20: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:51:54.29 ID:Sev9O2YP0
「みんなで遊びに行きましょう!」
幸子はレッスン終わりにそう言った。
彼女達が出会ってから半月ほど経過していたが、これまでプライベートで時間を共にした事はなかった。
決して仲良くなりたくない訳ではない。三人とも距離を測りかねていたのだ。
幸子の意を決した提案を控えめに了承した二人は、とりあえずこれからどこかに行く事にした。
レッスン終わり、空が朱く染まる時間。
どこか遠くには行けない。
とりあえず近くのデパートに行くことにした。
「それでですね、うちの先生が〜……」
「幸子ちゃん、それって……」
「フヒヒ、それは凄いな……」
横並びに歩きながら、たわいもない話をする。
ただそれだけだが、輝子は内心小躍りしたいほど喜んでいた。
これが夢にまで見た『トモダチと遊びに行く』というやつか。都市伝説か何かじゃなかったのか。
ただ一緒に歩いて話しているだけなのに、普段休憩時間と話すのとは全然違う、どこか満たされた気分になっていく。
だけど、ほんの少しの疎外感のようなものを感じていた。
「フフーン!星さんも小梅さんと……」
「星さん、幸子ちゃん……」
いや、これ以上欲張っちゃだめだ。
十分だ。十分すぎるくらいだ。
彼女はそう思い、笑いながら話し続ける。
「輿水さんと、白坂さんは……」
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