6:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/03(金) 21:10:57.90 ID:lDv6b5YMo
ホテル街を抜けて繁華街に差し掛かると、この時間だというのに人だかりができてくる。
正直ありがたい。喧騒の中の方が、嫌なことを考えずに済む。
こういう街の歩き方にはもう慣れた。歩調を崩さずすいすい進んでいける。
ほんと、こんなことばかり上手くなる。明日は休み。明後日も。今日のオシゴトの結果がわかるまでは。
そしてそれが上手くいこうがいくまいが、次のためにはまた……
はあ……
「なにやってんだろ、私」
そうやって顔を上げたのがよくなかった。ずっと俯いていれば気づかなかったかもしれないのに。
呼吸が止まった。足が震え出した。動悸が止まらなくなった。
逃げなきゃ、すぐにここを離れなきゃ。そんな焦りが足を絡ませ、尻もちをつかせる。
ダメだ、それだけは。道で転んだ人を、あの子が放っておくわけがない。
気づくな。こっちを見るな。
そんな願いに反して、その女性はすぐに駆け寄ってきた。
「あの大丈夫です……あ、え? あれ、もしかして……」
ああ、今日は本当に……
「みぃちゃん?」
最悪な日だ。
16Res/14.90 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20