18: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:52:21.62 ID:nm7zvJuf0
「姫はもう、なにがなんだかわからないのです……」
事務所ではまつりが、手に頬を乗せて浮かぬ顔をしていた。
「今度はなんですか〜? また妹さんが冷たい態度になったのですか〜?」
「それが逆らしくてですね、朋花ちゃん」
美也は朋花の耳元で、何かを囁く。
「お出かけ用の私服を貸してくれと頼まれた〜? それはその妹さんにですか〜?」
「そうなのです。お出かけ用の、ちょっとお姫様っぽさを感じさせつつ、私服としてもおかしくない、それでいて可愛さを全面に出したコーデを頼まれたのです」
朋花に説明するまつりは、頬杖をつきながらそう言った。
「ふむふむ。それは〜もしかしてデー……」
「い、言わないで欲しいのです! ま、まつりもちょっとそう思い始めているのを、必死で脳内否定をしているところなのですから!」
美也の言葉に、まつりは必死に首を振る。
「それにしてもよくそんな、難しいオーダーのコーデを持ってましたね〜?」
「姫のお下がりなのです。姫は着られなくなっても、いつか妹が着てくれるかも……と、とっていたのですけど」
「それなら、願いが叶ったんじゃないんですか〜? よかったじゃないですか〜」
しかし朋花にそう言われても、まつりの表情は晴れない。
「ひ、姫は妹がデートで着ていくために、お下がりに服をとっておいたわけではないのです!」
「ではやはり、デートなのですな〜?」
「ち、違う……と思うのです!」
「ならばいいんじゃないですか〜?」
「よくないのです!」
3人は、一緒にため息をつく。
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