151:名無しNIPPER[sage]
2021/09/12(日) 23:58:25.45 ID:l63TGBWdO
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152: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/13(月) 22:01:59.64 ID:t1CcS+Yh0
【>>151
1.人と会う
4.錦山暁人・乙葉】
プールの後の六時間目、眠そうにする生徒が見受けられる中、わたしは宮野さんに分けて貰ったヘアオイルの香りもあって随分と機嫌良く授業を受けることができた。
153: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/13(月) 22:02:36.60 ID:t1CcS+Yh0
教室を出て職員室へ向かう途中、伊藤先生の背中が見える。相変わらず皺の寄ったスーツにボサボサの髪、そしてずっとお辞儀をしているかのような猫背だ。
追い抜くこともできず、一定の距離を保ち続けたままゆっくりと歩いていると、伊藤先生は足を止めて振り向く。
「あぁ、春宮さん、でしたか。刺客かと思いました」
154: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/13(月) 22:03:04.89 ID:t1CcS+Yh0
◇◇◇
重厚な扉の前、わたしはノックした後に名乗る。
155: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/13(月) 22:03:32.71 ID:t1CcS+Yh0
それから一分ほど経つと、三人がほぼ同時に悲鳴に近い唸り声をあげる。どうやら負けたようだった。
「やっぱ四人じゃないとキツイな」
「ユキちゃん入れてもう一回やる?」
156: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/13(月) 22:04:09.91 ID:t1CcS+Yh0
そうか、浪費癖のある先輩は月初でも金欠で、必然と毎日無料で食べられる山菜定食を食べているのか。
「先輩もご一緒でも大丈夫ですよ」
「まじ? 天使じゃん、この子」
157: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/13(月) 22:04:35.75 ID:t1CcS+Yh0
そんなことを考えている内に、先輩方は生徒会室を出て行く。わたしもそれを追うと、職員室の前で三人が一人の先生に止められていた。
わたしが合流した頃には先生はこめかみに手を当て、溜め息を吐いて道を譲っていた。どうやら生徒会室が不在の機会はそこそこあるようだった。
「大丈夫でしたか?」
158: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/13(月) 22:05:03.05 ID:t1CcS+Yh0
◇◇◇
ケヤキモールに向かった四人分と、ユキと呼ばれる先輩の分も含めて五人分の飲み物を持って生徒会室へ戻る。
すると長身の女子生徒が生徒会長用の机の上に座って足を組んでいた。手には文房具屋で購入したと思しきカッターナイフ。
率直に言って、怒ってそうだなぁと思った。
159: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/13(月) 22:05:36.32 ID:t1CcS+Yh0
どうやら日常的な出来事らしく、わたしを含めて買い出し組はソファに座って一息つく。
「で、その子は? 一年?」
生徒会長席からジッと見る視線を感じる。
160: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/13(月) 22:06:08.83 ID:t1CcS+Yh0
ユキ先輩はそこで初めてわたしに興味を持ったのか、質問をぶつけてくる。
「部活動は?」
「先生から水泳部には誘われました。あと友達からも。ですが、今週いっぱいは色々と見学してみて、それから決めようかな、と」
161: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/13(月) 22:06:47.66 ID:t1CcS+Yh0
静かになった生徒会室で、錦山先輩は切り出す。
「悪いな、いつもこんな感じで騒がしいんだ」
「いえ、とても楽しくて良いところだと思います」
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