4:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/03(金) 20:57:34.25 ID:lDv6b5YMo
いつだってあの子がいた。
いつだって、あの子の背中を見ていた。
あの子の影の中にいるような気がした。一生そこから出られない気がした。
たまらなくなって、私は逃げ出した。
決断するのは簡単だった。難しいのはそれをみんなに、あの子に伝えることだった。
きっとあの子はまた私を励まそうとするだろう。諦めるなと叱咤するだろう。それが恐ろしかった。
それでも決断は鈍らなかった。プリキュアをやめれば自由なれる。そう思っていた。
プリキュアをやめる理由に、私は夢を引き合いに出した。
このままでは夢を叶えられない。女優業に専念するため、プリキュアをやめる。
反応はそれぞれだった。仕方がないと了承する者、泣きながら引き留めようとする者。
あの子はただ、寂しそうに笑った。
私はプリキュアをやめた。
それなのに残ったのは後ろめたさだけだった。
あの子のせいだ。あの子が最後に見せた、あの表情のせいだ。
プリキュアをやめてもなお、あの子は私を苛み続けた。
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