2:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/03(金) 20:42:31.48 ID:lDv6b5YMo
ホテルを出て、駅の方角に歩き始めた。
夜の街の静寂は余計なことを思い出させる。今日は最悪な日だ。
あの頃の私は夢見がちで、世間知らずで、馬鹿で、未来への希望に満ち溢れていた。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/03(金) 20:51:33.83 ID:lDv6b5YMo
夢に向かって努力する中で、私は何度も失敗した。
プリキュアとの両立ができず、落胆され、叱責され、何度も諦めそうになったし挫けそうになった。
でも、それを絶対に許してくれない女の子がいた。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/03(金) 20:57:34.25 ID:lDv6b5YMo
いつだってあの子がいた。
いつだって、あの子の背中を見ていた。
あの子の影の中にいるような気がした。一生そこから出られない気がした。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/03(金) 21:04:31.87 ID:lDv6b5YMo
それから私はあの子を避けるようになった。
同じ学校のクラスメイトで、あの子のあの性格。放っておかれるわけはない。
私は何かと理由をつけて会話を遮り、誘いを断り、そのうちだんだん疎遠になっていった。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/03(金) 21:10:57.90 ID:lDv6b5YMo
ホテル街を抜けて繁華街に差し掛かると、この時間だというのに人だかりができてくる。
正直ありがたい。喧騒の中の方が、嫌なことを考えずに済む。
こういう街の歩き方にはもう慣れた。歩調を崩さずすいすい進んでいける。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/03(金) 21:11:32.25 ID:lDv6b5YMo
続きます
8:名無しNIPPER[sage]
2025/01/03(金) 21:36:24.05 ID:YSxvDAIwo
おつ
きたい
9:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/04(土) 21:07:10.63 ID:4VUIgo16o
「みぃちゃん? みぃちゃんだよね! やっぱりそうだ! 久しぶりっ!!」
花のような、太陽のような、妖精のような、そして天使のような、誰もが一瞬で虜になる笑顔。
あの子が笑うと、世界があの子だけになる。そのせいで何度も馬鹿な勘違いをした。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/04(土) 21:16:18.20 ID:4VUIgo16o
「偶然だねぇ、ほんと。こんな時間だし。みぃちゃんはなにしてたの?」
「仕事」
「ほぇ……女優さんは大変だぁ」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/04(土) 21:23:17.35 ID:4VUIgo16o
すぐには言葉が出なかった。
断って、それでどうする? どうなる?
もし断りきれなかったら?
12:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/04(土) 21:32:16.47 ID:4VUIgo16o
やめた?
「やめたってなに? パティシエ?」
「うん」
16Res/14.90 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20