11:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/04(土) 21:23:17.35 ID:4VUIgo16o
すぐには言葉が出なかった。
断って、それでどうする? どうなる?
もし断りきれなかったら?
プリキュアとして戦い抜き、自分の夢に向かって力強く進むかつての仲間たち。そんなみんなと自分を比べることになる。
もし断りきれてしまったら?
きっとあの時と同じ。あの子はまた寂しそうに笑うだろう。そんな笑顔に、私はまた苦しめられるだろう。
どちらに転ぼうと、私にとっては地獄でしかない。
前にも後ろにも行けず、私は話を逸らした。
「そっちこそどうなの? 夢は叶った?」
「え?」
「パティシエになるって言ってたでしょ? なれたの?」
こんな質問になんの意味もないことは分かっていた。
だってあの子は夢を叶える。それだけの力が、意志がある。
誰よりも心が強くて、だからこそ心の弱い者の気持ちがわからない。
それが、私が怖くてたまらなかったあの子。
そんなあの子が夢を叶えられないはずがない。だからこんな質問に意味はない。
「あぁ、パティシエ、うん。あのね、わたしね……」
はずだった。
「やめちゃった」
「え?」
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