17: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:51:22.47 ID:nm7zvJuf0
翌日、高山少年は初めて自分から隣のクラスへ行った。
「徳田さん、いるかな?」
とりあえず近くにいた生徒に声をかける。
「徳田……? いやそれ、もしかして徳……」
18: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:52:21.62 ID:nm7zvJuf0
「姫はもう、なにがなんだかわからないのです……」
事務所ではまつりが、手に頬を乗せて浮かぬ顔をしていた。
「今度はなんですか〜? また妹さんが冷たい態度になったのですか〜?」
「それが逆らしくてですね、朋花ちゃん」
19: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:52:57.22 ID:nm7zvJuf0
「それなら、そのお下がりを貸さなければよかったんじゃないですか〜?」
「でも、もしかしていつか妹が着てくれたら……そ思っていた姫も着ていた服を、妹が自分から……それもバッチリ似合っていたのですよ!」
「ではそれで、よしとしませんか〜? 妹さんも、まつりさんも嬉しいのなら、それで良いではありませんか〜?」
まつりにしては珍しく、美也の言葉にギクリと核心を突かれた顔をする。
20: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:53:36.60 ID:nm7zvJuf0
「あ」
「うん」
駅のホームで、高山少年は目当ての娘を見つけた。
私服の彼女は新鮮で、そしていつも以上に可愛かった。
21: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:54:29.46 ID:nm7zvJuf0
「ようこそいらっしゃい。初めまして、かな。高山紗代子です」
「あ、は……い。初めまして。いつも応援しています」
家に着くと、待ちかねたように姉……紗代子が2人を迎え入れてくれる。
「とりあえずリビングへどうぞ。なにかもってくるね」
22: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:55:06.29 ID:nm7zvJuf0
リビングに戻ると、待っていたように徳田さんが話しかけてくる。
「お姉さん、家ではメガネなんだ」
あれ?
姉、紗代子はステージでは裸眼で髪もほどくが、普段はメガネをして髪も結んでいる。
ステージとはかなり印象が変わるが、それは高山紗代子ファンの間では割と有名なことだ。
23: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:55:48.58 ID:nm7zvJuf0
彼女を部屋に案内する。
「こ、ここ座ってよ」
とりあえずベッドを指さし、彼は言う。
座るのならイスの方が良いかも知れないが、座り心地の良いベッドを勧める。
24: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:56:27.85 ID:nm7zvJuf0
「え? なに?」
「ずっと言おうと思ってたんだけど、なんかタイミング? みたいなのはずしちゃった感じで」
「それって、なに?」
徳田さんは、彼を見つめた。
「私、徳田じゃありません」
25: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:57:09.11 ID:nm7zvJuf0
「さて、私の名前はなんでしょう?」
「え?」
そんなのわかるわけ……そう言いかけて、彼は口を閉じる。
徳田さんは、いや徳田さんだと思っていた少女の目は真剣だった。
真剣で、それでいてすがるような目をしていた。
26: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:57:49.44 ID:nm7zvJuf0
「もしもし? 紗代子ちゃん?」
「はい。どうかしたんですか、まつりさん」
「今、紗代子ちゃんはお家にいるのですか?」
「ええ」
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