18: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:49:59.22 ID:Sev9O2YP0
輝子は頭を掻きながら、おずおずと再び尋ねる。
「どんな事、言われたの?」
幸子は少し考えて答える。
「えーと……第一に、ボクってカワイイでしょう?」
「え?」
思わず聞き返してしまった。
「え?」
否定されたと思ったのか、幸子は捨てられた子犬のような寂しそうな顔をした。
「い、いや、かわいい、と思うよ。すごく」
「フ、フフーン!当然ですけどね!」
得意げに笑う幸子を見て輝子は驚く。
これがリア充というものなのか。自分への自信が凄く強い。
実際とても可愛いし、実力に裏付けされた自信という事なのだろうか。
それは……羨ましいな。そう思った。
幸子は続ける。
「それなのにあの人、お前はカワイくない、とか!ボクをボクと言うのやめろ、とか!そんな事言って!ボクは!!」
そう言いながら次第に涙目になっていった。
「ボクは、こんなにカワイイのに……」
俯いてしまった幸子を見て、ぽんぽんと慰めるように頭を優しく叩いていた。
思わず。何をやっているんだ。慌てて手を引っ込める。
「幸子ちゃんカワイイでしょ」
不意に背後から聞こえた声に驚き振り向くと、もう一人のユニット仲間、小梅が輝子の顔を覗き込んでいた。
「白坂…さん、だよね」
「うん。星…さん」
ぎこちなく笑いながら彼女を見る。
自分と同じように気が弱そうで、親近感が湧く。
深い隈を携えた瞳に吸い込まれてまじまじと顔を見ていると、とある事に気付いた。
この子もとんでもない美少女だ。
思わず座ったまま後ずさりをしてしまった。
「あっ……」
失礼な事をしてしまった。人の顔を見て後ずさるなんて。
まるで"怖がる"ようなリアクションを取ってしまうなんて。
「ご、ごめん、白坂さん……」
小梅は顔を伏せてしまった。
どうしよう。最悪だ。なにか言わなきゃ。何か。
そう思っていると、小梅はお化けのように両手を顔の前に垂らし、ゆっくりと顔を上げて舌を出した。
「ばぁ…♪」
「……」
「ふふ……」
「フヒ、フヒヒ……」
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