244: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:02:49.82 ID:6iS857jM0
彼は、私の前で窓の外を眺めるように佇む。
その姿は、なんだか見覚えがあるような気がした。
「いや、今のは春宮さんの言葉を遮っただけだ。特に深い意味はない。ただ本当に、僕のことはあまり詮索しないでくれって話だ。訳ありな人間なんていくらでもいるんだから」
「……うん、そうだね。わかった。望月くんが何でどんな結果を残そうと、わたしは関与しない。ただ、テストで赤点を取らない限りは」
「面倒見が良いんだね。でも大丈夫、高校生程度のレベルの低い学習はとうの昔に終えたから。まぁそれでも春宮さんには劣るのかな?」
「やめてよ、そんなことないって」
わたしの否定が届かなかったように、彼は続ける。
「そんなことあるよ。君の学力、身体能力は『僕たち』に負けず劣らず─────いや、それ以上かもしれない。一体どうやったらそうなれるのか教えて欲しいところだけど、これ以上はやめておく。君が僕のことを詮索しないと約束してくれた以上、僕も礼儀は尽くす」
「……あー、その、えっと……」
「だから僕たちは敵対し合うことはないと思うんだ」
彼はそう言った後、「ふぅ」と軽く息を吐いた。
そして改めてわたしの方を向いて笑顔を見せてくれる。
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