魔王「死ぬまで、お前を離さない」 天使「やめ、て」
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234: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:29:04.06 ID:zUoOI/kM0

亀姫「今回の神界戦争…陛下は思いつきだなんて仰っていられましたけど、陛下の中では以前よりお覚悟なさっていた事案なのでは、と」

近衛「! どういう事です」

以下略 AAS



235: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:29:41.48 ID:zUoOI/kM0

亀姫「単純明快よね。神が“勇者”を作る理由は、どう考えても世を正すためですもの」

近衛「そう…そう、ですね。至極当然です。神は、自分に魔王陛下を討たせるつもりだったに違いありません」

以下略 AAS



236: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:30:07.37 ID:zUoOI/kM0

亀姫「“勇者を作ったのは、地表の安寧の象徴にするため。決して魔をどうこうしようとした訳ではない”……ってとこかしらね」

近衛「……? 自分は、魔王陛下を討つためではなく… ニンゲン世界の平和の為に勇者になった、と?」

以下略 AAS



237: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:30:53.27 ID:zUoOI/kM0

亀姫「……もし、ニンゲンが本当に魔に滅ぼされて…。その後で神が、“平和な世を目指す第一歩だった。独善的で横暴な魔は許せない”と魔に制裁を与え、ニンゲンの死を悼んだなら……近衛はどう思ったかしら?」

近衛「……ひどく…魔を、恨んでいた…? 憎んでいたかもしれない…」

以下略 AAS



238: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:31:39.05 ID:zUoOI/kM0

近衛「……っ そうか、この場で本を書いていた彼もまた、その駒の一人ということか。神に窮地を助けられた、信仰心の厚い小僧……」

亀姫「ええ、そうでしょうね。“神はニンゲンを救おうと努力していた”と語る、生き証人。都合良く後世に残る“神の偉業を讃える伝記”の作成者の役割を与えられたのですわ」

以下略 AAS



239: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:32:27.56 ID:zUoOI/kM0

近衛「天と地に挟まれた地表を離れ、自立させてくださったのが魔王陛下です! だからこそ自分は魔王陛下に従っている…!」

近衛「院も陛下も悪行など働いていない! 踏みとどまり、逆に永遠に守ってくださっているのです!」

以下略 AAS



240: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:32:58.97 ID:zUoOI/kM0

近衛「……天使殿は、自分が落ちてしまったが故にこの戦争が起きたのだと強くご自身を責めていらしたというのに……」

亀姫「ええ。そんな人物だからこそ“役割”に選ばれたのですわ」

以下略 AAS



241: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:33:29.40 ID:zUoOI/kM0

亀姫は寂しそうに呟いた。
魔王が天使に寄せていた思いは、神との衝突という危険回避のためだけではないのは明白だ。

こうなっては愛しい思い人が天使を愛するという行為を、愚行と責めることもできない。
以下略 AAS



242: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:34:09.24 ID:zUoOI/kM0

亀姫「落ち着きなさい。…私にだって気持ちは理解できるわ。とても許されるものではないもの……」


亀姫はそんな近衛の手を取り、怪我をしているわけでもない近衛に治癒呪文を与えた。
以下略 AAS



243: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:35:33.08 ID:zUoOI/kM0

亀姫は愛し子の優しさを褒めるように微笑んで、静かに会話を続けた。

その微笑が、近衛に向けられているのか魔王に向けられているのかわからない。
だけれど近衛は黙ってそれを見つめ、亀姫の手を温めながら耳を傾ける。
以下略 AAS



244: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 05:36:10.96 ID:zUoOI/kM0

近衛「あれは…… どういう意味なのでしょうね…」

亀姫「ふふ。そのままの意味ですわ。『悪い者や悪い行い』が“悪”だと思ってはいけない。逆もまた然り。……それだけの言葉」

以下略 AAS



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