240: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:00:39.70 ID:6iS857jM0
5月1日。
わたしは起きて真っ先に学生証端末を起動した。
顔写真、氏名、学生番号、クラス、そして保持ポイント。昨日と一箇所だけ変わっている部分に注目する。
『138850ポイント』
昨晩まで『67850ポイント』であったことを考えると、今日5月1日の振り込まれたポイントが『100000ポイント』でないことは一目瞭然だ。
覚醒しきっていない頭の中で引き算を行い、増額されたポイントを算出する。『71000ポイント』。
入学時に配布された額には至らないが、これはなかなか上出来なんじゃないだろうか。わたしの見立てでは最悪『1ヶ月0ポイント生活』もあり得た。
そんなポイントの増減についても今日話が聞けるだろう。Dクラスだけでなく、他クラスの間でもこの話題は尽きないはずだ。
身を起こし、身体を伸ばしながらカーテンを開く。
灰色の灯りが部屋に射し込む。それは真っ黒な雲が太陽の光を遮っているからだった。今日は雨らしい。なんとなく月の始まりと週の始まりが重なる今日がこんな天気だと気分も憂鬱になる。
「ふぅっ」
ため息をすると幸せが逃げる、という一文を割と信用しているわたしは、小さく深呼吸をした。
何も悪いことなんてなかった。ポイントについては最悪のケースを避けられたし、こうして雨が降る前に目を覚ましたことも幸運だった。
さて、雨が降る前に学校に行ってしまおう。少し早すぎる時間だが、本を読むなり自習するなりやることはいくらでもある。
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