296:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:38:57.52 ID:XVB8s0iW0
ただ、スパーダが非難されることはなかった。
「時の腕輪」は即席品とはいえ、そこに用いられた対創造用の式は
この時点における賢者・魔女の技術の粋を集めたものである。
しかしそれでも創造の完全打破が不可能だった以上、
297:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:39:24.73 ID:XVB8s0iW0
確かにこの戦いそれ自体に打算はなく、
愛する存在を守りたい一心で挑んだものではあった。
本来は、功績を取引材料にするという考えはまるでなかった。
298:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:39:59.63 ID:XVB8s0iW0
スパーダは具体的に、三つの要望を出した。
まず一つ目は、彼が人間界に住まうことの許可。
二つ目は、エヴァがアンブラ族から抜けることの許可。
299:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:40:29.93 ID:XVB8s0iW0
また、彼の存在は今後の対魔界戦略において有益という点もあった。
魔帝が封印され、その配下有力者たちもほぼ皆殺しにされたとはいえ、
依然として魔界には覇王とその大勢力が存在しており、
300:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:41:17.14 ID:XVB8s0iW0
魔女側がエヴァの才と知識を手放すわけがないのは当然。
そしてそのアンブラの魔女たる彼女とスパーダが結ばれるというのも
天界・人間界の情勢が許すわけがなかった。
301:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:41:54.64 ID:XVB8s0iW0
もちろん、それをこの場の皆がすぐ納得することはなかった。
侵犯者の示すものなど疑うべきであり、
エヴァは洗脳されているだけだという認識が
やはりこの期に及んでも強かった。
302:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:42:36.71 ID:XVB8s0iW0
その後、会合では様々な細事が話し合われた。
スパーダは人間界に在留する際、
天界および魔女賢者による常時監視を認めること。
303:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:43:03.14 ID:XVB8s0iW0
そうして会合は終わった。
こうしてスパーダは人間界に受け入れられ、
真に帰るべき世界を得たのである。
304:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:43:50.85 ID:XVB8s0iW0
魔帝を倒したとはいえ、世はいまだ脅威に溢れている。
覇王や、その他にも恐るべき強者は多くいる。
それらを排除できたとしても、魔界自体が暴虐と闘争のゆりかごであり、
305:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:44:28.11 ID:XVB8s0iW0
スパーダは会合の後、後世においては新大陸と呼ばれる地にて、
ある二つの刃を鍛えた。
306:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:45:14.31 ID:XVB8s0iW0
こうしてスパーダは伝説となったが、
彼の戦いが終わることは無かった。
むしろそれからの戦いは、彼の生涯において
もっとも苦悩に満ち、そして初めての無力感をも味わわせるものとなった。
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