勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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555:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:12:26.58 ID:dyU/3Fo20
 ドスン、と肉を裂く音がする。
 大魔王の心臓を、勇者の剣が貫いていた。
 がふ、と大魔王は血の塊を吐き出す。

大魔王「…そうか……」

 大魔王はぼぅ、と視線を虚空に彷徨わせ、呟いた。
 しかしその後には再び爛と目を輝かせ、にやりと笑ってしっかりと勇者の顔を見据える。

大魔王「お前の勝ちだ、勇者。俺はもう死ぬ。俺の魔界再生の夢は儚くもここで志半ばに散るというわけだ。はっはっは。あっはっはっは!!」

 大魔王が背にしていた床が輝いた。
 ボン! と音を立てて飛び出した鎖が勇者の体を絡めとる。

大魔王「先ほども言ったがこの城は俺の魔力でその形を自由に変える。つまり、『壊すのも自由というわけだ』。俺の夢を、魔界の未来を潰したお前だけは絶対に生かして帰さん。ここで潰れて死ね、勇者。俺と共に」

 大魔王の背から伸びる光が、城中に広がっていく。
 それはまるで、波にさらされた砂の城に罅が刻まれていくように。






大魔王「奈落の底まで付き合ってくれると、そう言ったよな? 勇者」














 勇者を待ち続ける戦士の目の前で、大魔王城が崩落する。


 ―――――戦士は勇者の名を絶叫した。




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