5:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/03(金) 21:04:31.87 ID:lDv6b5YMo
それから私はあの子を避けるようになった。
同じ学校のクラスメイトで、あの子のあの性格。放っておかれるわけはない。
私は何かと理由をつけて会話を遮り、誘いを断り、そのうちだんだん疎遠になっていった。
中学を卒業するころには、かつての仲間は誰も話しかけてこなくなった。
高校には、誰も知り合いのいない遠方を選んだ。これで私の世界から完全にあの子がいなくなる。そう思った。
そして卒業式の日、あの子は私に手作りのクッキーを渡してきた。
メッセージカードが入っていて、あれから世界を救えたことと、夢に向かってお互い頑張ろうみたいなことが書かれていた。
クッキーを1口かじって、すぐに吐き出した。
私が知っているあの子のクッキーじゃなかった。
あの黒焦げで、砂糖と塩を間違えたクッキーじゃない。信じられないほど、おいしかった。
馬鹿にされている気がした。
私はプリキュアをやめたのに、女優一本にしぼって頑張ってきたのに、そんな私が燻っているのに、どうして。
残ったクッキーもメッセージカードも全部まとめてゴミ箱に叩きつけた。
その日から、あの子には会っていない。
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