とある後日の幻想創話(イマジンストーリー)4
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741: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:12:48.88 ID:i8/dHQWr0

だが、それでもヴラド三世は諦めることが出来なかった。
敵が如何に強大であったとしても、それに迎合する選択肢は彼の中には存在しない。
今まで不本意に思いながらも敵国の傀儡としてしか生きて来られなかったが為に、
国王になってまでも人形として生きることは、決して許容できることではなかったのだ。
以下略 AAS



742: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:13:47.49 ID:i8/dHQWr0

強大な魔力を持つ魔術師。彼等を味方に出来たら、どれほど良いことだろうか。
それを実現できれば、ワラキア公国は瞬く間に列強国の仲間入りを果たすことが出来るだろう。
だが実際は、その手段を執ることなど不可能である。相手は存在するのかどうかもわからない埒外の者達だ。
魔術が生まれて数千年。未だに御伽話の域を出ない存在に遭遇する事を期待するなど、あまりにも現実的ではない。
以下略 AAS



743: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:14:39.43 ID:i8/dHQWr0

そして姿形を似せることでオリジナルの力を借り受けるという方法は、道具だけに当てはまるものではない。
それは生物に関しても同じであり、十字教の中ではそれを利用して破格の力を手にした者が存在する。
十字教の開祖である『神の子』に生まれつき似ていたが為に、神の力の一端をその身に授かった者達。
『聖人』と呼ばれる彼らは、奇跡とも言い切れる偶然によって何者にも揺るがされない立場へと収まった。
以下略 AAS



744: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:15:42.79 ID:i8/dHQWr0

だが全くの八方塞がり、手がないというわけでもない。
吸血鬼がどのような存在なのかについては、人々の口伝の中にその答えがある。


以下略 AAS



745: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:17:51.67 ID:i8/dHQWr0

その名は『ヴォルデンベルク男爵』。
吸血鬼研究の第一人者と『設定された』一人の男。
間諜達は一人一人がヴォルデンベルク男爵となり、吸血鬼の情報を集める。
そして集められた情報は架空の存在である、ヴォルデンベルク男爵によって取り纏められるのである。
以下略 AAS



746: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:19:03.34 ID:i8/dHQWr0

幸いにして、その狂気に塗れた実験に使える『囚人(モルモット)』は豊富にあった。
散発的に起こる戦争から得られる捕虜達、ヴラド三世が政敵と認めた貴族、その他諸々である。
スカーレット家は彼等を十分に活用し、日夜実験に明け暮れた。
その間、彼等の館の地下からは断末魔の声が絶えることはなく、館の周辺には夥しい数の墓標が生まれたという。
以下略 AAS



747: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:20:16.30 ID:i8/dHQWr0

ヴラド三世への『竜の子の刻印』の移植。それは何も滞ることなく成功した。
刻印の発動にも問題なし。発動には処女の血が必要であるという点には多少顔を顰めたが、必要なこととして彼は割り切る。
ただ一つ誤算だったのは、刻印の効果は直ぐに目に見えた形で現れるものではなかったことということだ。
スカーレット家の見立てでは、完全に体が組み変わるまでには最低でも一年の月日を要する。
以下略 AAS



748: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:21:28.07 ID:i8/dHQWr0

人が人以上の力を手にするためには、相応の対価が必要だ。
聖人が神の力を手にする代わり、常に力の暴発による自滅の危険を背負うように。
無論それは『竜の子の刻印』についても当てはまる。
そして当然、ヴラド三世やスカーレット家もそのことを理解していた。
以下略 AAS



749: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:22:57.47 ID:i8/dHQWr0

その後に起こったことは、歴史書に記された通りである。
彼は自身に敵対する貴族達を一切の躊躇いも無く処刑し、国の権力を掌握。
さらには貢納の要求のために来訪したオスマン帝国の使者を串刺しにした。
そしてそれに激怒したオスマン帝国が、大軍を率いて攻め込んできた時。
以下略 AAS



750: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:23:56.92 ID:i8/dHQWr0

一方、歴史の表に出ることがなかったスカーレット家はどうなったのか。
彼等の結末を一言で済ませるならば、『関係者は皆、一人残らず死んだ』。


以下略 AAS



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