姉がアイドルということ
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22: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:55:06.29 ID:nm7zvJuf0
 リビングに戻ると、待っていたように徳田さんが話しかけてくる。
「お姉さん、家ではメガネなんだ」
 あれ?
 姉、紗代子はステージでは裸眼で髪もほどくが、普段はメガネをして髪も結んでいる。
 ステージとはかなり印象が変わるが、それは高山紗代子ファンの間では割と有名なことだ。
 移動時等でメガネをしている紗代子は、目撃されたファンからはレア紗代子などと呼ばれていたりもする。
「ステージでは外してるんだ」
「知らなかったな」
 屈託なくそういう彼女に、彼は違和感を覚える。
 徳田さんは、姉の……高山紗代子のファンじゃなかったっけ?
「さあ、なにもないけど冷たいものでもどうぞ」
「あ、すみません。ありがとうございます」
 飲み物を受け取ると、徳田さんは彼を見る。
 その仕草を見て、紗代子は声を上げた。
「あ」
 彼は姉を見た。
 誰なのか、思い出したのかな?
 そう思ったが、紗代子はなんだか含みのある笑みを漏らすと言った。
「のどを湿したら、お部屋に案内してあげたら?」
「え? 姉ちゃんの?」
 紗代子はため息をつき、あきれた顔をした。
「あなたの、よ。もう」
 そう言うと姉は、徳田さんに頭を下げる。
「きょうはゆっくりしていってね」
「はい。ありがとうございます」
 徳田さんは、心底嬉しそうに頭を下げた。




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