12: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:43:15.84 ID:Sev9O2YP0
驚いたように眉を動かす男に向かって、溜め込んだ怒りを思い切り吐き出す。
「メタルは最高にカッコいい音楽だ!!いつも私を支えてくれたトモダチなんだ!!
お前はメタルをまともに聴いた事があるのか!?そんなご大層な事言えるほどには聴き込んだんだろうな!?
デスメタルを!!ブラックメタルを!!スラッシュメタルを!!ありとあらゆるヘヴィメタルを聴いたんだろうな!?」
13: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:44:13.47 ID:Sev9O2YP0
「なんだ、気付いてなかったのか?」
男は彼女を鼻で笑う。
「親友が、私を捨てる…?そんなこと……」
14: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:45:54.44 ID:Sev9O2YP0
「分かったか?キノコもメタルも、金輪際手を出すな」
彼女は何も言う事ができず、うつむいたまま黙る。
「返事はどうした!!」
15: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:46:36.84 ID:Sev9O2YP0
打合せが終わり、輝子は自分の家に帰って来た。
ふらふらとおぼつかない足取りで、目は虚ろで、元気どころか生気を感じない。
家は暗く、誰もいなかった。
電気を点け、独りの家に足を踏み入れた。
自室に入る。やはり暗い部屋の明かりを点けると、部屋の隅にはトモダチが、キノコが置いてあった。
16: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:47:25.65 ID:Sev9O2YP0
「こいつがお前らとユニットを組む事になった星だ。おら、挨拶しろ」
次の日事務所に行くなり、マネージャーは輝子を二人の少女の元へ連れて行った。
「ど、どうも、星輝子です。よろしく……」
17: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:48:18.80 ID:Sev9O2YP0
「全員チビで組ませた事で察しはついてるかもしれんが、ターゲット層はロリコンのオタクだ。庇護欲を煽るようにオタクに媚びろ。」
マネージャーは冷たい目で三人に目配せする。
「キモオタ狙いだから歌や踊りは別に見られないだろうが……うちの事務所に泥を塗らないように死ぬ気でやれ」
18: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:49:59.22 ID:Sev9O2YP0
輝子は頭を掻きながら、おずおずと再び尋ねる。
「どんな事、言われたの?」
幸子は少し考えて答える。
19: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:51:14.32 ID:Sev9O2YP0
ユニット仲間との顔合わせ、新しい事務所の初レッスンを終えて輝子は帰路に就いた。
昨日とは打って変わって彼女は上機嫌だった。
幸子も小梅も優しそうで、これから上手くやっていけそう。
そう考えると思わず鼻歌を歌い、柄にもなくスキップ交じりで歩いていた。
やがて彼女の家に着く。
20: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:51:54.29 ID:Sev9O2YP0
「みんなで遊びに行きましょう!」
幸子はレッスン終わりにそう言った。
彼女達が出会ってから半月ほど経過していたが、これまでプライベートで時間を共にした事はなかった。
決して仲良くなりたくない訳ではない。三人とも距離を測りかねていたのだ。
21: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:53:38.75 ID:Sev9O2YP0
歩き続け、やがてデパートに到着した。
「何か買いたいものとかありますか?」
「えーと…特に、ないかな……」
22: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:54:33.05 ID:Sev9O2YP0
「ああ、アレですか。星さんってああいう曲好きなんですか?」
「うん、ああいうのが、好きかな」
そう言っていると、お腹の底で真っ黒なものが渦巻いているような感覚になった。
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