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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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941 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:09:43.27 ID:+NPOZYks0
さて。
俺の前には悄然と項垂れる蒲公英。もたらしたのは翠が出奔したというその報せ。
誰よりも早く伝えたのはほかならぬ蒲公英であったのだ。昼夜兼行の強行軍。幾頭も替え馬を潰したという――馬家の乗馬への扱いを知っているからこそその重大さが分かる――それ。
そのおかげで、恐らく翠が幽州入りするより早くその報は入ったはずだ。

「顔を上げてくれ、蒲公英」

そう言って蒲公英が自ら嵌めてきた手枷も外させる。実際見てらんねえよ。
聞けば昼夜兼行する際もずっと自らに課してきていたらしい。おお、もう……。

「二郎様、本当に、ごめんなさい……」

気にするな、と。流石に言うわけにもいかないがどうにも調子が狂う、というか考えがまとまらない。
どう対応していいかも分からずに取りあえず別室に下がってもらい、傍らのメイン軍師に問うてみる。

「この始末、どうしたらいもんか」

俺のかなーり曖昧で範囲の大きい問いに、メイン軍師たる風はむぅ、と唸る。

「詳しくは稟ちゃんとも相談しなければなりませんが……。
そですね。ひとまず二郎さんがお気になさっているのは馬岱さん及び馬家の処遇と思いますが?」

そうだな、と頷く。実際どうしたもんかよ。

「ぶっちゃけ二郎さんのお好きにすればいいと思いますよ?
こと、ここに至っては些事と言っても差しつかえありません。
どのようなご処置であっても如何様にもなりますし、二郎さんはそれだけの地位にいらっしゃるのですから」

「んなこと言ったって、さあ」

まさかの、丸投げに丸投げで返されてしまった案件なんだぜ。
いや、言われてみればお説ごもっともなんだけどね。これが権力を手にするということか……。逆に怖いわ。
内心ブルっていた俺を知ってか知らずか言葉を重ねる。

「その上で私見を述べさせて頂きます。馬家の誅滅は悪手かと〜」

 茫洋とした表情とは裏腹に、語る内容は待ったなしのガチ内容である。
 いや、流石メイン軍師である。こういうの本当にありがたい。

「と言うと?」

「ただでさえ不穏な涼州。ここで馬岱さんを処刑しちゃうとですね。ようやっと治まる気配を見せていたのが台無しになるのは目に見えていますから〜」

韓遂がよからぬことを企むに決まっていると風はため息を盛大に。ああ、韓遂がいたね。いたよ。
いたよねぇ……。涼州、超やっかい!

「ん……。しかし蒲公英に何て言えばいいもんかね……」

まさか助命してやるから翠と戦えとか……言いたく、ないなあ……。

「もう、やだなー。そんなの、食べちゃえばいいんですよ」

耳元にふぅっと息を吹きかけて七乃が囁いてくる。
って全く気配を感じなかった。流石の穏行の技。あっさりと後ろをとられてしまっていたようだ。

「うお!
……って食べるとか何を言ってんだ?」

「えー?あちらは、もともと二郎さんを憎からず思ってたわけですしぃー。二郎さんも満更じゃなかったですしぃー」

けらけらと七乃は更に言葉を続ける。

「いやあ、愚姉の不始末から一族の安全を守るため、その身を捧げる名家の姫君……。これは人気が出そうですねえ」

「おい」

ちょっと待てなんだそのシナリオ。
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