【ミリマス】周防桃子『おとぎばなしで、きっと』
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16: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:33:36.11 ID:170ffVuV0

「……桃子も、ずっと夢を見ていたいよ」

ずっと夢を見ていられたのなら、よかったのに。
夢の中みたいだった公演も、もう終わってしまった。
以下略 AAS



17: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:34:07.92 ID:170ffVuV0

「あの、ね。その……うまく言えないんだけど……。桃子、公演が終わってほしくない、いつまでもこの時間が続いてほしいって思ったの」

心の中に浮かんでくる言葉を、そのまま呟いた。
それをぽつりぽつりと声にするごとに、桃子の指先はだんだんと冷たくなっていく。
以下略 AAS



18: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:37:01.30 ID:170ffVuV0

「桃子」

お兄ちゃんの声が聞こえる。
その声は暖かくて、桃子の心の中に染み込んでいくみたいだった。
以下略 AAS



19: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:37:29.38 ID:170ffVuV0

「桃子の『夢の時間が終わってほしくない』っていう願いは……現実的には、すごく難しいことだと思う。……桃子自身も、そんなのは叶いっこない夢だって思うかもしれない」

叶いっこないなんて、そんなこと桃子自身がいちばん分かってる。
それでも──桃子は、おとぎばなしみたいな夢の中で、ずっとみんなと一緒にいたいって思ったんだ。
以下略 AAS



20: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:38:14.97 ID:170ffVuV0

「もし桃子が、本当は夢を見ていたいと思うのなら──たとえそれがどんなに難しいことであったとしても、俺は桃子の夢を一番近くで支えて、一緒に叶えていきたいと思ってる」

……お兄ちゃんって、本当に変わってる。
普段は子供っぽくて、楽観的で、たまに意地っ張りで……。
以下略 AAS



21: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:38:54.86 ID:170ffVuV0

「……お兄ちゃんが桃子にそう言ってくれるのは、お兄ちゃんが桃子のプロデューサーだから?」

気づけば、桃子はそれを言葉にしてた。

以下略 AAS



22: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:39:27.95 ID:170ffVuV0

──声が、聞こえた気がした。
桃子の胸の中には、あの時と同じ、ペンライトの光の海が広がってた。
その向こう側に、桃子たちを応援してくれる、みんなの顔が見えた。

以下略 AAS



23: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:41:39.07 ID:170ffVuV0

「……ありがとう、お兄ちゃん」

「どういたしまして。……もう、平気そうか?」

以下略 AAS



24: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:42:14.06 ID:170ffVuV0

桃子は、そのまま観客席をずっと見つめてた。
もう、寂しくなんてなかった。
今は、いつかこの劇場で『夢の時間』が叶う、そんな瞬間を夢見てる。
今のこの気持ちに出会えた自分のことを、少しだけ誇らしく思えた。
以下略 AAS



25: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:42:43.12 ID:170ffVuV0
「……お兄ちゃん、そろそろ行こっか」

「そうだな」

桃子たち二人は、ステージの段から下りて、舞台袖の方へ歩いていった。
以下略 AAS



26: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/01/10(月) 19:43:15.83 ID:170ffVuV0

──桃子、この劇場に来られて、本当によかったな。
そうじゃなかったら、きっと、今のこの気持ちにだって出会えてなかったから。
……だから、ありがとう。
これからも桃子を……桃子たちを、よろしくね。
以下略 AAS



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