麗になるんですからあとちょっとだけ辛抱してくださいよ』って? 馬鹿言ってんじゃねえよ」

勇者「お前たちは自分たちが生きるために俺たちを犠牲にしようとした。だから俺たちは反撃した。それだけのことだろうが。どれだけ高尚な言葉を並べ立てようと―――つまるところ、これはただの生存競争。望む結果を得たいなら――――それに反発する俺たちを駆逐してみせろ」




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