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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 872 :赤ペン [sage saga]:2021/09/11(土) 10:53:32.46 ID:+DKgrkLz0
- はいなー
無理はしないでね
- 873 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/12(日) 21:23:05.92 ID:U0RG7NHm0
- 雑兵物語読了
なるほど
補給は現地調達、孫子なんだな
攻めかかる方がコストを軽く見積もるのは悪党時代からの伝統とな
なるほど、明治維新で警察は士族で軍隊は雑兵となると
そして日本軍は結局雑兵が兵卒であったということか
なるほど感がありました
名著でありました
戦は飢饉と思えというのは明言だな
- 874 :赤ペン [sage saga]:2021/09/16(木) 18:44:14.81 ID:+z6BOtnN0
- SAOの再放送見たけどチート使ってるGMがむかつくからそれ以上のチート使って相手のレベル1に下げて嬲り殺すとかなかなかいい性格してるなキリト
お前の強さはゲームのバグから発生した前のゲームのステータス引継ぎ…このゲームで積み上げたものじゃないんだが
そのステータスの暴力で相手に最強武器だけ渡して決闘()するとか…まあ相手も糞な性格して糞な行動してたけどさあ
- 875 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/18(土) 15:05:47.47 ID:ng+NdmVx0
- 【急募】
山の神様の機嫌を上向かせる捧げ物
- 876 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/18(土) 15:40:00.43 ID:ng+NdmVx0
- なんとかなりました
なお捧げ物の情報は随時募集しております
- 877 :赤ペン [sage saga]:2021/09/20(月) 10:09:31.38 ID:AKZn7UqF0
- ハンカチとか石鹸とか…あとはアロマキャンドル?
シャンパンとチーズとかワインとクラッカー…お酒はいける口かは知りませんが
- 878 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/20(月) 16:52:59.16 ID:dKtBssAv0
- ありがとうございます!
やっぱ消え物が一番ですよね
スイーツを捧げてなんとかしてます
お酒は飲まないですねー
一口だけ味見、はたまにやってますが
- 879 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/20(月) 16:53:35.04 ID:dKtBssAv0
- そして月姫ゲット!
ちまちますすめていこう・・・
- 880 :赤ペン [sage saga]:2021/09/22(水) 09:01:37.17 ID:h+AOOt730
- コーヒー紅茶緑茶で嗜好品があるならいつも飲んでるのとは違うものを一ノ瀬さんのセンスで見繕うのも良いかな
自分の好きな味があるとついついそればっかり買ってしまって冒険しなくなるから
- 881 :赤ペン [sage saga]:2021/09/23(木) 09:40:18.35 ID:7F1h/HiF0
- あとはカップとか湯飲みもそれほど重くないからいいかも?…でもそれなら一緒にどういうのが良いか相談しながら買った方が良いかな
- 882 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/25(土) 05:54:33.56 ID:nS/zen5N0
- なるほどコーヒー紅茶、これだな!
フレーバーティとか試してみよう・・・
丸福コーヒーなら阪急にあるヨシ!
- 883 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/18(月) 21:10:43.64 ID:IXgTn2v80
- インプットやった
月姫はまだ
やるぞー
(今から始めるので今日投稿あるかは不明です)
うおおおおおおおおお
という気合いが出てきたぞ
おれはやるぜおれはやるぜおれはやるぜ
- 884 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/18(月) 21:37:57.14 ID:IXgTn2v80
- 「大変だよ!朱里ちゃん!」
あわわ、と足元もおぼつかなく駆け寄る親友に諸葛亮は気を引き締める。彼女は水鏡女学院不世出の才媛。
自分がいなければ間違いなく主席であったほどの、だ。
「どうしたの?雛里ちゃん」
そう言いながらもある程度の推論は成り立つ。この幽州を掌握するにあたって、諸葛亮は政務、鳳統は軍務という分担は実に自然に成り立っていた。
なんとなれば、軍務……特に戦術の閃きにおいては諸葛亮ですら鳳統には一歩以上譲るのだ。
で、あるからして。最優先事項である軍権の掌握について何らかの障害(トラブル)があったのであろうと推論(アタリ)を付ける。その推察は実に正しいが、それは彼女の想定を上回っていた。
「え?白馬義従が……?」
公孫の武威の象徴。地味とも普通とも揶揄されていた公孫賛。だがその実績、実力。それはこの中華でも有数である。
何となれば弱小軍閥の身で北方の護りたる幽州牧に抜擢されるほどに、だ。
そしてその名声、声望を高めたのが白馬義従。白馬のみで構成された騎兵。それはあの匈奴とすら伍し、むしろ正面から渡り合って圧倒するほどの強兵なのである。
その、北方の護り手たる白馬義従を掌握するべく鳳統は動いていたのだが。
「演習、だっていうの……?」
「あわわ、それも長期の、だよう。朱里ちゃん」
「でもいずれは襄平に帰還するんでしょう?雛里ちゃん」
「ちがうの……。
あわ……。このままじゃ、不味いよ……」
不在の白馬義従。その行方、その計画。その痕跡は公文書に残されていた故にあっさりと追うことはできる。出来た。だが、その所在地がなんとも。
「はわわ……。なんで?
南皮に、なんで?」
そう。白馬義従の目的地かつ現在の推定所在地は、袁家の本拠たる南皮なのである。
「匈奴の急襲を想定して、救援の演習らしいよ?」
「でもでもだって!州をまたいで兵を動かすなんて!しかも指揮官だっていないのに!」
言いながら諸葛亮は盛大に舌打ちをする。してやられた!
公孫家と袁家が癒着しているのは周知の事実。それに演習計画者はあの韓浩なのだ。袁家が断るはずもない。
「じゃあ、帰還を!即時の帰還、それも最大戦速で!それなら訓練に!」
引き込める。手元に在れば主人たる劉備の大徳でいかようにもなる。匈奴と死闘を繰り返した白馬義従が手元に並び立つというのはこれ以上ない宣伝にもなる。
まずは手元に戦力を!それでなくても一万の騎兵、重要さは言うまでもない。
「もうやってるよ!」
悲痛な叫びにさしもの諸葛亮も戸惑う。
「だったら、そんなに」
悲痛になることはないのではないかと。
「当初の訓練は二段階。匈奴に急襲された南皮への救援。次が要人警護。
その完了時期はおよそひと月後なんだって」
その、鳳雛の言に諸葛亮はギリ、と歯を食いしばる。
「もしかしてその要人って……」
「うん。魯粛さん、于禁さん、秦松さんあたりらしいよ」
やってくれる!そういうことか!いや、そのあたりの人材の暗殺を警戒してのことか!今更ながらに効いてくる韓浩の一手にさしもの諸葛亮が歯噛みする。
まあ、送られてくる人材の排除については読まれていても仕方ないと思っていたのだが、備えの迅速さといったら!
「州牧代の印璽はこちらにあるよ。引き渡しの命令書は?」
「とうに発行してるよ。でもでもだって、こっちの呼びかけに一顧だにしないよ!」
――白馬義従。白馬で固めた公孫の最精鋭の騎馬軍団。実際に白馬であるのは最精鋭の五百ではある。だがそれでも陣頭に立つその威容はかの匈奴をすら恐れさせる存在である。
そしてそれを輔弼する一万余の騎兵も精鋭。匈奴と渡り合う。いや、匈奴を排除するための騎兵たちである。馬家と並んで対匈奴で伍することのできる騎馬軍。その強大さは言うまでもない。それを手中にすべく帰還を呼びかけたのだったが。
絶対に必要な地歩固めすら先送りにして、最も信頼する鳳統を送り出したのだ。いかに白馬義従を重視していたかが窺い知れるというものである。
- 885 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/18(月) 21:38:29.85 ID:IXgTn2v80
- ◆◆◆
さて、使者として全権委任を受けた鳳統は、袁家特有の盥回しの上で目的とされる人物との面会を果たしていた。
「おやおや。残念ですねえ。韓浩さんの立案した演習案。その前半は果たされました。
ですが後半がその要件を満たしていません。なんせ、守護すべき要人の到着が遅れていましてね」
激しく計画の実施を求めた鳳統。それににこやかに応えたのは沮授である。
所詮田豊の尻尾である。公孫の軍権の引き渡しを求めたのだが。
「いやですねえ。貴女、公孫の軍権、関わりないでしょう?
ここは公孫賛殿からの正式な命令書を待たないと色々不味いですよねえ」
にこやかに応えるその表情が憎らしい。
一万もの騎兵。滞在費用についても申し訳ないと言っても。
「ああ、そんなことですか。いや、正直彼らには我が軍の演習にご協力いただいてましてね。いやあ、流石は匈奴と渡り合った騎兵とばかりに勉強させてもらってますよ。
え?摩擦?いやですねえ。二郎君が発案、実施した統合整備計画の折に、随分公孫軍とは連携しましたからね。
それに、中級指揮官は公孫にお世話になった者が結構いますから」
最前線で漢朝を守護する防人。勉強させてもらっていますよと爽やかに笑い沮授はその場を後にする。
彼にとっては鳳統の相手なぞ児戯に等しい。何となれば沮授は伏魔殿たる袁家中枢で長年過ごしてきたのだ。それも、あの「不敗の」田豊の愛弟子として。そして紀霊の義兄弟として、だ。いずれか一つでさえ受ける逆風がどれだけのものか。
にこやかにそれを。一度の弱音も吐かずに。そして比較にならぬほどに逆風を受ける彼を守るために、どれだけの研鑽を重ねたろうか。
正しく沮授は田豊の一番弟子であり、紀霊の義兄弟であった。
そして田豊と麹義。偉大なる先達が隠居したままに沈黙を続けるのも沮授の差配。
「これは大したことではないのです。反董卓連合に於いて現役復帰されたお二方が隠居なさる。つまりそれだけ此度のことは些事。
そしてなにかあればお二方がいる。民心安らかになるこれ以上のことありましょうか」
幼くして田豊にその才を見いだされたその才。単身で劉備の動きを把握し備える。やがて来るであろう戦乱を見据えて。
そして、沮授はこれ以前も以降も、衆人の前で涼やかな笑みを絶やすことはなかったのだ。
――そして白馬義従。公孫の騎兵は正しき主に率いられることになるのであるが、それはまた別の話である。
- 886 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/18(月) 21:39:15.96 ID:IXgTn2v80
- 本日ここまですー
感想とかくだしあー
まあ、こっからやっていきます
GWかお盆には完結させてたいですえn
- 887 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 22:14:25.67 ID:8bzQzfhgo
- 久々の乙したー
復活じゃああああああああああ
いくらはわあわと言えども乗り越えてきた修羅場が違うんよなぁ
きっちり熨斗付けてお返しするんじゃ
- 888 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/19(火) 05:51:32.65 ID:xD1YxAdX0
- >>887
どもです!
きっちり充電してきました!
久々は沮授くんからでしたぜ
ここからここから
- 889 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/19(火) 21:07:39.03 ID:xD1YxAdX0
- 度数の高い火酒が俺の喉を焼く。胃から逆流した炎が双眸から溢れそうになる。かまわず、重ねて喉を焼く。
「あららー、荒れてますねえ」
ひょっこりと姿を現したのは七乃だ。その笑みは深いような、浅いような。真意を掴ませない。凪いだ水平線のように得体が知れず、それでいて引き込まれるような。
「まあいいや。お相伴に預かりますねー」
そう言って手酌でぐびぐびと杯を重ねていこうとする。
「おい、おい。俺の分なくなりそうなんだけども」
「大丈夫ですよ。ほら」
指し示した先には大徳利を抱えた風と稟ちゃんさんがいた。
「おやおや、もうお始めですか〜」
「全く、こらえ性のない!」
「稟ちゃんが言うとどこか意味深なのですよ〜」
「ふ、風?!」
二人のやり取りに、吹き出してしまう。
「てーい」
むにゅ、と柔らかいモノが俺の顔面に押し付けられ、その柔らかさを更に主張する。
「もーう。駄目ですよ?近くにいる人を忘れて遠くを見ちゃうのは。
それに、考えても仕方のないことは考えないに限りますよ?言うじゃないですか。
下手の考えなんとやら、って」
七乃の言に少し笑う。笑ってしまう。
「休むに似たりってか?なら問題ないな!いつも公務は開店休業だし!」
言ったそばからぎゅ、と抱きしめられる。七乃の体温が心地よい。常より高いようなそれが、なぜだか嬉しい。
「胸を張るところじゃないでしょう……。ほら、風もいたずらしようとしない!
――この場でまで道化を演じる必要はないですよ?」
凛ちゃんの言が嬉しい。普段クールな彼女が俺を気にかけてくれるというのが、本当に嬉しい。
「あー。いや、俺が仕事しないのは本当だろうよ」
照れ隠し。それを知ってか知らずか風が俺の頬を小さな両手で挟み、真正面から目をそらさず。
「くふふ。
二郎さんは非常の人なのですよ。組織する人なのですよ。運営する人ではない。それは別に欠点ではないのですね〜。
むしろ、袁家という強大な組織の中枢において、慣例やらしがらみを無視して断を下せる。くふふ。その価値、風達が分からぬはずもないのですよ〜」
待って!なんか思ってたのと違う。そういうのを求めていなかったというか、ねえ。
「そうですよ。お父様が恐れたのもその果断さゆえでしょう。きっとそうでしょうそのはずです。
ええ、ですからもっとどーんと構えててくださって結構ですよ?雑事は私たちにお任せくださいな」
七乃、雑だな?!もっっと褒めて?モチベーションアップに努めて?
- 890 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/19(火) 21:08:38.56 ID:xD1YxAdX0
- 「そう、貴方は断を下せばよろしいのです。後は私たちが如何様にも」
え、なんかえらいハードルが高くなってないかい。そんなん言われたら気軽に断を下せないじゃないかと怯んでしまうぜ。
……違う。違うな。それほどに俺を信頼してくれているってことだろう。俺よりはるかに優秀であろう彼女らが、だ。だったら、だ。ここは気張らんといかんよなあ。かっこつけんといかんよなあ。
とりあえず。
「劉備一党、処分する」
くすり、と。くふふ、と。そして表情を全く変えずに俺の言葉を三者三様に受け止める。
「あららー、穏やかじゃないですねー。罪状はどうするのです?」
「それは七乃に任せる。この件については幽州牧である白蓮の権限において俺に一任されている。適当にでっちあげてくれ。だが、韓浩は謀殺された。この線は譲れん」
断ずる俺にこれまた三者三様の目線をくれる。その目線をそれぞれ真正面から受け止めて。
「あの韓浩が乱心なぞするものかよ。あの韓浩が自刃したんだ。それはよっぽどのことだ。
韓浩は多分俺より生き汚いぞ?そんなあいつがなんで自刃したか」
きっとあの韓浩をして、命を懸けねば処断できぬと思ったのだろう。処断することに命を懸けるだけの価値があると思ったのだろう。
そうさ。紀家軍に連なる奴らは誰一人命を粗末にしたりしない。生きてるだけで大勝利。それこそが姐さんが俺たちに叩きこんだことだからして。
「では討伐の軍を出しますか?まずは糾弾なり事情の調査なりするべきと思いますが」
「そですね。軍を出すにも編成に時間が必要ですし〜。使者を出すのはいいと思うのですよ」
ああ、そうよね。形式は大事よね。うん。
「おや、その様子では腹案があるようですが」
稟ちゃんさんの問いに応える。
「陳琳を派するつもりだ」
沈黙が広がる。その沈黙に台詞をつけるならば、「うわぁ……」というもの。
「……なるほど。本気で劉備一党と事を構えるつもりなのですね」
稟ちゃんさんの言に頷く。
「ああそうだ。まあ、あの陳琳を懐柔できたならばまだ一考の余地はあるが、な」
あの陳琳である。人の神経を逆なですることについては定評のある彼女。それの手綱を初見で握り、こちらと協調するサインを送れるのならば話は別だがな!
「承りました」
「承知です」
「了解なのですよ〜」
それぞれの諾の返事に頷く。
「よろしい、ならば戦争だ。各員の準備、よろしく」
そして北郷一刀君。俺はこれから一切の自重を投げ捨てるので。
もっとのんびりとしたかった俺の憂さ晴らし、八つ当たりをとっくりと味わうがよい。
- 891 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/19(火) 21:09:18.18 ID:xD1YxAdX0
- 本日ここまです
かんそうとかくだしあー
いけるうちにいっとかないといつ忙しくなるかわからん
- 892 :青ペン [sage saga]:2021/10/20(水) 01:09:06.45 ID:ZWGflyKDo
-
>>886
待っていたぜぇ、この瞬間をヨォ!
さて、今回は
【残雪纏いし柳は鳳凰の羽ばたきすらいなす】
とでもしよか。
- 893 :青ペン [sage saga]:2021/10/20(水) 01:12:34.79 ID:ZWGflyKDo
- >>891
もいっちょ。
【打ち込むは小さくも鋭い楔】
でどないや!?
- 894 :青ペン [sage saga]:2021/10/20(水) 01:16:42.27 ID:ZWGflyKDo
- 一応解説やで
>>892
まぁ、見ての通りやね。
沮授くんのやわらかーく受け流すところをピックアップ。
>>893
んで、こっちは反攻にへの下準備って意味合いも込めて陳琳お姉ちゃんをくさびとしてみたよ、と。
- 895 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/20(水) 05:53:02.37 ID:zT+QskBq0
- >>892
どもです!
お待たせしました!待っててくれてたと信じてます!
題名、めっちゃ考えてなかったのでありがたく咀嚼させていただkます!
せや、題名いるんやったわ。。。
- 896 :赤ペン [sage saga]:2021/10/20(水) 12:59:36.80 ID:nPhwwnXM0
- 乙でしたー
>>884
>>その、鳳雛の言に諸葛亮はギリ、と歯を食いしばる。 所詮は雛よのう…という揶揄いは置いといて
○その、鳳統の言に諸葛亮はギリ、と歯を食いしばる。 ここは普通に名前かな?
>>今更ながらに効いてくる韓浩の一手にさしもの諸葛亮が歯噛みする。 公文書をちょっと調べればわかるようなことで裏をかかれるとか…
○今更ながらに効いてくる韓浩の一手にさしもの諸葛亮も歯噛みする。 伏せってるうちに飛び方忘れちゃったのかなw
>>「州牧代の印璽はこちらにあるよ。引き渡しの命令書は?」 これ【引き渡し】の【命令書】の送り先は袁家だよね?同格の相手に出していいの?
○「州牧代の印璽はこちらにあるよ。引き渡しの要望書は?」 白馬義従に対する帰還命令は上で言ってるので袁家に出すならお願いする形のこれかな?
>>そしてそれを輔弼する一万余の騎兵も精鋭。 輔弼(ほひつ)は、天皇の行為としてなされるべき、あるいは、なされざるべきことについて進言すること。特に大日本帝国憲法下において天皇に大権(天皇大権)の施行に過誤がないよう意見を進言することを意味した概念 。 ウィキより
○そしてそれに随行する一万余の騎兵も精鋭。 もしくは【随伴】、【随従】、【同道】、【付き従う】とかでどうでしょう…天皇は無関係ですし
>>885
>>にこやかにそれを。一度の弱音も吐かずに。 間違いではないですが
○それをにこやかに。一度の弱音も吐かずに。 の方が良いと思います。ちょっと変えて【それを、にこやかに……一度の弱音も吐かずに。】とかでもいいかも?
>>幼くして田豊にその才を見いだされたその才。 才が重なってるので
○幼くして田豊にその才を見いだされた麒麟児。 もしくは【幼くして田豊に見いだされたその才。】の方がすっきりしてるかな?
久しぶりの更新…しかもすでに2回分こいつは読みごたえがあるぜ
韓浩を弑殺する前に最大戦力の白馬義従の状況を把握しておかないとかかなり行き当たりばったりに感じるのは俺だけか?
戦争なんて段取り8割だろうにそれ以前の問題だよ…そして柳に風とけむに巻くわれらが沮授…あなたにとっては役不足でしょうねえ、それを僅かばかりも出さないでしょうが
下手したら無能な味方とか足を引っ張ることばかり有能な味方とか袁家の為という大目標は同じでも小目標が違うから反目する味方とかとやりあってた男だからな
正面から絡めて使ってきてもそりゃ受け流されるわ
- 897 :赤ペン [sage saga]:2021/10/20(水) 14:57:25.30 ID:nPhwwnXM0
- 続きを
>>889
>>「まあいいや。お相伴に預かりますねー」 【ごしょうばん】なので
○「まあいいや。御相伴に預かりますねー」 こうですね
>>「おやおや、もうお始めですか〜」 尊敬語としては【もう始められてますか〜】が正しい気もしますが
○「おやおや、出遅れてしまいましたか〜」 酒盛りの場になのか、二郎がやけ酒呑んでる所によりそうのになのか、は語らない方向でどうでしょう
乱暴に言うと二郎は「これやっといて〜」と出来そうな人に丸投げして失敗したときに責任取って頭下げるのが仕事だからな…それをガチでやってくれる上司のどれだけ有り難い事か
あ〜どうしよっかな〜今忙しいんだよな〜(ちらっとかやってくるあほは滅べ、部下に仕事割り振るならそいつができるというお前の判断に責任取れ
二郎がやると決めて二郎ができると見込んだならあとはやるだけだよなぁ…なんせわざわざ温厚な紀霊の逆鱗を逆なでしてくれたんだから相応の返しをしないと
- 898 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/20(水) 20:24:25.00 ID:VMx6dZvg0
- 赤ペン先生ありがとうございます!
本日はちょっと眠いので明日に更新おあずけということでひとつ
お話はできているといういつものやつではありますがw
眠いのす
- 899 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/22(金) 22:13:30.70 ID:58OUfgWf0
- やるわよ。
- 900 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/22(金) 22:14:38.88 ID:58OUfgWf0
- ここは夜の国。蜘蛛の巣の深奥にて秘奥。そこに踏み入れる人物の表情は眠たげではっきりと読めない。
実際大したものだと張?は内心でその人物の評価を一段ほど上に改める。口だけでなく、度胸も大したものだ、と。
そう、そこは張家の本拠地。絡新婦(じょろうぐも)の巣の最奥。そしてその支配者はにこり、といつもの貼り付いた笑みである。
「ようこそ、と言うのもおかしな話ですから、さっさとご用件をどうぞ」
にこやかに、だがどことなく素っ気ない問いである。だが程立は揺るぎもしない。ただ、くふふと笑みを漏らすのみ。
「これはどうも〜。歓迎いただいているようで嬉しい限りです〜。
まさかまさか、張家の本拠地にお招きいただけるとは思ってもいませんでしたし〜」
「いえいえ、仮にも二郎さんが最も信頼するらしい方ですし?
何かの間違いがあってはいけませんからね。ええ、何かの間違いがあってはいけませんからね」
ちらり、と張勲の視線が僅かに動く。その視線は虚空を貫くようであり、その実際は指示そのものであったろう。
それが分からない程立ではない。が、そこは軽く受け流す。なに、前哨戦ですらない余技未満のやりとりである。
張家の本拠地にての今は、ある意味まな板の上であるとも言える。それを自覚し、くふ、と漏れる笑みを自覚する。
「なるほど、流石に度胸は一流といったところですか。散々と注がれた毒が見事に散らされていますしね。
しかして、その真意はどこにあるか伺っても?」
その過程で張?に退出を指示する。彼の見せた刹那の逡巡こそが収穫。
なるほど、相当のやり手であるようだと気を引き締める。
瞑目して不動。そのたたずまいに、手強いなと内心で警戒を更に一段階高める。
「改めて問いましょう。今回のご訪問はどういったご用向きで?」
返答は沈黙。或いは呼吸。響く低音、すなわち寝息。むしろ鼾(いびき)。
これには流石の張勲が戸惑う。
「ええ〜、これどうしたらいいんでしょうか」
取り敢えず眠気に有効な茶葉は実装している。あってよかったと推薦してくれた人物に何か進物でもせねばならない。そんなことを思っていたのだが。
これが紀霊であれば遠慮なく頬をつねるなり、声をかけるなりしたろう。だがしかし、張勲はそこまで踏み込むことはしない。むしろできない。これは彼女の、どちらかと言えば踏み込んできた相手に対応するという姿勢(スタンス)が基本であるのが大きいのであろう。
つまり、相性というものである。
そしてその沈黙は一方的に破られる。他ならぬ程立によって。
「おお、寝てました!」
いけしゃあしゃあとそんなことを言う。さしもの張勲が毒気を抜かれてしまうほどにある意味図々しい。
「いやほんとに何しに来たんですか?」
- 901 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/22(金) 22:15:22.79 ID:58OUfgWf0
- 呆れ気味に問う張勲に程立は笑みを深める。
「それはもちろん、ご相談ですよ〜」
「へえ?」
仕切り直し、とばかりに表情を改める張勲に程立は笑みを深める。
「そですね。ざっくりと中華の行く末についてのご相談というか。と言いますか。
つまり、わるだくみのご相談です〜」
「へえ……」
まさかの言に張勲の目が細まる。程立の言が何を指しているか、こちらに何を求めるのか。
常のお気楽な表情そのままに、絡新婦はその糸を張り巡らす。
「おお、こわいこわい。そのように警戒されるのも無理なきことですけどね〜。
むしろそれくらいでないとご一緒する気にもなりませんし〜」
茫洋とした表情はそのままに笑みを深める程立。
「まあ、ぶっちゃけた話をしますと。色々とお手を借りたいのですね。
なにせあちらには伝手がないに等しいもので」
「あちら、というと……。
ああ、やらかした彼奴らのことですか。
こちらもそこまで入り込んではいませんよ?」
やんわりと拒絶の意を出そうとした張勲だが、程立はそれを無視する。
「いいえ、これから無駄になるのですよ。下手に触れたら焼け落ちる。そういう相手です〜。
洛陽でご経験になった逆風。それがより激しくなって既存の網すら役立たずになる。
いえ、裏返る可能性すらありますし〜」
ぴくり、と張勲の眉がひそめられる。
洛陽にて、何進の支配にくさびを打つこともできずあったのは苦く、近しい記憶である。それが更に深まるとは。
「へえ、色々とお詳しいようで……」
その言はある意味白旗に等しい。だが、意地や誇りを張る場面ではないという張勲の判断であり、それは極めて実務家のものであった。
そしてその判断は程立と相性がいいものである。これは純然に偶然でしかないのであるが、幸運なことであった。或いは不幸なことであった。
その心根はまだ歩み寄りのきっかけを得ただけでしかない。だが、彼女らの陰謀、悪意、執念は捻れ、絡み合い、鮮やかな紋様を描くことになる。
「ですから、燃やしちゃえばいいと思うのですよ〜」
「おやおや、強引なことで。ですが無駄になるよりはいいかもしれませんね」
くすくすと、くふふと、不穏な笑みは重なり深まる。そして絵図を描く。描いていく。
馴れ合うのではなく、利用し合う。その理解は相互に共通しており、共犯を誓う。
そして、彼女らの連携を知る者はいない。
あえて政敵として対立することもなく、友として交流することもなく。
無関係を貫く両者の思惑はこれ以後少なくない影響を与えることになる。
- 902 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/22(金) 22:17:51.63 ID:58OUfgWf0
- 本日ここまですー
かんそうとかくだしあー
仮題は「わるだくみ」です
ようやっと分岐できましたわ
ここからは旧作と展開が違ってくるやつー
つまり、分かりますね?
誰がアレかって。そういうことっすよっていいながら前言ったもんねw
頑張れみんな
- 903 :赤ペン [sage saga]:2021/10/23(土) 14:10:42.11 ID:XxkkJBAd0
- 乙でしたー
>>900
>>ある意味まな板の上であるとも言える。それを自覚し、くふ、と漏れる笑みを自覚する。 自覚が2回続くとちょっとなあ
○ある意味まな板の上であるとも言える。それを自覚し、くふ、と漏れる笑みを止めようとも思わない。 (まな板の上だなあ…こういうのも愉しいなあ)と自覚したのか
○ある意味まな板の上であるとも言える。それにくふ、と思わず漏れる笑みに自覚する。 (まな板の上だなあ、笑えてくる…ああ、自分はそういう人間だったのか)と自覚したのか
>>その過程で張?に退出を指示する。彼の見せた刹那の逡巡こそが収穫。 ココの地の文はそれぞれの心情が誰の物かちょっと分かりづらいので工夫した方が良いかと
○その過程で張哈に退出を指示する。弟の見せた刹那の逡巡こそが収穫。 上では程立が自覚してたので最初ココも程立の物だと思っちゃいました
>>これには流石の張勲が戸惑う。 お釈迦様でも判るめえ って何のセリフだっけ?
○これには流石の張勲も戸惑う。 〜もと書いておけば鉄面皮のあいつもにっこりよ
>>901
>>まさかの言に張勲の目が細まる。 そこまでじゃないかなあ…二郎と袁術を結婚させて袁紹を追い落としましょうとかならまさかだけど
○その言に張勲の目が細まる。 というか二郎の懐刀たる風ちゃんが言うことならむしろ納得まであるというか…風だけじゃ足りないし親友だろう凛ちゃんと力を合わせるだけでも足りなさそうな事っていうと…かなり限られる中でも最大級ではあるけどね
ついに分岐点ですか…この二人が悪だくみして何がどこまで変わるのか今から楽しみですね
むしろ今までの交流が殆ど無かったことに驚いたかも?
- 904 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/23(土) 16:03:24.00 ID:Pc6fNpk70
- >>903
赤ペン先生ありがとうございます!
>ついに分岐点ですか…この二人が悪だくみして何がどこまで変わるのか今から楽しみですね
どうなるんですかねえ。とかいいながらルートはそこまで変わらないかな?
だって風だもの
>むしろ今までの交流が殆ど無かったことに驚いたかも?
意外となかったんですよね。
避けてたまでありますねこれは。
- 905 :赤ペン [sage]:2021/10/23(土) 17:55:55.05 ID:XxkkJBAd0
- 二郎…お前自分の右腕と諜報の要の間をもっと取り持っておけ
耳目と右手がばらばらとか縛りプレイだわ
- 906 :青ペン [sage saga]:2021/10/25(月) 15:48:40.65 ID:huGA+1mbo
- >>902
この二人顔合わせたことなかったんか…。
ふむ。
しからば
【光と影の邂逅】とでも。
- 907 :赤ペン [sage]:2021/10/26(火) 08:27:11.47 ID:+mc6gRwm0
- 顔合わせたことはあったんじゃない?
多分馬が合わないとかそりが合わないとかそんな感じでお互いに避けてたんだよ
- 908 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/27(水) 22:07:32.08 ID:gogt9w+Q0
- 見知ってはいても、そりゃあね。
政敵ですものどう考えても。
肝胆相照らすとかはないですね。
普通にランチとか呑みにいくとかないっすね
なので風ちゃんお前やりおったな
頑張るぞいっと。
- 909 :赤ペン [sage]:2021/10/27(水) 23:08:16.99 ID:z5kervoA0
- じゃあ【太極と闇の中の点は交わり】で
政敵…紀家と張家は袁術閥で同志ではなかったのか!?
二郎がどっちかというと陽の者なんでその支えとしてどっちかというと陰の側になってたからなあ、同族嫌悪ってやつだと思った
郭嘉は…たぶん袁紹の光が強すぎて光に飲まれて陽の側になったみたいな?まあどっちかというと、程度で
- 910 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/29(金) 22:00:05.46 ID:JA7XXwHj0
- 幽州への使者として選ばれたのは陳琳である。先の軍師陣の反応を見ても分かるように、常識的に考えるならば、使者として派するにはいささか以上に問題のある人物である。
いや、その能力には問題はない。疑念はない。頭脳明晰であり、幼くしてより名文家として知られている。容姿も眉目秀麗にて佳人と言っていいであろう。
怜悧たる印象を与えるその容貌は控え目に言っても七難を隠すほどのもの。
それでも、いやその容姿があるからより一層彼女のその特異性が活きるのかもしれない。吐く言葉は常に正論極まるもの。
だが。いや、だからこそ反感を買う。
本来であれば紀霊の守り役は陳蘭ではなく彼女であったはずなのだから。いささか守り役というには、主に頭脳面で難のある陳蘭が選ばれたのはその辺りに理由がある。
狷介、というのではない。傲岸でも不遜でもない。ただただ、その言動が人を苛立たせる。行いは品行方正清廉潔白。そんな彼女は今人生絶頂期にいたのかもしれない。
九卿たる大身に抜擢されたのはある意味妥当。そして、漢朝の威光を背負って使者となる。
控え目に言って険悪なその場。無論陳琳が恐れ入る訳がない。その必要もない。
「フン、どこの馬の骨とも知れぬ輩(やから)が州牧気取りとは片腹痛いな!」
その言葉。その場にいた劉備配下が色めき立つ。
そして、諸葛亮が並べ立てる韓浩の職務怠慢、いくつもの罪状を陳琳はまともに聞く気はない。そしてその必要はないと切り捨てる。
「フン、韓浩のような愚鈍愚直愚図の蒙昧。あんな愚鈍(まぬけ)にそのような器用な真似ができるものか。
大方(おおかた)貴様らに嵌められたのであろうよ。
奴らしくなんとも愚昧なことだ」
韓浩とは知らぬ仲ではない。いかにも不器用な生き様は傍から見ていて不愉快極まるものであったと陳琳はしみじみ思う。
本当に、僚友として見てはいられなかった。あのような不器用な生き方、到底看過できるものではなかった。
「ああ、本当に不愉快極まる。あのような愚物、放っておいてもロクな末路ではなかったろうに。そして貴様らの愚かさには呆れかえるよ。
あれをわざわざ謀殺なんぞしたのだからな」
その言葉に諸葛亮は声を大にして異議を唱える。
その声に陳琳は苦笑する。激昂する。そして目線を上に上げる。
そして感情を言葉に載せるのだ。
「おお。このような、本当にお子様が代表して口を開くのか。開くのだな。
哀れなことだ。水鏡女学院の俊英。知っているぞ?確か伏竜鳳雛の片方でも得られたら天下を狙えるのであったか。
笑止千万とはこのことよな。双方手にした結果がこれとは。この程度とはな。
ああ、劉備。貴様は誤った。配下を誤った。本当に誤った。
貴様のような鈍牛には韓浩のような、そこらへんに転がっているような凡才が相応しかったのだ。そうとも。あいつはそうだったよ。貴様らみたいな低脳にも親切だったろうよ。
つくづく思うとも。
貴様らは、身の程を知ればよかったのだ」
視線は上に。言の葉は烈火。そして業火を招くのが陳琳である。当然それは周囲に延焼を。
そして。その身に怒りを込めて関羽が口を開く。
「そこまでです!
流石に無礼が過ぎるでしょう!」
燃え上がるような気迫である。それは効果覿面。
「ひっ」
その場に陳琳はへたりこむ。純粋な暴力。その威に晒されてへたりこむ。
それでも抗う。抗おうとする。
「こ、こんなこと許されると思うのか!貴様ら!」
「理不尽極まる。それは貴女でしょう?こちらが誠心誠意尽くして揃えた資料に目も通さずに!」
ふざけるな!ふざけるな。
その声に涙目になりながらも陳琳は叫ぶ。ふざけるなと喉を枯らす。
「匈奴!黒山賊!それに逆賊董卓軍だ!死線をくぐったあいつはそれこそ出世栄達思いのままだったのに!だからあいつは馬鹿なのだ!
貴様ら、許さん!五体投地とは言わんでもそれらしい態度あれば手心加えてやったというのに!
言い渡す!劉備!北郷一刀!死を以って償え!今ここでその身を散らすならば係累には容赦してやろうともよ!」
無論、その言い様を許す劉備陣営ではない。殺気沸き立つその場。覚悟なぞ決めるはずもなく、這う這うの体でその場を離れようとした陳琳を救ったのは爆音と轟音であった。
「火事だー!」
溢れる煙幕、震動。重なる火災。戸籍こそ辛うじて保ったものの、行政記録は消失してしまっていた。そして気づけば、陳琳をはじめとした使節団は忽然とその姿を消していたのである。
- 911 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/29(金) 22:02:14.25 ID:JA7XXwHj0
- 本日ここまですー
かんそうとかくだしあー
いやほんと、すごく頑張った。
もっと陳琳ちゃんの呪詛は激しかったがマイルドセブン。
それでも人生は続くんやなって。
なお呪詛は関羽が被害被って可哀想なことにないrます
良心とか戦争には不必要だろうよね
- 912 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/29(金) 22:13:04.93 ID:JA7XXwHj0
- ちなみに陳琳ちゃんの脱出は
またしても六ぞろだったので文句は認めないです
文句があるなら今すぐコカコーラの株価を三倍にしてみせろ!
ローソンの株価を三倍でもいいぞ!
ほら!やれるものならやってみろ!
つまりそういうことですので、飲料と買い物についてご配慮しろくだしあー
- 913 :青ペン [sage saga]:2021/11/01(月) 06:36:51.13 ID:8zwuNuWXo
- >>911
乙ーい。
さて、どうしようね。
無知蒙昧を咎める者〜壱の矢〜
とでもしようか。
弐の矢参の矢当然あるだろうし。
- 914 :赤ペン [sage saga]:2021/11/02(火) 16:06:53.16 ID:74FkYX810
- 乙でしたー
>>910
>>その場に陳琳はへたりこむ。純粋な暴力。その威に晒されてへたりこむ。 これだと弓矢を射掛けるとか何らかの物理的な何かがあったように読めるので
○その場に陳琳はへたりこむ。武人の殺意。その威に晒されてへたりこむ。 それとも【武人の一喝。その覇気に晒されて】とか?実際関羽が殺意があったのかは分かりませんので
>>「フン、韓浩のような愚鈍愚直愚図の蒙昧。あんな愚鈍(まぬけ)にそのような器用な真似ができるものか。
>>韓浩とは知らぬ仲ではない。いかにも不器用な生き様は傍から見ていて不愉快極まるものであったと陳琳はしみじみ思う。
赤ペンこの部分だーい好き♥勝手に(ああ、こいつは袁家が韓浩の死を悼んでる中で一人で「馬鹿な女だった」とか悪態ついてたんだろうな)と思った
言ってることが正しいから韓浩も無下にしないで話を聞いて、それでも不器用な生き方を変えない鉄面皮と
理路整然と頑固にその生き方を貫く愚鈍の生き方に、自分のことを棚に上げてもっと生きやすい生き方があるだろうと物知り顔で諭してる姿が目に浮かぶわ
>>「ああ、本当に不愉快極まる。あのような愚物、放っておいてもロクな末路ではなかったろうに
まあ普通に考えたら耳に痛い諫言ばっかり言ってる愛想のない有能とか疎んじられるに決まってるよなあ…多分何度か「お前が捨てられたら私の下に置いてやってもいいぞ」とか言ってたんじゃねえかな
>>その声に陳琳は苦笑する。激昂する。そして目線を上に上げる。
さてはて、彼女の苦笑の先は、激昂の先は、上げられた目線は、誰に向けられたものなのやら…下手したらどれも劉備陣営にいってないかもしれんな
言葉の端々からどれだけ陳琳が韓浩を気にかけてたかが伝わってくるようでとてもいい口上でございました
- 915 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/11/03(水) 21:01:20.53 ID:Ln2jjry00
- >>913
どもです!
題名は本当に助かります。
>>914
赤ペン先生ありがとうございます!
>赤ペンこの部分だーい好き♥勝手に(ああ、こいつは袁家が韓浩の死を悼んでる中で一人で「馬鹿な女だった」とか悪態ついてたんだろうな)と思った
お通夜ムードな中、一人ぷりぷり怒ってますね間違いない
>言ってることが正しいから韓浩も無下にしないで話を聞いて、それでも不器用な生き方を変えない鉄面皮と
うざ絡みされてもふんふんいいながら真面目に付き合ってあげる韓浩はよくあった風景なのでしょうと浮かびました
まあ、お察しの通り聞くだけで聞き入れることはないでしょうけどもw
>さてはて、彼女の苦笑の先は、激昂の先は、上げられた目線は、誰に向けられたものなのやら…下手したらどれも劉備陣営にいってないかもしれんな
>言葉の端々からどれだけ陳琳が韓浩を気にかけてたかが伝わってくるようでとてもいい口上でございました
ぱっと見仲が悪そうに見えるんですが、実は・・・というやつですね
ありがとうございますた
- 916 :青ペン [sage saga]:2021/11/03(水) 22:20:45.89 ID:OyQP8hL2o
- >>910
あ。
なるほど。
最後の火災で龍鳳の仕込みを全部処分したのか。
…やりおる!
- 917 :赤ペン [sage]:2021/11/07(日) 20:13:20.18 ID:BGVcNf7C0
- おっと、直し忘れ
>>910
>>その言葉。その場にいた劉備配下が色めき立つ。
>>そして、諸葛亮が並べ立てる韓浩の職務怠慢、いくつもの罪状を陳琳はまともに聞く気はない。そしてその必要はないと切り捨てる。 【そして】が重複してるので
〇その言葉にその場にいた劉備配下が色めき立つ。そして、諸葛亮が並べ立てる韓浩の職務怠慢、いくつもの罪状。
しかし陳琳はまともに聞く気はない、その必要はないと切り捨てる。 【しかし】じゃなくて【されど】でもいいかな?
ついでにちょっと手直し、ところで>>戸籍こそ辛うじて保ったものの、行政記録は消失してしまっていた。
これって劉備陣営にも痛手だけど後々公孫瓚がお辛くなるのでは?
- 918 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/11/09(火) 05:48:17.20 ID:aRJoUP0S0
- >>917
>これって劉備陣営にも痛手だけど後々公孫瓚がお辛くなるのでは?
その通りですね
戸籍までやっちまえと風ちゃんは主張していたんですが
それはやりすぎだろうという舞台裏です
- 919 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/11/16(火) 21:16:21.99 ID:p9zlev4B0
- お話はできておりますが
出力するリソースをあれこれとリアルに奪われております
もちっとしたら余裕が出るはずなので少々お待ちくだしあー
- 920 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/11/19(金) 22:48:43.38 ID:SFLGcUn50
- 「はあ?」
間抜けな声を発した俺を責めるものはいない。なぜならば、そこにいる者が皆絶句していたからだ。五言絶句。違うか。
「いやいやいや。いくらなんでもそれはないだろう。いや、確かに挑発も兼ねて陳琳を派遣したんだが……」
ないだろう。流石にないだろうよ。三公に次ぐ地位である九卿の一角たる陳琳に手を上げようとするなんぞ。しかも使者だぞ使者。使者を死者にしてやろうってか。うるさいわ。
「全くですよ。誠心誠意でっちあげようとしていた罪状と、その証拠がもう意味をなさないですねー」
けらけらと小気味よく笑うのは七乃。いや、精力的に頑張っていたらしいよ。そんな彼女の努力を嘲笑うかのように事態は動いたのだ。大きく。
いや、大きいよね?
眼前。
無言で項垂れる陳琳。怒りを噛み殺しているようでもあり、打ちひしがれているようにも見える。
「陳琳。もう一働きしてもらおうか。
匈奴を招き入れ、九卿たるその身。その権威をないがしろにした彼奴らを討伐する。これは確定事項。
ならばその嚆矢は……陳琳よ。誰の仕事か分かるな?」
化粧っ気もなく、憔悴した顔。だがその双眸には炎。青白く燃え上がるそれは見る者全てを焼き尽くすような熱。
その熱。その想い。激情が彼女の内包する才能を燃え上がらせる。食いしばるのはその烈火を漏らさぬためか、それとも。
頼んだ。
「これからは北伐である。近日中に今上陛下へと上奏するが……」
それを頼みたい、と言う。お願いしたい、と言う。頼む、と言う。
「明日には。明日未明には必ず」
頼んだ、と言う。
静かに。爛々とその眼を、その思い滾らせた彼女が俺に届けたその文。
後世、「出師の表」と呼ばれるものであった。
いや、俺からのリクエストなんだけどね。いくつかのキーワードをお願いした。それを見事にやり遂げた陳琳には賞賛喝采である。
「危急存亡の秋(とき)、ですか……」
稟ちゃんさんが微妙な顔で冒頭のキーワードを読み上げる。いや、いいでしょ。
陳琳筆のその奏上文。その一節を口ずさむ。それは正に名文にして名分。劉備ご一行の悪徳をこれでもかと指摘し、糾弾する。ご丁寧に七乃が用意していた罪状すら飲み込んでいるところに官僚的な美しさすら感じる。
「七つの大罪とはよく言ったものさ」
そこまで煽られたら誰だって燃える。俺だって燃える。
軽口。それにすら口を挟まない軍師陣。断を下すのは俺の役割。そうだ。戦争を始めるのは俺の役割。そしてメインシナリオの核を口に出す。こういうのは言ったもん勝ちなんだよ。
「我が率いるは五虎将軍。その五軍を以って討伐する。右将軍は白蓮。前将軍に猪々子。後将軍に斗詩。中将軍に星。そして左将軍が俺だ。留守は七乃、任せる。稟は全軍統括。風は俺の傍にて助言を」
そう。そして、だ。かの天の御使いたる北郷一刀。彼が持っているアドバンテージ。それが如何に無力であるかを思い知らせてやろう。ヒントはあったはずなんだけどね。
「おやおや。それでは全軍の責任者たる二郎さん。貴方の地位、称号はどうするのですか〜?」
にこやかに聞いてくるメイン軍師に応える。
「おうよ。北伐。その軍を統括するこの身。夷狄をうち滅ぼすべし」
その称号。すなわち。
征夷大将軍、である。
- 921 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/11/19(金) 22:49:50.22 ID:SFLGcUn50
- 本日ここまでー
かんそうとかくだしあー
今回は「五虎将軍」かなと想ったがネタバレだからそれは避けたい
「逆襲の陳琳」もなんか違うすね
どうしたもんかねえ
- 922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 12:37:10.88 ID:6OScFiYqo
- 乙ですー
陳琳ちゃんが輝く輝くw
こういう局地的に輝く才能って、端から見てる分には清々しく眩しいですよねぇ
題案は
『激情才炎、猛き文にて狼煙を上げよ』
みたいな感じでいかがでしょう
- 923 :赤ペン [sage saga]:2021/11/22(月) 14:57:13.04 ID:9IRxSMBb0
- 乙でしたー
>>920
>>無言で項垂れる陳琳。怒りを噛み殺しているようでもあり、打ちひしがれているようにも見える。 どちらかに統一した方が良いと思います
○無言で項垂れる陳琳。怒りを噛み殺しているようでもあり、打ちひしがれているようでもある。 もしくは【噛み殺しているようにも、打ちひしがれているようにも見える。】ですね
>>匈奴を招き入れ、九卿たるその身。その権威をないがしろにした彼奴らを討伐する。 これだと九卿たるその身で匈奴を招き入れて、権威を蔑ろにしたように見えるので
○匈奴を招き入れたばかりか、九卿たるその身、その権威を亡き者とみた彼奴らを討伐する。 【ないがしろ(軽く見る)】と言うか【亡き者(ないもの)】と見たような気もするしこっちの方が良いかな?
>>頼んだ。
「これからは北伐である。 〜中略〜 明日未明には必ず」 ちょっと、ね?【頼んだ】が重複して……似たような言葉も連打してるし
頼んだ、と言う。
○頼みがある。
「これからは北伐である。 〜中略〜 明日未明には必ず」 【明日未明には必ず(出してくれ)】と頼んだようにも見えるので手直し
その応えに、万感の想いに。頼んだ、と言う。
>>「七つの大罪とはよく言ったものさ」 七つの大罪(七つの罪源)は、4世紀のエジプトの修道士エヴァグリオス・ポンティコスの著作『修行論』に八つの「人間一般の想念」として現れたのが起源である。バイウィキ…ちなみに≪七つ≫になったのは6世紀に高慢を格上げしたものが最初らしい
○「七つの大罪と言ったところかね」 何が言いたいかと言うとこの時代だと【よく言ったもの】ではないだろうということです
>>夷狄をうち滅ぼすべし」 間違いではないですが
○夷狄を討ち滅ぼすべし」 討伐じゃない討滅するのでこの方が良いと思います
傲慢にも天子様を差し置いて天の御使いなどと詐称をし、強欲にも州牧の地位を簒奪しようと画策し、その補佐を務め袁家及び公孫家の信頼厚い韓浩を嫉妬に狂い暗殺し、自らの思い通りにならぬからと憤怒にかられ使者として送った九卿を亡き者にしようと弓を引き、怪しい術で誑かし天の意思だと嘯き色欲に惑わせ淫蕩に耽り、危急の時の為とした貯蓄を貪る暴食さ、剰え自らの罪に目も向けず漢が悪い、官吏が悪いと口にするだけの怠惰の極み、その果てには根拠も無く自分たちならもっと上手くやれるなどと言う虚飾虚栄に塗れた扇動でもって平和を乱す悪漢どもが、もはや貴様らを同じ人とは認めぬ、これより始めるは戦争に非ず、人非人に対する誅滅である!
適当に書きなぐってたら8つ入れてしまった…まあいいか、あんな連中。刹那で―――
ちなみに人非人は差別用語でも使われますが要は【人でなし】ですね、畜生道に落ちたとか外道の輩みたいな
戦争は講和もあり得るし人質取ったり捕虜交換したりするもの、誅滅は罪人を討ち滅ぼすこと…分かりやすく言うと一族郎党尽く皆殺し。な感じかな?
- 924 :赤ペン [sage saga]:2021/11/22(月) 15:32:44.86 ID:9IRxSMBb0
- 8つの場合だと【八つの想念】あるいは【八つの主要な悪徳】らしいけどあまり一般的では無いからなあ
ちなみに暴食は>>98の>>官庫を開いたことが大きい。二千人の義勇兵を養って余りあるほどのそれを領民に還元したのである。 これを論ったものです
貯蓄より備蓄の方が良いか…【危急の為とした備蓄を貪る浅ましき暴食を抑えることも知らず、】ちなみに浅ましいは卑しいとか下劣が本来の意味ですがダブルミーニングで(考えの)浅さも論ってます
ところでなろうの方ではいまだに【西涼に馬家気炎を挙げ 大徳は都に走る】の大徳の部分が抜けたままなのですが
- 925 :青ペン [sage saga]:2021/11/25(木) 20:47:17.60 ID:Vm4kzhbXo
- >>921
遅れたぜぃ
【伍星、北への流れ星】
とでもしとくかい?
- 926 :赤ペン [sage]:2021/12/12(日) 16:52:05.84 ID:jQeT5svE0
- 漫画でたまにある剣とか銃とか突き付けて「終わりだ、降参しろ」って言った後で隙をついて脱出されるのって
物語としては仕方ないんだろうけど五体満足の相手にそれってちょっともやっとする
せめて武器握れないように指落とすとか逃げれないように足撃っとくとかしてからじゃないの?
現代日本の警察じゃあるまいしモラルが高すぎてびっくりする
- 927 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/18(土) 14:50:16.10 ID:QpjHs23T0
- 放置すまんでした。
ちょっと余裕が出てきました
いやあ、今期はしんどいなあと思ってたら想像以上でした
>>922
どもです!
>こういう局地的に輝く才能
このときのために存在していたのかとびっくりしたものですw
>>923
赤ペン先生ありがとうございます!
>ところでなろうの方ではいまだに【西涼に馬家気炎を挙げ 大徳は都に走る】の大徳の部分が抜けたままなのですが
ほんまや・・・
管理がガバガバだと自分でもびっくりです
飲酒運用はよくないですね!
もちっとしたら手を加えますありがとうございます!
>>926
>せめて武器握れないように指落とすとか逃げれないように足撃っとくとかしてからじゃないの?
うーんサツバツw
>現代日本の警察じゃあるまいしモラルが高すぎてびっくりする
それは思いますね。
どこでどうバランス取るかが難しいとこですが、結果逃げられたらね・・・w
慢心よくないですね(何かを思い出しつつ)
- 928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 16:43:15.45 ID:xtztq6ml0
- 今日はやけにクソスレが上がるな
- 929 :赤ペン [sage]:2021/12/20(月) 08:46:04.68 ID:1MLgldh90
- 慢心せずして何が王か!って世界最古のお方も言ってるし
でもまあ、この世の全てなど既に背負っている!この3倍は持って来い。と言い切れる人だからこそ許されるものでもありますが
- 930 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/20(月) 22:35:24.41 ID:fGSsEe6w0
- 兵は神速を尊ぶ。
だから、さくっと一撃で劉備一味を討つ。その方針にメイン軍師他二名も賛同してくれた。
陳琳に作らせて俺が奏上した出師の表。それを受けて今上陛下も劉備一味に対してすんなり朝敵認定を与えて下さった。ありがとうございます。
ありがとうございます!
後は攻めるだけかと思っていたら、彼奴(きゃつ)等の動きは俺の想定を上回っていた。攻撃は最大の防御ということだろうか。やられたね。
こともあろうに麗羽様の専横を非難、俺の所業を糾弾。そして今上陛下は傀儡とまで言い放つそれはまさに宣戦布告。
各州牧に檄文を発し、反袁紹連合をでっちあげる。
更には今上陛下に皇帝の価値なく、袁家の傀儡であると弾劾。天の御使いたる北郷一刀がその手にある伝国の玉璽を劉備に与えて皇帝と為す。
これはあらゆる意味で、やってくれたものだよ。やってくれたなこんちくしょう。
「さてはて、です。
急展開にさしもの風も混乱しちゃうのですよ。
例えば何故国号を蜀としたとかですが、わけがわからないのですー。
漢朝の正当を継ぐつもりがあるのかさえ疑問になってきますよ」
漢朝の正当なあ。そりゃあなあ。あの面子ならば蜀になるだろうよ、とも言えず。
「知るかよ。天の知識なんて曖昧模糊なものを斟酌しているほどこっちもヒマじゃない。さくっと制圧するぜ」
劉備一味。だが、その動きは激しくあった。
「州牧、軍閥に檄文ですか……。断末魔としてもお粗末なものですね」
稟ちゃんさんの言うこと、まことにごもっとも。俺もそう思うよ。
全くもって、色々とおそまつなものだ。
まあ、当初の予定通りさくっと討ち取ればいいであろう。
そんな俺たちの前提をひっくり返す事態が起こったのだ。
涼州牧、馬超。出奔し、蜀に走る。
涼州牧たる翠。馬家という名家。馬騰さんという英傑が築いた漢朝での地位、立ち位置。その選択。
これにより俺たちの描く戦略は大崩れ。
中華全土を見据えるべく。あれやこれや大きく方針転換を余儀なくされるのであった。
- 931 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/20(月) 22:35:50.83 ID:fGSsEe6w0
-
◆◆◆
「お姉さま、本気?
たんぽぽとしては正気かどうかを確かめておきたいんだけどもね」
いっそ正気を失っていれば馬家全軍でもって制圧するのだが、と馬岱は内心の憤りを吐息にて。
叩きつけられる怒気と言の葉に馬超は視線を外す。いつもにこやかに自分を肯定してくれていた馬岱の怒りに思うところがないわけではないのだ。
彼女とてその意味が分からないわけではない。いや、その理解の度合いについては大いに論議の価値はあるだろうが。
「それでもお姉さまは行くんだね。」
ここで馬超を討伐するという選択肢も確かにあるだろう。
だが、錦馬超なのだ。犠牲がいかほどになるか。
というか、馬家軍総出でも討ち取れるかどうかは疑問符が付く。それほどに馬超の武は頭抜けている。
頼もしかったそれを、重荷に感じることがあろうとは。
だが、それでも。
「もう、しょうがないなあ、お姉さまは」
そして、だから。
馬岱に選択肢はあってなきがごとし。
それを知ってか知らずか、その声は明るく響く。
「すまん!それでも、私は……一刀が言う、皆が笑って暮らせるという世界。それを見てみたい。そう思うんだ」
馬岱は結局、自分はおみそなのだと痛感する。何を言っても届かない。どんなに頑張っても届かない。そんな存在なのだと痛感する。
「叔父様は!叔父様がいたらきっと怒ったよ!」
でも、言う。それでも、言う。
敬愛する馬騰の権威を借りてでも言うのだ。言わなければならないのだ。
「父上は!私に万里を駆けよと遺した!
だから私は、色んなしがらみから離れてみようって思うんだ。もう、決めたんだ」
言うべきことは言ったとばかりに馬超は愛馬に跨り駆けてゆく。
それを見送ることしかできない。
馬岱はそれでも泣かない。泣いてはならない。漏れそうになる嗚咽。漏れてしまうその声。
「もう、やだよう。こんなの、あんまりだよう。
助けてよ。もう、やだ……。やだよう……」
押し殺した彼女の嗚咽を、慟哭を聞く者はいない。そして縋るその声も。
「二郎様……。助けてよう……」
寄る辺ない彼女は縋ろうとする。そして縋るしかないのだ。逆賊となるのだ。馬家は逆賊となるのだ。当主のその行いによってだ。
「もう……やだよぅ……」
それでも。馬家軍に対する責任が馬岱にはある。兵卒に、士官に。苦楽を共にした彼等だ。助命嘆願は義務ですらあるだろう。だって、かつての叛乱とは違い、彼らに叛意はないのだから。
だからそれでも最善を尽くすのだ。
◆◆◆
「二郎様、ごめんね!お姉さまを止められなかった!」
てへ、ぺろとおどける。
それでも、込めた思いは本当に、本当に、だ。
申し訳ない。申し訳ないのだ。
ぐにゃり、と歪む紀霊のその顔。
彼の背負うものを知らない馬岱ではない。
ごめんなさい!咄嗟にそう叫びそうになる。でもそれはできない。きっとそんなことで馬家は許されない。許してはならない。
それは馬岱にも分かる。馬岱でもわかる。
泣き出しそうな顔を見て、妥当だなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌められ、それでも思う。自分一人の命で馬家軍の兵卒。彼等の命が助かればいいなあ、と。
- 932 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/20(月) 22:37:00.95 ID:fGSsEe6w0
- 本日ここまですー
かんそうとかくだしあー
ここから、どんどこいくます
やるやで
やってやるぜ
- 933 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/20(月) 22:40:12.72 ID:fGSsEe6w0
- >>929
ギル様めっちゃすき
名誉ウルク民を勝ち取りたいw
- 934 :赤ペン [sage saga]:2021/12/21(火) 09:45:43.62 ID:URfqo/P40
- 乙でしたー
>>931
>>馬岱は結局、自分はおみそなのだと痛感する。 【結局】のかかり方がちょっと違和感
○馬岱は、結局自分はおみそなのだと痛感する。 馬岱の独白と言うか自嘲なのでこの方が良いと思います
>>それを知ってか知らずか、その声は明るく響く。 馬超の声が明るい…いやこの状況で明るく言えるなら分かってる訳ねーわ、草枯れる
>>一刀が言う、皆が笑って暮らせるという世界。それを見てみたい。
お前の家族とお前の部下の【皆】がお前を笑って送り出してるならいいんじゃない(諦観)と言うかその為に袁家と傀儡の偽帝討つべしってどれだけの人の笑顔を歪めようとしてるのか考えないんだなあ
>>私に万里を駆けよと遺した!だから私は、色んなしがらみから離れてみようって思うんだ。 だからって鶏頭となるも牛尾となるなかれをブッチして牛頭から鶏尾になるのは想定外だったと思うなあ
と言うかしがらみか…お前がしようとしてるのは今までのしがらみをぶっちぎって新しい(愛(笑)の)しがらみに取り込まれに行ってるだけじゃねーか
おいたわしや妹御…州牧の姿か?あれが
ようやく逆賊董卓を打ち取って一息つけると思った矢先に率先して戦を仕掛ける輩に義を見るか……袁紹(紀霊)が立て直そうとした漢朝を無価値と見るのか
正史では誰もが自分がトップになろうとしてたから千々に乱れたのをこの外史では何とか治めようとしたその想いに泥をかけるのか
悲しいね、タンポポ…
- 935 :青ペン [sage saga]:2021/12/21(火) 14:59:21.48 ID:zAEXCwxno
- >>932
乙ーい。一気に駆け抜ける感じかね。
決別〜駆ける者と護る者〜
とでもするか…
- 936 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/21(火) 21:59:59.04 ID:YJfhqPbc0
- >>934
赤ペン先生ありがとうございます!
やったぜ!
>おいたわしや妹御…州牧の姿か?あれが
鬼滅構文に草w
でもまあ、狂乱こそが馬超の持ち味なんだってね
自重させようかと思いましたがそちらの方が違和感
※ダイスでもやってくれました
>正史では誰もが自分がトップになろうとしてたから千々に乱れたのをこの外史では何とか治めようとしたその想いに泥をかけるのか
>悲しいね、タンポポ…
馬超さんはそこいらへん気にするかというと、その、なんだ。
持ち味ですよね
>>935
どもです!
>乙ーい。一気に駆け抜ける感じかね。
そのつもりだったんですけど今日が早くも延期気味でござる。
明日はやる。
>決別〜駆ける者と護る者〜
決別!
これはよい感じの言葉チョイスですよ
お流石やでぇ
- 937 :赤ペン [sage saga]:2021/12/24(金) 09:05:19.82 ID:W0AziOLL0
- 欠けてるから賭けちゃって駆け抜けた?
- 938 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 13:05:47.48 ID:n8ud9nWd0
- ご無沙汰してます
たんぽぽさんかわいそうだなと言うのが素直な感想ですが、
よく読むとシ□ッコ(一応伏字)もとい韓遂さん謀反未遂の主な動機ってこの辺?
とも思ったりもします
ところで凡将伝で虎と言えば真桜さん……、ではなくあの人だと思っておりますが、
単純なものなのに間に合いそうにないですすいません(泣
進まないので、せめて背景のような何かを計算してたら英雄ってすごいんだなと改めて実感
- 939 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 06:00:29.31 ID:+NPOZYks0
- >>938
どもです!
>よく読むとシ□ッコ(一応伏字)もとい韓遂さん謀反未遂の主な動機ってこの辺?
そりゃ馬騰さんだから風下だったわけで、
まだまだ未熟な娘、しかもグダグダしてますから思うところはそりゃあ。。。
>ところで凡将伝で虎と言えば
あの人ですね確かにw
>単純なものなのに
いやいや、ごゆっくりしてくださいませ
こちらもちょっと公私ともに多忙で(言い訳)
FGOのレイドも触ってないw
- 940 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/27(月) 16:01:34.53 ID:3DFUufub0
- 信者と雑談したいだけならSNSで専用アカウント取得したら?
「グダグダしてます」って言ってる辺り文才の欠如は自認してるだろうしね
- 941 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:09:43.27 ID:+NPOZYks0
- さて。
俺の前には悄然と項垂れる蒲公英。もたらしたのは翠が出奔したというその報せ。
誰よりも早く伝えたのはほかならぬ蒲公英であったのだ。昼夜兼行の強行軍。幾頭も替え馬を潰したという――馬家の乗馬への扱いを知っているからこそその重大さが分かる――それ。
そのおかげで、恐らく翠が幽州入りするより早くその報は入ったはずだ。
「顔を上げてくれ、蒲公英」
そう言って蒲公英が自ら嵌めてきた手枷も外させる。実際見てらんねえよ。
聞けば昼夜兼行する際もずっと自らに課してきていたらしい。おお、もう……。
「二郎様、本当に、ごめんなさい……」
気にするな、と。流石に言うわけにもいかないがどうにも調子が狂う、というか考えがまとまらない。
どう対応していいかも分からずに取りあえず別室に下がってもらい、傍らのメイン軍師に問うてみる。
「この始末、どうしたらいもんか」
俺のかなーり曖昧で範囲の大きい問いに、メイン軍師たる風はむぅ、と唸る。
「詳しくは稟ちゃんとも相談しなければなりませんが……。
そですね。ひとまず二郎さんがお気になさっているのは馬岱さん及び馬家の処遇と思いますが?」
そうだな、と頷く。実際どうしたもんかよ。
「ぶっちゃけ二郎さんのお好きにすればいいと思いますよ?
こと、ここに至っては些事と言っても差しつかえありません。
どのようなご処置であっても如何様にもなりますし、二郎さんはそれだけの地位にいらっしゃるのですから」
「んなこと言ったって、さあ」
まさかの、丸投げに丸投げで返されてしまった案件なんだぜ。
いや、言われてみればお説ごもっともなんだけどね。これが権力を手にするということか……。逆に怖いわ。
内心ブルっていた俺を知ってか知らずか言葉を重ねる。
「その上で私見を述べさせて頂きます。馬家の誅滅は悪手かと〜」
茫洋とした表情とは裏腹に、語る内容は待ったなしのガチ内容である。
いや、流石メイン軍師である。こういうの本当にありがたい。
「と言うと?」
「ただでさえ不穏な涼州。ここで馬岱さんを処刑しちゃうとですね。ようやっと治まる気配を見せていたのが台無しになるのは目に見えていますから〜」
韓遂がよからぬことを企むに決まっていると風はため息を盛大に。ああ、韓遂がいたね。いたよ。
いたよねぇ……。涼州、超やっかい!
「ん……。しかし蒲公英に何て言えばいいもんかね……」
まさか助命してやるから翠と戦えとか……言いたく、ないなあ……。
「もう、やだなー。そんなの、食べちゃえばいいんですよ」
耳元にふぅっと息を吹きかけて七乃が囁いてくる。
って全く気配を感じなかった。流石の穏行の技。あっさりと後ろをとられてしまっていたようだ。
「うお!
……って食べるとか何を言ってんだ?」
「えー?あちらは、もともと二郎さんを憎からず思ってたわけですしぃー。二郎さんも満更じゃなかったですしぃー」
けらけらと七乃は更に言葉を続ける。
「いやあ、愚姉の不始末から一族の安全を守るため、その身を捧げる名家の姫君……。これは人気が出そうですねえ」
「おい」
ちょっと待てなんだそのシナリオ。
- 942 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:10:17.64 ID:+NPOZYks0
- 「それだと俺がこう、だな。
地位を利用して馬家の姫たる蒲公英を手籠めにした糞野郎になりませんかねえ」
にこりとほほえみ、数秒沈黙。
「まあ、悪名の一つや二つ、今更じゃないですか?ほら二郎さんが女性にだらしないってのは、ほんとだしー。
よっ!この好色一代男!もげたらいいよと思われてしまえー!」
フォローないんかい!
「もげてしまったら困る方が続出してしまうのですが、それもやむなしですね〜」
ふ、風よお前もか。
「ま、世間的な体面とかはおいといて、です。中々に妙手ではないかと思うのですよ〜。
実際馬岱さんや馬家軍の皆さんが参軍するとしてですよ。
当然風当りはかなーり強いでしょう。
疑念の目を向けられることもあるでしょうし、むしろ何らかの害が与えられる可能性も大いにあります」
ふむ、と考え込む。蒲公英を守るためにも意味があるということか。
「つまり、だ。俺の庇護下にあるいうこと。これを示す。
それには最上、ということか」
「そですよ〜。
例え馬岱さんの首級で馬家軍の皆さんを許したとしてです。
当の馬岱さんはともかくとしてですが、馬家軍の将兵の皆さんから感謝されるかというと……。
そうではないでしょね〜」
けらけら、と明るく七乃が笑って。
「そんな馬家軍の将兵をあの韓遂さんが掌握するとか。
長安陥落くらいまでは覚悟しとかないといけないでしょう
いや、もっと迫られるかな?」
ふむ、と考え込む七乃である。
数瞬の真剣な表情に背筋が寒くなる。その仮定がむしろ来たるべき運命(ミゼラブルフェイト)のような。
「しかしなあ、弱みに付け込んでどうこうするってのはちょっと……」
七乃は俺の言葉に失笑。そして後ろから抱きついたままで今度は俺の耳をがじり、と齧って。
ああ、と思いついたように笑う。
「ご自分からは言い出しにくいということですね?ご安心くださいな。
既にお姫様はご納得してますから。今は湯で身を清めているころですかねえ。
――無理を通すのが二郎さんのお仕事。そして道理を整えるのが私たちのお仕事でしょう?
いったい何を躊躇ってるんですか?」
真正面に回り込んだ七乃の笑みが、俺を刺す。
産まれたその時から袁家の闇に染まり、その闇を手繰ってきた彼女の言。
伝わる蒲公英の覚悟。
そして風が俺の背を押す。軽やかに、それでいてどこか真摯に。
「馬岱さんを助けたい。馬家軍も助けたい。更に涼州の安定も失いたくない。
その利があって尚、躊躇う。
そうすると、です。どれだけ自分に魅力がないかと思う人が出てくると思うのですよ」
蒲公英のこと、か……。
まあ、確かに蒲公英には失礼な話だよな……。
「まあまあ、後は当事者同士にお任せするとしましょう」
ぱん、と七乃が一つ手を打ち鳴らすとどこからか女官が出てきてあれよあれよと言う間に俺を誘導していく。お気張りくださいな、なんて声を受けながら通された室。
薄明りくらいの照明が入ったそこには、どこか不安げな目をした蒲公英がいた。
- 943 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:10:43.71 ID:+NPOZYks0
- ◆◆◆
「あ、二郎様……」
砂塵にまみれ、手枷を嵌められていた先ほどとは打って変わって。小奇麗に着飾った姿は正に名家の令嬢に相応しい。
湯を使った後だからだろうか、どこか頬も上気している。
「に、似合わない……かな?
たんぽぽあんまりこういうのよくわかんないから、ね……」
てへへ、と照れるさまが可愛いぞこんちくしょう。
「ま、まあたんぽぽってばお姉さまみたいに手足長くないし、あまり見栄えはしないんだけどねー」
「卑下するこたあないさ。綺麗、だぞ?」
「わわわ、そ、そんなことないって。ここは馬子にも衣装っていう所でしょ?」
かぁ、と更に頬を上気させる蒲公英が可愛い。
「いやいや。こう、だな。
いかにも深窓の令嬢っぽくていいぞ?
わたわたと狼狽える蒲公英をいじるのはとっても楽しい。
とは言え、だ。きちんとせんといかん。馬家の処遇、避けては通れない。
そんな俺の内心を読んだのか、きゅ、と袖を掴んでくる。
数瞬躊躇うが、言うべきことをまずは言う。伝える。
「馬家はお家断絶。
ただし、馬岱及び馬家軍の戦(いくさ)働き、それ如何(いかん)による。
現状、馬岱は俺がその身柄を預かり、馬家軍はそれに準ずる」
まあ、翠がやらかしたことは蒲公英とその配下が購えということである。
「ふぇ?そんなんでいいの?
てっきりたんぽぽ、車裂きくらいはあるかなって思ってたんだけど」
まあ、そういう意見も袁家内であったというのは内緒だ。
- 944 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:11:11.15 ID:+NPOZYks0
- 「蒲公英の身柄は俺が預かる。そう言ったろう?馬家軍にしてもそれに準ずるともさ。
……それはそうと、よく頑張ったな」
じわり、と涙ぐむ蒲公英をやや乱暴に抱きしめる。
「よく、頑張った」
そう言うと、蒲公英はひし、としがみついてくる。
「ごめんなさい」
応えず、腕に力を込める。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ほんと、ごめんなさい。二郎様、ごめんなさい。
叔父様、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
「蒲公英は頑張った。俺がそれを知ってる。俺は分かってる」
ぎゅ、と蒲公英が俺の身体を掴む。骨が軋むくらいのそれは蒲公英の生きている証のようで、とっても、嬉しい。
だが、けじめはつけないといかんのだ。いや、不粋だろうが、それをはっきりと言わんといかん。
だけれども、できるならばもっと違う形であればよかった。できればよかった。
「……蒲公英、お前は、俺のものだ」
搾りだした声に蒲公英は応える。
「うん。二郎様。蒲公英は二郎様のもの。それでいいよ?ううん。それがいい。
だって、ずっとそうなりたかったもの。
だから、そうなって、こうなって、それでも嬉しいと思うの」
泣き笑いしている蒲公英。そ、と口づける。
「あ……」
かぁ、と頬を上気させる。そんな蒲公英がどうしようもなく、可愛い。
「お前は、俺のものだ」
こくり、と頷く蒲公英。
それがいじらしくて、可愛らしくて。
月並みな言葉を繰り返す。他に何も言えなくて。
「お前は、俺のものだ」
きゅ、としがみついてくる蒲公英。
荒々しく、或いは優しく。
「もっと、もっと早くこうなってたかった。ずっと、こうなりたかった。
でも、好き。大好き……」
或いは、あったかもしれない。馬騰さんにゴリ押しされてお見合いする俺と蒲公英。そんな未来があったかもしれない。
静かに泣きじゃくる蒲公英。ぎゅ、と抱きしめる。
今だけは。今だけは、辛いことから目を逸らそう。
嗚咽とも、嬌声とも。
暗闇に全ては吸い込まれていった。
- 945 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:13:07.38 ID:+NPOZYks0
- 本日ここまで
かんそうとかくだしあー
タイトル案は
「馬家二の姫 その処遇」
うーん、業務連絡かな?
しっとりした感じのやつあればくださいませ。
12/30-1/1は更新できないのでそれまで頑張りたいです頑張るぞいっと。
なんとか春休み、もしくはゴールデンには完結にもってきたいんですね
- 946 :青ペン [sage saga]:2021/12/28(火) 06:33:56.68 ID:hrLYsZeTo
- >>945
ほーん。
しっとり、ねぇ。
陽の華が溢す泪〜想いと願いと立ち位置と〜
- 947 :赤ペン [sage saga]:2021/12/29(水) 18:21:00.91 ID:rHP5DxZM0
- 乙でしたー
>>まだまだ未熟な娘、しかもグダグダしてますから思うところはそりゃあ。。。 馬超さんについての説明ですよ
>>「グダグダしてます」って言ってる辺り文才の欠如は自認してるだろうしね 作者に対して何か思うところがあるのかもしれませんが読解力が低すぎると恥をかくので冬休みの間にもう少し本を読むことをお勧めします
>>931で 泣き出しそうな顔を見て、妥当だなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌められ、それでも思う。 てっきり二郎(の周りの誰か)に拘束されたんだと思ったけど
>>941で そう言って蒲公英が自ら嵌めてきた手枷も外させる。 とあるけどどういうこと?袁家の誰かに枷をはめるように自ら願い出たってことかな?
○泣き出しそうな顔を見て、妥当かなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を見やり、それでも思う。 馬岱が自分でやったならこうかな
そう言って蒲公英が自ら嵌めてきた枷も外させる。
○泣き出しそうな顔を見て、妥当かなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌めて、それでも思う。 兵士とかに頼んで嵌めてもらったならこう
そう言って蒲公英が自ら望んだ枷も外させる。
○泣き出しそうな顔を見て、妥当だなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌められ、それでも思う。 話を聞いた誰かが「念のために」とか言って施したならこうかな?
そう言って蒲公英が抵抗もしなかったその枷も外させる。 あと手枷は外して足だけ残すとかちょっとマニアックな気がするので両方外しておきますね…足枷残しとく?
>>「この始末、どうしたらいもんか」 雷門?
○「この始末、どうしたら良いもんか」 もしくは【どうしたもんか】…こっちだとちょっと軽いですが逆に軽くしようとしてるようにも読めるかな?
>>「その上で私見を述べさせて頂きます。馬家の誅滅は悪手かと〜」 あげないよ
○「その上で私見を述べさせていただくなら、馬家の誅滅は悪手かと〜」 【述べさせる】にくっつく形で使う場合はひらがなですね、あと【ます。】で硬い感じの後に【かと〜】ってなると違和感が…少し好みを加えてみたり
>>942
>>けらけら、と明るく七乃が笑って。 実際に「けらけら」と笑う人は見たことないなあ…キン肉マンとかワンピースにはいるかな?
○けらけらと明るく笑ったかと思えば。 【がははは、と豪快に笑う】とかならありかもしれませんね。後の文で急に真顔になって考え込んでるので接続詞をちょっと変更
>>数瞬の真剣な表情に背筋が寒くなる。 状況を思い浮かべると二郎の背中に抱き付いて耳元に口があるんだよなあ…顔見える?
○数瞬の真剣な気配に背筋が寒くなる。 見える位置取りだっていうならそれでもいいですが一応
>>943
>>砂塵にまみれ、手枷を嵌められていた先ほどとは打って変わって。 手枷しかしてなかったのか足枷が見えてなかったのか…
○砂塵にまみれ、罪人のような風体だった先ほどとは打って変わって。 【手枷足枷を】っていちいち書くのもなんか違う気はするんで
>>いかにも深窓の令嬢っぽくていいぞ? ここは二郎に媚びへつらう為に扇情的な娼婦のような服を着る所でしょっ!!
○いかにも深窓の令嬢っぽくていいぞ?」 実際どんな衣装着てるんだろう…何故か存在するパジャマみたいなやつかね?…あ、カッコ抜けてますよ
>>叔父様、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」 ほかのところでは基本的に入れてないし入れなくても良いかな
○叔父様、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」 最後は力いっぱい【ごめんなさいっ】とかもいいかも?
ちょっと飯食ってくるんで感想はまたあとで
- 948 :赤ペン [sage]:2021/12/29(水) 20:52:21.79 ID:rHP5DxZM0
- 本当ならこんな糞みたいな報告した後でそんな理由で二郎の女になりたくはなかったんだろうなあ
二郎も(女として見てたかは置いといて)好ましく思ってた相手だしこんな形で抱くとか個人的な感情としてはやりたくなかっただろうに
というかもしかしてこれが初めてか?……私人としてよりも公人を優先して女を抱いたのって
二郎の女たちが引き込んだのはこれ色々と理由はあるだろうけど多分最終的には【タンポポを二郎が[ピーーー]選択をしたら二郎が気に病むから】が最大の理由なのでは
あるいは詠ちゃんの件で後悔してたのか
- 949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/30(木) 11:27:36.24 ID:hSXjvTS50
- >>928みたいにただいうだけ言ってればスルーされるだけで済んだのに
>>1の上げ足取ろうとしたばかりに赤ペン先生に添削されてしまった>>940
スルーしてあげてよぉww
- 950 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/30(木) 15:39:20.17 ID:iT9hHQ6p0
- >>946
どもです!
>陽の華が溢す泪〜想いと願いと立ち位置と〜
相も変わらぬセンスに戦慄
これはよいものだ・・・
>>947
赤ペン先生ありがとうございます!
今年あと一回やれるかな・・・
>とあるけどどういうこと?袁家の誰かに枷をはめるように自ら願い出たってことかな?
自分でやってることです
二郎ちゃんの信頼を裏切って、これから起こることをなんとなく分かっている
※伊達のマー君の白装束とは違って本当に申し訳ないと思ってます
>本当ならこんな糞みたいな報告した後でそんな理由で二郎の女になりたくはなかったんだろうなあ
これです。ほんとこれです。本当にこれなんです。
>というかもしかしてこれが初めてか?……私人としてよりも公人を優先して女を抱いたのって
言われてみればそうかもしれない。
なるほど、そういうことになるのですね。うわあ…。
言っても双方の合意というか割と気持ち的に関係を結んでいますからね・・・
>二郎の女たちが引き込んだのはこれ色々と理由はあるだろうけど
これですね。ここの読解がありがたい。
詠ちゃんはね、本当に惜しい人物でした
どうしようもなかった案件ではありますが
- 951 :青ペン [sage saga]:2021/12/31(金) 04:49:44.70 ID:euO1AdIso
- >>950
詠ちゃんおったらたぶんうまいこと
馬軍の取り成しとかできてたんやろなぁ…。
董軍と馬軍わりとちかしい感じだったはずだし
痛いなぁ…。
(わかってるのよ、処断しないと色々と成り立たなかったってのは…落とし前的にも建前的にも)
- 952 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/31(金) 12:51:42.20 ID:DuIW9Rsn0
- >>951
なお、董家陣営存命の場合馬騰さんいなければ普通に馬家が乗っ取られていたであろう未来しか見えない
多分馬家姉妹も納得の上で董卓をトップに賈駆が実権を握る感じだったであろう
馬超さんは戦場で馬家の誇りを示せてニッコリ
詠ちゃんが有能すぎるんや
- 953 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/31(金) 13:13:13.87 ID:DuIW9Rsn0
- あと詠ちゃんには野心もたくさんある
これは華琳様陣営以外では割とないものです
※蜀陣営は考えないものとする
- 954 :赤ペン [sage saga]:2022/01/01(土) 00:02:55.03 ID:ybNtfgyZ0
- あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします。
- 955 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/01(土) 12:03:14.30 ID:1XE3XIJ+0
- あけましたおめでとうございます!
今年もよろしくお願いします。
今年のGWくらいに完結できたらいいなー
その後はオリジナルをやるのじゃ・・・
書籍化を目指すぞ
言うだけならタダだから言ってみます
- 956 :赤ペン [sage saga]:2022/01/03(月) 17:55:23.63 ID:zKx1yApj0
- ついでに漫画化とアニメ化と映画化も狙っていけ
- 957 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/03(月) 17:56:55.37 ID:Ls/9YdUl0
- ヨシ!
実写化も狙うやで!
- 958 :赤ペン [sage saga]:2022/01/03(月) 22:24:29.51 ID:zKx1yApj0
- 忘れてた…ゲーム化も良いぞ!
- 959 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/03(月) 22:37:00.25 ID:Ls/9YdUl0
- 挙げられたハードルをクリアしたい
頑張りますちょっと待ってね明日は頑張るぞいっと。
- 960 :赤ペン [sage saga]:2022/01/04(火) 13:33:12.67 ID:+zd7BZf10
- 実写化?…ネギま…ルパン…ドラゴンボール・・・うっあたまが
金田一…銀魂…テルマエ…カイジ…そうだな!きっと大ヒット作品になることだろう
- 961 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/13(木) 22:26:00.79 ID:SZ/0yYA80
- 「ゆうべはお楽しみでしたね」
「うっさいわ」
ぽこり、と風のどたまに鉄槌を振り下ろす。
「おお、痛い痛い。
風は主の暴虐に全身全霊で抗議する所存なのですよー」
わーわーと騒ぎ立てる――楽しそうに――風である。
色々と言いたいことはあるのだが、何を言おうかなあと思っていたら稟ちゃんさんが引き取ってくれた。
「風、いい加減にしなさい。ふざけている場合ではないでしょうに」
「おお、怖い怖い。まあ、それでは現状を整理しましょかね。
蜀と名乗る不逞の輩。コナをかけた勢力は多々ありますが脅威になりそうなのはそこまで多くありません。
これは二郎さんが反董卓連合の後、諸侯軍の補給の梯子を外したおかげですね。
まあ、それでも無視できない勢力はまだこの中華に残っております」
まあ、そうよね。黄巾の乱で認められた諸侯の私兵。それをゴリゴリと削る作業の途中ではあったのだよ。参勤交代とかやったろうかとか思っていたくらいに。
「脅威となりそうな勢力。蜀と連動しそうな順に行きましょう。
韓遂、劉焉含む益州、曹家、黒山賊、孫家。あとは……有象無象の諸侯ですかね」
「西方はガタガタだな……。東方の諸侯にも睨みをきかさんといかんし、手駒が足りんな」
やはりここは当初の予定通り……。
「ここは孫家を使おう。流石に手が回らん」
ちろ、とメガネを光らせて稟ちゃんさんが問うてくる。
「よろしいのですか?袁家単体で蜀を撃滅するという当初の方針を放棄することになりますが」
「構わん。お題目に拘っている場合じゃない。なに、俺の面子が潰れるくらいどうということもない。使えるモノは全部使う。全部、な」
出し惜しみなんてしている場合じゃあないのだ。彼奴らには、思い知らせてやる。誰に喧嘩を売ったのかをな。
「手始めに、一番物騒な奴から手を付けよう。韓遂を召還しろ」
「大人しく来ない場合はどうしますか?」
稟ちゃんさんの問いに俺は清々しく応える。
「長安失陥くらいは覚悟しとくか」
韓遂が本気で来たらそんくらいは覚悟せんといかん。長安を空にして焦土戦術とか色々と考えたりするが、現実的じゃないしなあ。まずは蜀を討つことに集中せんと……。
「そんな二郎さんにお客さんが来てますよ?」
どこからともなく現れた七乃がそんなことを言う。
「追い返せ、今は来客の相手をしている場合じゃない」
「あららー、名前くらいは聞いた方がいいんじゃないですか?」
まあ、七乃も今がどういう状態かって分かってるもんな。取り次ぎに来たってことはそれなりの存在か。
……華琳じゃありませんように。
「韓遂さんが涼州よりおいでですー」
なん……、だと……。
- 962 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/13(木) 22:26:34.17 ID:SZ/0yYA80
- ◆◆◆
「遠路はるばるご苦労さん。丁度俺もあんたに会いたいと思ってたところさ」
韓遂は目の前の男を改めて見る。
――今上帝は政務にまるで興味を示さず後宮に籠りっきりである。
自然、政治の全権は袁紹が握ることになる。そしてその袁紹が絶大な信頼を寄せているのが目の前の青年、紀霊である。彼が実質今の漢王朝を牛耳っていると言っていい。
無論それに対する反発も大きいのではあるが、表だって反抗する者はいない。
袁紹という後ろ盾、司徒という地位もそうなのだが。何より苛烈な宦官への粛清、弾圧――逃亡した宦官への捜査、取調べと言う名の拷問――の記憶はまだ新しい。
宮中を血に染めて全く揺るがぬその姿。一部で魔王呼ばわりされるだけのことはあるのである。
「涼州の一大事ゆえ。単身発った蒲公英の身も気になりますし、な……」
当然韓遂は馬岱の身の処し方については想定内。
いや、手の者を使い使嗾さえしたのだ。まあ、馬岱が容れられても容れられなくとも韓遂にとっては同じことではあったのだが。
紀霊が容れればよし、排除してもよし。
どちらにしても涼州の実効的支配権は韓遂の手に転がり込むのだ。後はどれだけ高値で売りつけるか、だ。
「……」
紀霊はばりばり、と頭をかき、はあ、とこれ見よがしにため息を吐き、懐から取り出した物を韓遂に投げつける。
すわ、暗器の類か、と身構えるも、緩やかな放物線を描くそれをぱし、と受け取る。
「これは……!」
流石の韓遂が言葉を喪う。
「おお、流石に見誤らんか。そうだ。見慣れている品だな。そう、涼州牧の印綬さ。
それが欲しくて洛陽まで来たんだろう?くれてやるよ」
す、と表情を消して韓遂は問う。
「随分とあっさりしていますな?」
苦笑一つ。いや、それは笑みだったのだろうか。
「馬家はお家断絶まっしぐらさ。だったら涼州をまとめられるのは貴様しかいないだろうが。
涼州は匈奴の盾となる重要な地域。荒らすわけにはいかん」
目を合わせることもなく、淡々とした言葉に激情が漏れる。
「……この私を駒扱いするか。舐めるなよ、小僧!」
裂帛の気合いに紀霊の横に控えていた護衛――典韋と楽進――が臨戦態勢をとる。その殺気は研ぎ澄まされ、物質化されたかのように韓遂を貫く。
が、幾多の修羅場をくぐった彼がそれごときで怯むはずもない。無手であっても、だ。
「生(なま)の殺気を剥き出しにするなど、お里が、知れる……。
主の都合を洞察できないとはな」
傲岸不遜に吐き捨てる。その言に護衛の二人がたじろぐ。
武勇はともかく政治的なやりとりは彼女らには埒外。自分たちの行動で主に迷惑をかけたのか、と。
- 963 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/13(木) 22:27:05.16 ID:SZ/0yYA80
- 「二人とも、落ち着いてねー。
それと引き続き警戒よろしく」
紀霊の言葉に護衛の二人はさきほどまで放っていた殺気を霧消させ、彫像と化す。
「――。
一頭の虎と、一万匹のネズミ。殺しつくすのって、どっちが楽かな?」
ニヤリ、と笑う紀霊の凄味。言葉の寓意。
韓遂が内心で驚愕する。この私が気圧されるだと!
「虎が一頭とは限りますまい。涼州騎兵は一騎当千。いかがされる?」
その声に紀霊は苦笑する。
「だったら根切りしかないだろうさ。
涼州騎兵、その性質。ひたすらに叛であれば世の害悪。涼州を焦土とするさ。
韓遂よ。俺が農業に詳しいというのは衆知の事実。これまで中華を肥沃な大地としてきた。だったら……焦土にすることもできる、と。思わないか……?」
「な!」
「まあ、そうはならんと思っているよ。馬騰さんはそんな人じゃあなかった。
漢朝に叛いたのも一族郎党を道連れにしてでも諫言をするためだった。
少なくとも俺はそう思っているよ。ああ、惜しい人物を亡くした。心からそう、思うよ……」
重苦しい沈黙が落ちる。その沈黙を打ち破ったのは韓遂であった。
「……これは紀霊殿は冗談がお得意の様子。涼州騎兵は漢朝の忠実な臣ですとも。蒲公英は身一つでその忠誠を誓いましたがな。
ああ、蜀なぞという不埒な賊軍。度し難いというもの。涼州騎兵の最精鋭五百、ご用意いたしました。蒲公英はあれでその軍才はなかなかのもの。
お役立ちになるかと……」
事実上韓遂が紀霊の軍門に降った瞬間である。
「ん、その忠勤。陛下にも伝えておく。ご苦労!」
言い捨てて去る紀霊の背を見ながら韓遂は思う。
流石に、義兄がベタ褒めするだけのことはあったな、と。
そして韓遂は涼州の牧にほどなくして任命されることになる。
馬超の出奔。更に馬岱の紀霊への従属。ともすれば崩壊しそうな涼州を支えたのは間違いなく韓遂であった。
- 964 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/13(木) 22:27:54.62 ID:SZ/0yYA80
- 本日ここまですー
かんそうとかくだしあー
俺はやるぜ俺はやるぜ俺はやるぜ・・・
- 965 :赤ペン [sage saga]:2022/01/14(金) 10:16:22.54 ID:3DHIZ6uW0
- 乙でしたー
>>961
>>ちろ、とメガネを光らせて稟ちゃんさんが問うてくる。 間違いではないですが【ちろ】だと舌とか出してそう…いやん、なまめかしい
○メガネを光らせて表情の読めない稟ちゃんさんが問うてくる。 詰問するなら【ギラリ、と】そう来るか、と感心したなら【きらり、と】な気がしますがあえてここは真意を問うために無表情?でどうでしょう
>>「手始めに、一番物騒な奴から手を付けよう。韓遂を召還しろ」 【召還】は呼び戻すことなのでちょっと違いますね(まあ州牧とかきっちりと漢の臣としての職についてるならありかもですが)
○「手始めに、一番物騒な奴から手を付けよう。韓遂を召喚しろ」 FFの【召喚獣】みたいに呼び出す、呼び付けるならこちらです(直臣じゃなくて陪臣みたいなものよね?)
>>962
>>いや、手の者を使い使嗾さえしたのだ。 間違いと言うほどではないのですが【使嗾】には悪事をけしかけるニュアンスがあり、馬岱を悪い方へ誘導したように聞こえます。が、馬岱からにしろ二郎からにしろこれは悪手とは言えないので
○いや、手の者を使い焚き付けることまでしたのだ。 良い事か悪い事かは置いといて小さい火を大きくするような事をしたならこのあたりでどうでしょう
>>「生(なま)の殺気を剥き出しにするなど、お里が、知れる……。 これだと冷や汗一つは掻いてそう…傲岸不遜に吐き捨てるなら
○「生(なま)の殺気を剥き出しにするなど、お里が知れる……。 の方が良さそうかな?あくまで好みのレベルですが
韓遂が馬騰さんのことを嫌ってはいても信じてたようなめんどくさい内心が溢れててとっても良き
求めてた物が転がり込んできた時の激発による呼び水とか見るとこいつを義弟にした馬騰さんの(自分が間違えた時はこいつが止めてくれるだろう)みたいな心情まで伝わるようで良き
そりゃ反董卓連合の時にこいつはしっかりと涼州守るわ…敵討ちとかはしないし部下に殺された間抜けめ、とは思ってもその娘の敵討ちの邪魔はしない感が出てた
- 966 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/15(土) 14:02:23.01 ID:20lo4xQX0
- >>965
赤ペン先生ありがとうございます!
>韓遂が馬騰さんのことを嫌ってはいても信じてたようなめんどくさい内心が溢れててとっても良き
書いてて私も「こいつめんどくさい!」とか思ってましたw
>そりゃ反董卓連合の時にこいつはしっかりと涼州守るわ…敵討ちとかはしないし部下に殺された間抜けめ、とは思ってもその娘の敵討ちの邪魔はしない感が出てた
そう考えると親戚のおじさんムーブに見えないこともないですねw
- 967 :青ペン [sage saga]:2022/01/17(月) 10:22:56.28 ID:+StJvMtJo
- >>964
乙ーい。
義兄の幻影〜護るべきもの〜
でどうかの
- 968 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 19:30:23.85 ID:4lqDpJYF0
- >>967
どもです!
幻影いいなあ
これは使いたい
これはいいやつっですありがとうございます!
なんか馬騰さんと韓遂を示唆するような言葉ないかなあ。。。
- 969 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 21:11:57.10 ID:4lqDpJYF0
- 「凄いな……」
積み上げられた食糧の山に北郷一刀は感嘆の息を漏らす。見渡す限り物資の山、である。しかもこれは多数ある物資貯蔵庫の一つでしかないのだ。
「はい。百万の兵を百年養うだけの食糧があります」
襄平だけで、である。
「あるところにはある、か……」
嘆息する。一体、義勇軍当時の切迫した食糧事情とはなんだったのだろうか、と思う。
「食糧だけではありません。武器、防具、それに金銭……。
膨大な量が確認されています」
ぺらり、と資料をめくりながら諸葛亮は応える。
「袁家の財、恐るべしというか、もうなにがなんだか分からないな」
たはは、と言った風に北郷一刀は苦笑する。規模が膨大過ぎて実感がわかないというのが実際のところである。
そんな北郷一刀に諸葛亮は苦笑する。
「ええ、ですが。幽州のみでこれなのです。積み上げた袁家の財貨。敵に回すとなると……」
内心で諸葛亮は舌打ちする。まさかこれほどの蓄財があるとは思っていなかった。
流石常備軍を数万単位で運用できるはずだ。
いや、にしてもこれは想定外にもほどがある。
これほどの蓄財を、戦乱を経て可能にした袁家。その脅威に諸葛亮は内心舌打ちを重ねる。
「そっか、そうだな。ちょっと浮かれてた。ごめんな、朱里。引き締めてくれてありがとな」
「はわわ……」
先ほどまでの懊悩もどこへやら。諸葛亮は頬が上気するのを自覚する。
そして撫でられたところからじわり、と幸せな熱が広がっていくのも。恍惚感で思考が麻痺していくのをぷるぷる、と頭を振って防ぐ。
「お昼からの会議ですが、事前にご主人様にはご報告いたします」
劉備はともかく、実質的な組織のトップである北郷一刀が色々な報告に一喜一憂するのは好ましくない。
泰然と、悠然と、どっしりと構えていてくれないと困るのである。
「お、なんかあったのか?」
「はい。まずはよい報せからです。ご主人様の呼びかけに翠さんが応じてくれました。
州牧の地位を投げ打って此方に合流してくれるとのことです」
「翠が、か!いや、持つべきものは、だな!」
北郷一刀の声に諸葛亮は深く頷く。馬超が出奔したというのは実に大きい。
州僕という漢朝で十三席しかないその席を蹴ってまで動いたのだ。これにより蜀はその影響力を内外に示すことができた。馬超の動きなくしては多方面への呼びかけも所詮は絵空事であったのだ。
それが、だ。涼州の韓遂、益州の劉焉と劉表。荊州の孫家に洛陽の曹家。
さらには黒山賊や東方の諸侯。それらの動きに備えなければならなくなるのだ。
いかに諸葛亮と鳳統の神算鬼謀あろうとも圧倒的な大軍を前にしては勝機も薄くなるというものである。
贅沢を言えば、涼州まるまる手にしたかったものだが。
- 970 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 21:12:23.28 ID:4lqDpJYF0
- 「更に行方不明だった恋さんも此方に向かっているそうです」
万夫不当。単騎で三万の軍を撃退したという呂布の武、そして騎兵を手足のように操る将才――実際に指揮を執っているのは陳宮なのだが――。
飛将軍の武名は中華最大なのである。
「恋か!いや、久しぶりだなあ。ねねやセキトも元気だといいなあ」
なにせ呂布だ。北郷一刀は満足げな笑みを深める。そう、呂布なのだからして。
「……黒山賊とは相互不可侵、限定的な戦力の貸与、情報交換で合意できそうです」
兵力的には最大の勢力が黒山賊である。五万とも、十万とも言うその兵力。
そして、そもそも黒山賊と紀霊は不倶戴天の仇敵である。漢朝で紀霊の影響力が大きくなる一方の現状が好ましくないのは分かっていた。まあ、妥当な線であろうと諸葛亮は思う。
ここまでの情勢、非常に順調である。そう、順調なのだ。
だが、一手足りない。あと一手足りないのだ。
諸葛亮からしたら、あと僅か一手足りない。
例えば、孫家の当主が孫策であればこれを好機として大いに盤上をかき乱すことができただろう。
例えば、曹操が州牧や太守として地方に在ったならばこの状況を利用してのし上がることを使嗾すらできただろう。
そして、例えば劉焉が益州の州牧であれば、荊州や漢中を分捕りに出たであろう。その、一手さえあれば、と内心歯噛みする。
「そか、結構順調だな。これも朱里や雛里が頑張ってくれたからだな。ありがとうな」
「はわわ……」
きゅ、と抱きしめられて諸葛亮は恍惚とする。このまま耽溺したいが、報告はまだ終わってはいない。
「ご、ご主人様、いけません……。まだご報告がおわってましぇん……」
「朱里はかわいいなあ。そんなに肩肘はらなくてもいいんだぞ?」
「わ、わたしたち蜀は朝敵として討伐されるとのことでしゅ……」
うっとりとその温かさに身を委ねながらも諸葛亮は義務を果たそうとする。
「朝敵?今更って感じだけどなあ……」
それがどうしたと言わんばかりの北郷一刀の剛毅な声。
それに再び諸葛亮はうっとりとしそうな自ら。それに喝を入れながら続けて報告する。
「と、討伐軍が組織されます。総大将は紀霊」
その名前にぴくり、と北郷一刀は反応する。
「あいつ、か」
厳しい表情もご主人さまは素敵だなあ、などと思いながら諸葛亮は報告を続ける。
「はわわ……。はい。大きく五つの軍団にて編成され、その将を五虎将と称しています。
紀霊本人は征夷大将軍として討伐軍の全権を握っているとのことです。
北伐として陳琳が出師の表なんてもので上奏したそうです……が?」
どうされました?との言葉すら吐けない。
どんな時も悠然としていた自らの主が、その顔色を蒼白にしているのだ。
- 971 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 21:12:49.43 ID:4lqDpJYF0
- 「朱里、朱里よ。お前、それ。
それ、マジか?」
「え?は、はい。確かな情報です。五虎将は紀霊、顔良、文醜。それに星さんと白蓮さんとのことですが……」
「なんだよ、それ!くっそ!畜生!そんなの、ありかよ!」
激昂する北郷一刀に、諸葛亮は何と言葉をかけたものかと戸惑う。
諸葛亮の知恵をもってしも彼が何故これほどまでに荒れているのかが分からないのだからして。
「朱里……!」
「はい!」
搾りだしたような主の声に諸葛亮は応える。
「朱里。朱里は諸葛孔明、だよな……」
「はい。そうです……?」
戸惑ったような諸葛亮と目も合わせず、北郷一刀は声を絞り出す。
「紀霊――魔王。奴は俺と同じかもしれない。――いや、きっとそうなんだろう。
くそ!なんで気づかなかった!阿蘇阿蘇(アソアソ)!母流龍九(ボルタック)商会!ヒントはあったじゃないか!
あったんだよ朱理!」
苦悩に吠える北郷一刀に諸葛亮は数瞬戸惑い、まぶたを閉じる。
そして数秒後、刮目し微笑する。
「なるほど。分かりました。今、理解しました。全てを。
紀霊。それこそが発端にして元凶。
言わばこの世の歪み……。つまり、ご主人様の敵……」
くすくす、と諸葛亮は笑う。それまでの憂いを帯びた笑みではなく、満面の笑み。晴れ晴れとした笑み。
「朱里?」
その変貌に戸惑う声に諸葛亮は応える。
笑みを浮かべたままに。
「ご主人様。ご安心を。一切、お任せくださいな」
くすり、と諸葛亮は笑う。笑みを深める。深く、深く。より深く。
そして浮上し、破顔する。
「見ぃつけた……」
その言葉は闇に散じて、誰の耳にも届くことはなかった。
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