240: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:00:39.70 ID:6iS857jM0
5月1日。
わたしは起きて真っ先に学生証端末を起動した。
顔写真、氏名、学生番号、クラス、そして保持ポイント。昨日と一箇所だけ変わっている部分に注目する。
241: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:01:13.95 ID:6iS857jM0
◇◇◇
珍しく教室に一番乗りしたわたしは1日のスケジュールを確認した後、なんとなくタブレット端末を手に取って自習を始める。
とっくに学習し終えている高校一年生の範囲の教科書に真新しいことは書いていないが、それでも過去の偉人らが見つけてきた功績を眺めるのは悪くない。
242: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:01:52.04 ID:6iS857jM0
その辺りも含めて、生徒会一料理上手な洋食屋の娘である四条夏帆さんに聞いてみよう。実際のところは愛情なんて不要だと一蹴されるかもしれないが─────。
と、そのときだった。
ガラッと教室前方の扉が開かれる。
243: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:02:18.35 ID:6iS857jM0
「自らに何かを強いることは過ちだ。目標を掲げて突き進むのが人間─────って、僕のお世話になった人が日常的に言っていてね。こうして一番乗りを目標にして努力する分にはいいけど、朝5時とかに目覚ましをかけて無理やり来るのは違うんじゃないかって」
「……おぉ。なるほど。良いこと言うね、その方」
244: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:02:49.82 ID:6iS857jM0
彼は、私の前で窓の外を眺めるように佇む。
その姿は、なんだか見覚えがあるような気がした。
「いや、今のは春宮さんの言葉を遮っただけだ。特に深い意味はない。ただ本当に、僕のことはあまり詮索しないでくれって話だ。訳ありな人間なんていくらでもいるんだから」
245: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:03:22.62 ID:6iS857jM0
「─────ノリが良いんだね、春宮さんって。ノってくれなかったらどうしようかと思った」
「うん、でも途中のセリフ忘れちゃった。ごめんね?」
246: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:04:00.36 ID:6iS857jM0
◇◇◇
朝のホームルームを報せるチャイムが鳴ると同時に、くたびれた背広を着た伊藤先生がやって来る。
表情、無精髭、ボサボサの髪、足取り、その全てが先週と何ひとつ変わらなかったものの、なんだかいつもと異なる雰囲気を感じた。
247: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:04:42.05 ID:6iS857jM0
わたしたちDクラス─────いや、Cクラスの隣には『710ポイント』と記載されていた。
これは今朝振り込まれた『71000ポイント』と無関係でないことはすぐに分かる。
「えー、この学校では、クラスの成績や評価が毎月一日のポイントに関わってきます。授業中の私語31回、授業中に携帯を触った回数15回と、例年のDクラスと比較するとマシな方でした」
248: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:05:15.92 ID:6iS857jM0
先生は一呼吸ついて、電子黒板に表示された数字に改めて注目する。
Aクラス:979ポイント
Bクラス:719ポイント
249: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:05:43.94 ID:6iS857jM0
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250: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:06:10.16 ID:6iS857jM0
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