勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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553:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:10:39.90 ID:dyU/3Fo20
 大魔王は戦闘態勢を解き、再度勇者に語り掛けた。

大魔王「勇者よ……これが最後だ。今一度問う。剣を収める気はないか?」

大魔王「このままだと、俺は奥の手を使わなくてはならなくなる。これをしてしまうと、俺もお前も絶対にただではすまん。そうなる前に、平和的解決を模索したいのだ、俺は」

勇者「下手な脅しだな。まあいい。言ってみろよ、お前なりの折衷案ってやつを」

大魔王「これ以上お前の世界を侵攻することはしない。その代わり、俺の強権をもって、あらゆる不平不満を鏖殺して魔物を一つ所に集めるから、そ奴らをお前の手で始末してほしいのだ」

勇者「もうなりふり構わず有害な魔物を駆除してしまおうって腹か。別にやってやってもいいが、それだと巨大な毒沼が俺たちの世界に出来上がってしまう。やるなら魔界でだ」

大魔王「……それは出来ん。血気盛んな魔物を一つ所に集めるためには、全軍総突撃のためという大義名分がいる。その為にはお前の世界でなくてはならぬ。集合地を魔界にすれば、それは全軍退却の意味を孕んでしまう。それでは奴らは聞かんのだ」

勇者「なら交渉は決裂だ。魔界のゴミをこちらが引き受けてやる義理はない」

大魔王「そうか……ならば……やむをえん、な……」

 大魔王は残った左腕を前に向かって掲げた。
 勇者は油断なく剣を構え、大魔王の様子を注視する。
 何か妙な動きがあれば、即座に首を切り飛ばしにかかるつもりであった。



大魔王「『奈落(ならく)』」





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